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神々の捜索9

 発展した世界、人々は機械の体を持った者や意識のみを機械に移した者、一部のみを機械化した者、宇宙へ旅立った者など様々で、彼らは全てネットワークによって繋がっている

 そんな電子の世界にミナキは降り立った


「ここ、は…。 まさか」


 辺りを見渡し、懐かしい気配を感じる

 姉妹たちの中でも優しかった姉の気配。 情報能力に長け、いつも神々をサポートしていた電子の女神の気配だ


「マキナねえ…。 ここなのか? 袂を別ったあの日から、こんなとこで再開すんのかよ…。 エイシャ、アズねえ、いるのか? ここに!」


 天を仰ぐように叫ぶ

 まわりが何事かと見やるがそれもお構いなしに力を開放した


「姉貴、いや、アズリア、マキナ、エイシャ、あんたらを許すわけには…。 なんでだよ…。 あんたらのせいで!」


 ミナキの周囲に力が集まり、重力をゆがめる

 それを察知したのか、三柱の女神がミナキの前に現れた


「ミナキ…」


 アズリアは慈愛に満ちた悲しげな表情でミナキを見つめる

 マキナは愛おしかった妹を思い一筋の涙を流す


「ミナキ、姉さん」


 エイシャは一つ上の一番仲のよかった姉を見て困惑する


「アズリア、マキナ、戻って来い。 今ならまだラシュアにいも許してくれるさ。 でもエイシャ、お前は許さない。 お前のせいで半数の神々が死んだ。 その罪、償ってもらおう」


 エイシャはビクッと震える

 自分が原因で神の半分が死んだのだ。 自分が引き起こした戦争のせいで。 そんなことは分かり切っている


「ミナキ姉さん、私は、それでも、今死ぬわけにはいかないの! ラシュアを殺すまでは!」


 エイシャも今持てる力を全て解放した

 本来の力はない。 ミナキに勝てるわけがないこともよく分かっている

 

「ここでは被害が出るだろう? 狭間の世界に来い。 そこで殺してやるからよ」


 ミナキは歯を食いしばり、血のように赤い涙を流した

 エイシャも同じように涙を流す


 狭間の世界、そこでは離反した神々にミナキがたった一人で挑んでいた

 

「ミナキ、一人で挑むか。 お前も我らの可愛い妹だ。 だが、エイシャを殺すというならば、我らはお前を…」


「うるせぇ! いいからかかって来いよ。 エイシャとまとめて殺してやる!」


 戦いが始まる

 たった一人で挑むミナキには万が一にでも勝ち目はない

 剛腕の力で襲い掛かる神々を投げ、殴り飛ばし、暴れに暴れたが、やはり多勢に無勢で、傷つき、右腕、左腕を順に失い、胸を貫かれ、袈裟懸けに切られ、彼女は倒れた


「ミナキ姉さん…」


「こ、ろ、せ、エイ、シャ、お前の、お前たちの、勝ち、だ」


 ボロボロで芋虫のように横たわるミナキを神々は見守る

 みな一様に悲しそうに

 アズリアは涙を流し、マキナは立ち尽くす

 エイシャはそっとミナキを抱きしめた


「なぁ、エイシャ、俺は、また、あの時、みたいに、お前と」


 ミナキの言葉が途切れた

 エイシャが抱きかかえていたミナキを見ると、すでにこと切れているのが分かった


「うわぁあああああああああああああ」


 泣き叫ぶエイシャ、アズリアとマキナはそっと肩に手を置く

 マキナは機械を取り出すと、消えていくミナキの体をその中に横たえ、保存した


「大丈夫だよんエイシャちゃん、ミナキちゃんは絶対私が助ける。 でもそれは、この戦いが終わってから」


 ミナキの遺体を封印し、来たる日のために保存した

 

 


 ドクン

 音がする

 何も見えないが、自分の鼓動が聞こえているのが分かった


(俺は、死んだのか? 神は死んだらどこに行くんだろうな? ルーチェねえ、俺もそこに行けるのかな?)


 目が見えない。 音が聞こえない

 ゆっくりと意識は溶けていき、ミナキは鼓動を残したまま底へと沈んで行った

ミナキちゃんしばらくお休みです

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