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4-22

 その日、二人は別々の部屋へ案内された

 どちらも広く、人一人がくつろぐには十分すぎるほどの大きさで、食べても食べてもなくならない料理が用意されていた

 ルーナはそれらをつまみながらゆっくりと過ごしながらもずっと考えていた

 エイシャに心臓をえぐりだされて意識を失う最中聞こえてきた声


「大丈夫、任せて」


 聞こえてきた声はまるで自分を安心させるかのように優しい声だった

 サニーはこの声の正体を知っていた


「おねえちゃん、あの声はたぶん、この力だよ」


「そういえば言ってたよね」


「うん、彼女は優しくて穏やか。 とてもこの力自身とは思えないけど、でも確かにあの声は彼女だったよ」


 二人で語り合っていると、急に扉が開いた。 入って来たのはいなみだ


「ルーナちゃん、行こう」


「え? どこへですか?」


「ここにいちゃダメな気がするんだ。 とにかくあの世界に戻ってリゼラスさんたちと合流しよう」


 ルーナは少し考えたが、いなみと共に逃げ出すことにした

 それが正しい判断なのかもわからなかったが、考えても仕方ないと思い、リゼラスとパリケルの元へ戻ると決めた


「こっちだよ。 さっき来たときに道を確認しておいたんだ」


 ここにいる神様に会えば恐らくすぐに捕まり連れ戻されるだろう

 この中ではなぜか転移が使えなかったため見つからずに外に出る必要があった

 

 音をなるべく立てず、床を滑るように素早く動き、もう少しで出口と言うところまで来ることができた

 しかしそこに一人の女神が立っていた

 ここに来た時に連れてきてくれたマキナという電子の女神だ


「やっぱり、逃げるんだね」


「そ、そうだよ。 僕らは僕らのしたいようにする。 邪魔するなら!」


 いなみはルーナをかばうように前に立ち、マキナを真っ直ぐに見た


「私に勝てると思ってるの? これでも私、女神なんだよん? まだ覚醒もしてないあなたたちじゃ絶対に勝てないよん」


「やってみなきゃ、分からない!」


 いなみもそうは言ったが、彼女との力の差は戦わなくてもわかる

 天地がひっくり返ろうとも勝てようはずがない


「…。 ここにいて欲しかったんだけど、しょうがない、よね。 こっちにおいで、逃がしてあげるよん」


 マキナのその一言に唖然とする二人


「別にだまそうとかそういうのじゃないよん。 私もね、あなたたちはここにいちゃダメな気がするよん。 何でそう思うのかなんて分からないけど、でも、今のエイシャちゃんはきっとルーナちゃんに宿った力を無理やりにでも奪い返す。 そんなエイシャちゃんに力が扱いきれるとは思わない。 今は逃げて。 でも、いつか、あの子が元の優しいエイシャに戻ったら、また来て欲しいな。 だって、あなたたちは私の大事な家族だから」


 その時は彼女がなぜルーナのことまでを家族と言ったのか理解できなかった

 彼女は電子の女神、監視の女神キュカよりも情報を収集する能力に長けていた

 そのためルーナが大神によって作り出された妹であることを知っている


「ありがとう、ございます。 その時が来たら私たちは必ず戻ってきます」


 マキナに連れられ、無事城を抜け出すとルーナが無事転移できるよう隠しながら見送った

 マキナは悲し気に笑い、ルーナといなみに手を振った




 リゼラスとパリケルは自分たちの世界に送ってもらうために神が降臨するのを待っていた

 

「あの二人、やはり神の力を…」


「まぁ俺様は知ってたぜな。 ルーナにはいってなかったけど記憶を取り戻すときに俺様はその映像を見ていたからな。 ルーナに入り込んだ者、あれは確かに神様だったぜな」


 パリケルの作った装置によってルーナは前世や元の自分の記憶を取り戻している

 魂に刻まれていた記憶を呼び覚ます装置。 アカシックレコードを介して作り出された装置だった


「さて、私はこれからどうしたものか。 使えるべき主ももういない…。」


「まだ騎士達がいるぜな。 彼らと旅してみるのもいいんじゃないか?」


「ふむ、そうだな。 それもいいかもしれん」


 二人が話しているところに突然電磁場が現れ、周囲にバチバチと火花を散らした


「な、なんだぜな!?」


 周囲にいた人々もこちらに目を向けている

 電磁場の中から現れたのはいなみとルーナだった


「ルーナ!?」

「いなみ!」


 二人はリゼラスとパリケルを抱えるとすぐに転移した

 その分の魔力はすでにマキナに分けてもらっている

 リゼラスとパリケルは訳の分からないまま共に電子の世界から逃げ去った

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