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4-19

 シア女王にルーナとサニーへの感謝の証として、以降に生まれる女王をルニサニアと名付けることにしたと言われた

 ルーナもサニーも恥ずかしがったが嫌な気にはならない。 敬意の証だとわかっていたから

 しばらくの間この世界を楽しんでから次の世界へ

 まだ不安がなくなったわけではない。 これから先にある未来がどうなるのかもわからない

 それでも今は先に進むと決めた


「それではルーナ様、サニー様、どうかお元気で」


 シア女王やこの世界の住人たちに見送られ、次の世界へと転移した




「あれが、クロノゼルフ様のおっしゃっていた…」


「そうみたいだよシルフェインちゃん」


 元精霊の祖神、シルフェインと、妖精の祖神エルリウラが紅茶をすすりながら時の大神クロノゼルフの予言について語り合う

 

「でもねー、あんないい子そうな子がねー」


「いえ、あの邪神の気配、微かにあの子に似ている気がします。 遥かに邪悪ではありましたが…」


「魔王ってまた復活するの?」


「えぇ、恐らく。 あれは自らの魂を成長した自分の子供に移す秘術を使っているようです。 邪神は魔族の祖神…。 魔族たちは邪神や魔王を絶対的に仰いでいるようですが、中には争いを好まない魔族も数多くいます」


「そうなんだよねー、私達が生み出した子たちと同じなんだよねー。 そこが厄介なんだよ」


「ともかく、キュカお姉さまに報告をお願いします」


「うん、また来るね!」


 エルリウラはティーカップを置くと、神々の世界へと帰っていった


「確定された未来は変えることはできない。 クロノゼルフ様がおっしゃっていた未来は、確実にやってくるのですね…」


 シルフェインは悲しみ、未来に生まれる自分の娘のことを思いやった

 最後の魔王を討ち果たすのは自分の娘、そこまでの未来は確定していた

 



 かなりの発展が見て取れる世界

 ところどころにAIが管理する機械が動いていた


「これはまた、面妖な」


「すご、僕のいた世界よりも発展してるかも」


「パリケルさんが好きそうな世界ですね」


 三人はパリケルの方を見てみる。 ここに来てからまだパリケルは一言も発していなかった


「パリケル? どうした?」


 小刻みに震えている。 三人は心配して覗き込んだ


「ぴゃあああああああああああああああああああああああああああ!!」


 突然のパリケルの絶叫に三人は思わずビクッとたじろいだ


「ぱ、パリケルさん?」


「なんてことだぜな! これはもうユートピアでパラダイス! 俺様の制作意欲が湯水のごとく湧いて湧いてしょうがないぜな! ああ、俺様はこの世界に来るために今まで生きてきたんだぜな! ちょっと走ってくるからそこで待っててぜな!」


 神速くらい出ているのではなかろうかというほどの速さで街へと走っていった


「ちょ、パリケルさん!」


 引き留めるも、あっという間に見えなくなってしまった


「しょうがない、あいつも気が済んだら返って来るだろ。 私たちはひとまずこの世界がどんなところなのか情報収集でもしておこう」


 はぐれたときのためにパリケルが作った通信機があるため、いつでも連絡は取れる

 三人は金の換金や情報収集のために街を探索することにした


 それから数時間後、情報収集と換金を終えた三人はパリケルと連絡を取り、街の名物でもある電子の歌姫がいつも踊っている広場に集まることにした

 

「お待たせぜな」


 パリケルはその手に大量の部品の入った袋を下げていた


「ここはすごいぜな! これ全部金1グラムで買えたぜな!」


「確かに、ここでの換金は今までにないくらいの比率だったね」


 この世界では金がレアメタルとして取り扱われ、1グラムもあれば安い車が買えてしまう

 

「金も手に入ったし、宿も取れた。 それと、良さそうな店があったからそこで夕食にしよう」


 リゼラスの案内でその店舗へと向かった

 そこは注文すればどんな料理でも出て来るらしく、それぞれ食べたいものを注文できるシステムだ

 作るのはAIが操作する人型のアンドロイドで、少し見た限りでは人間と変わらない

 ルーナ達が収集した情報によると、体を捨てて意識のみを機械に移したり、体を機械化したり、別の星に移って暮らす者もいるそうだ

 自由に体をカスタマイズできるため、猫耳のある者や翼をもつ者も珍しくない

 その全ての人々がネットワークでつながっているという

 すでに人同士での戦争もなく、世界中が平和な世界

 理想とされる世界だった


 料理が運ばれてくる

 ルーナはハンバーグ、リゼラスは青野菜のポワレと野菜スープ、パリケルは肉尽くし、いなみは激辛カレーだった

 店にいる客の視線が一斉に四人に注がれる。 特にいなみに集中しているようだ


 全てを平らげて満足の内に宿としてチェックインしたホテルへ

 そこもAIが働いており、掃除も接客も完璧なものであった


「ここには魔力が少しあるようです。 それでも圧倒的に少ないので一か月ほどはかかるかもしれません」


「ならばゆっくりできるな。 なかなかに快適な世界だ。 楽しもうじゃないか」


「そうだぜな! 楽しみつくすぜな!」


 ホテルのふかふかのベッドに大喜びしながら四人は仲良く眠りについた

 翌朝、たたき起こされ、四人は拘束される

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