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4-18

 みんなが支えてくれていると感じた。 自分は幸せ者だ


(私は、あんなことにはならない!)


 この世界は魔王が存在することで住人たちが一つとなっており、魔王と言う共通の敵があることで人々は協力し合い、暮らしている。 

 この世界が他の世界と違うところは、様々な神が降臨するというところにもある

 神々の兄弟姉妹である元精霊の祖神がここにいるからだろう


「アマテラス様もここに!?」


 鬼ヶ島で開かれる年一度の祭り。 その際にアマテラスを九尾族の次期当主、妖怪族トップの十二種族のリーダーが自らの体に降ろすらしい。 神降ろしができるのはその九尾族の当主たる血筋だけだ

 この祭りはアマテラスに願いをかなえてもらえるイベントがある

 何万人もの観光客の中から10人だけ選ばれ、利己的な願い以外どんな願いでもかなえてもらえるのだという


「なるほどです…。 ということは、祭りの次期じゃない今は、アマテラス様には会えないということですね…。」


 レコは残念そうに耳を垂れた


「妖怪族の国、九尾族の里に行けばもしかしたら会えるかもしれませんが、あの術は負担がかかりますから容易にはやってもらえないでしょうね」


「そう、ですか…。 お会いしたかったけど仕方ないです。 任務が終わればまた神域で会えます! それを楽しみに頑張ります!」


 石野はそんないじらしいレコを愛おしく思った

 共にこの任務をやり遂げ、早くアマテラス様に会わせてあげたいと考える


「石野おじさん、私たちはそろそろ行きますね。 またどこかで会った時はもっとゆっくり話しましょう」


 最後にルーナをしっかりと抱きしめた。 短い間だったが、この二人は確かに父と娘だった

 そんな幸せだったひと時を噛みしめるように、二人は別れの挨拶を交わした


 次の世界へと転移する最中、ルーナにサニーが語り掛けてきた


「お姉ちゃんに、ずっと黙ってたことがあるの」


「黙ってたこと?」


「私たちのこの力のことだよ」


 驚いたがサニーは自分のいない間もずっと元の世界に封印されていた。 その時この力と会話をしたという

 長く扱われる力は時折意思を持つ。 特に神の力たるサニーとルーナに宿った力はその意思が強かった

 力が言うにはもともと力の神とされる女神のものだったらしい

 その力の女神は全ての神々の末妹として生まれた。 神々に愛され、どの神の力でも自在に操ることができる。 それこそ力の女神の真髄だった

 ルーナとサニーが様々な力を使えるのもそのためである


「お姉ちゃんが私に憑依していた力を吸い取ってくれたから、私は自我を取り戻せたの。 でももし、また私たちの力がどちらか一人に偏ってしまったら、たぶん…。」


「暴走…。」


 二人で何とかバランスの取れている力。 本来のこの力の持ち主ではない二人では抑えきることはできない。 それが意思を持ったこの力がサニーに告げた真実


「あの時以来語り掛けてくれないけど、この力も暴走を望んでいない」


「でも、だったらどうすれば…」

 

 力の女神に返すわけにはいかない。 彼女は全てを憎み、すべてを壊そうとしている

 かといって自分たちが死ねば行き場を無くした力自体が暴走し、同じく世界を滅ぼすだろう


「まだ、どうすればいいか分からないけど…。 帰ってから考えよう。 きっとみんなだって協力してくれるよ。 お姉ちゃん」


「うん、そうだよね」


 二人で改めて故郷の地を踏むことを夢見る

 まだできていない両親の墓参りもしたい。 ルーナがサニーの体に戻ってから親代わりになってくれたミシュハやクリアも、故郷の世界に眠っている

 彼らの死に向き合うことで、本当の意味で二人の生が始まるのだろう

短いけど書きたいことは書けた気がします

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