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 ダキシオン王国王都コスタベルカは王宮を中心とした円形の巨大都市である

 周囲は高い壁に囲まれ、外周に一般市民の住む街、その中に貴族たちなどの富裕層、そして最中心には王族やそれに準じる者たちが住んでいる

 街は洗練されたデザインで、白を基調とした美しい色、高さのそろった市民街から中心に行くにつれて高くなる街並み、王宮は天へと伸びるかのような高層建築だ


 その王宮では宮廷魔導士のトップであるレノス・ウェロ・アノルトが星読みと神の助言という二つのスキルを駆使して先を見通していた

 しかしどうにも未来が不確定で視えない

 もやがかかったかのように獣魔王との戦いの行方が見えないのだ

 聖女クノリリアからも同様の報告が上がっている

 

 獣魔王復活と勇者の出現

 そこまでは分かったが、それらが今どこにいるのか、何を成そうとしているのか、それがもっと大きな力によって阻まれているようで、不安だった

 以前予言した獣魔王よりヤバいと思われる何か

 討伐されたと報告されたが、もしかしてまだ生きているのではないか?そう思えてならない


「報告いたします」


 そこに舞い込んだ吉報

 勇者が自らこの国にやって来たのだ

 勇者は聖女クノリリアを訪ねてきたようで、今は彼女のもとにいるらしい

 レノスは身支度を整えるとすぐに聖女のいる神殿へと向かった

 

 神殿は貴族街と市民街の中間にあり、誰でも通うことができる

 この都の施設で一番大きなのがこの神殿だった

 それどころか、この神殿は世界でも類を見ないほどに大きい

 その名をアウラスタリア神殿

 女神アウラスタリアを祭り、世界中の予言のできる者たちが足蹴く通う場所でもある

 女神アウラスタリアとは、予言を与える光の女神で、予言者たちに直接その言葉を伝えるため、多くの人々が進行する神の一柱である

 ちなみに勇者桃を召喚した神とは別神だ


 レノスがたどり着くと、そこには勇者と思しき少女と、その従者らしき他数名がいた

 その数名の中の一人に自分の中にある何かが大音量で警鐘を鳴らす

 目を見開き、楽しそうに談笑するクノリリアと勇者たちを見た

 一人の異質な姿の少女がいる

 この世界のどの種族にも当てはまらない異様な姿

 

なぜ誰も気づかない!

あれは、ヤバい

すぐに排除しなくては、この世界は…


消える


 すぐに大杖を構えると、自分の最大限の魔導を放った

 周りに被害が及ぶことも考えない

 ただ目の前の世界の敵を排除しなければならない

 その一心だった


「何をするんだい?レノス」


 そこに立ちはだかったのはかつて自分が師と仰いだ(師本人は認めていない)歴代最強の魔導士、トロンた

 自分の最大限の魔導をあっさり弾かれたことに驚いたが、それ以上に彼がソレをかばったのに驚く


「どいてください先生、ソレは、すぐに消さねばなりません!」


 その言葉におびえるルーナ

 自分のことを言われたのだとすぐわかった


「落ち着きなさいレノス」

「この子がおびえているじゃないか」


「何故ソレをかばうのですか!」

「明らかにソレは、獣魔王よりも危険です!」


 レノスは必死に叫んだが、トロンに拘束され、無力化された

 

やはり先生の力はけた違いだ…

だが何故?


 そんな疑問に答えるようにトロンは口を開き、ルーナについて語った

 語り終えてもまだルーナを疑うように見ていたが、ほかならぬ先生が監視役としてついているならばひとまずは安心できた

 それに、ルーナのおびえる姿は明らかに演技によるものではなく、瞳の奥、心の奥底からおびえているようだった

 それはどう見てもただの子供にしか見えない

 ひとまずは自らを納得させ、トロンの言うことに従った

 そっと少女に触れてみる

 フワフワの少女の毛並みは思わずうっとりするほどだった

 

 クノリリアもどうやら話を聞かされていたらしく、すんなり受け入れている

 それに、ルーナがこの獣魔王との戦いに参加することで優位になるかもしれない

 勇者と同程度かそれ以上の力(封印されているため)を持つため大いに貢献してくれるだろう

 

 ルーナ自身もやる気になっている

 獣魔王を倒すこと、それは自分が元の世界に変えることに繋がると思っているからだ


 クノリリアの予言も、レノスの予言もルーナの力によって歪んでいるが、なんとか獣魔王の大まかな居場所をつかめた

 そこは魔族や魔獣が押し込められている大陸

 獣魔王が封印された場所でもあった

 おおむねの予想通りだが、そこから動いていないのが気になった

 かつての獣魔王は単騎で国一つを蹂躙するほど

 それが動いていない

 気にはなったが、目的地が定まり、獣魔王討伐への道しるべが見えた

 


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