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4-16

 5人が転移によって訪れたのは一面森の空気の濃い場所

 そして、5人は既にエルフたちによって取り囲まれていた


「何者だ! ここは神聖なる世界樹の森、よそ者がいたずらに入っていい場所ではない!」


 槍や剣、杖を構えたエルフたち。 かなり殺気立っており、今にも攻撃してきそうであった


「ま、待ってください! 私たちは偶然ここに飛ばされただけで、決して荒らそうとしたわけじゃ」


 言いきらぬうちに矢がルーナの腕を貫いた


「ぐっ」


 痛みでしゃがみ込む


「ルーナ! 貴様ら、よくも」


「待って!」


 リゼラスを制するルーナ。 腕の傷は既にふさがり始めている


「なっ! なんだその再生能力は…。 やはり魔物の類か!」


 ルーナの力を恐れたのか、殺気は一層強くなった。 しかしルーナからは一切の攻撃意思は感じられないためエルフたちにも動揺が見え始めた


「待ちなさい」


 エルフたちの後ろから声がした

 美しいエルフの女性。 質素だが威厳のある衣装を身にまとい、その魔力はこの場にいるどのエルフよりも高いようだ


「その方たちはどうやら異世界から来られた方たちのようです」


「異世界人? ですか…。 そうか、それは済まないことをした」


 エルフたちは一斉に跪いて非礼を詫びた


「わたくしはエルフの女王、シアです。 お詫びと言っては何ですが、わたくしたちの国へいらしてください」


「女王様! 失礼ですが国に招き入れるというのはどうかと…。 魔王のこともありますし」


 傍らにいたメガネをかけた秘書風のエルフの男性が苦言を呈す


「大丈夫ですよタイム、こちらの方たちは恐らくですが、神の御使いです」


「何と! 御使い様であらせられるということですか!?」


 どうやらルーナといなみの神力を感じ取ったらしいシア女王は快く国へと案内してくれた


「申し訳ありませんでした、御使い様、今現在、魔王復活のため少々気が立っておりまして」


「い、いえ、でも私達、神様の御使いなんかじゃないですよ?」


「なるほど、お忍びでいらっしゃったのですね」


 違うけどそういうことにしておこうとルーナ含め4人は思った

 ちなみに岸田は訳も分からず口を開けているだけだった

 

 国に着いてすぐのこと


「大変ですシア様! 魔王の手下である魔族たちが人間族の国へと進行してきました! このままでは隣国である我らがエリラシア国も蹂躙されてしまいます!」


 急に舞い込んだ情報にシア女王は真剣な顔立ちになる


「人間族とは同盟関係、わたくしたちも出ないわけにはいきません。 今こそ多種族同盟に呼びかける時です!」


 多種族同盟は、遥かな昔、邪神から生まれた魔王が世界を滅ぼそうとしていた時に、すべての種族が手を取り合ってそれを阻止したときから続いている同盟だ

 かつてこの世界では邪神と神が争いを繰り広げたらしい

 その時邪神を討ち果たしたのが、精霊族の祖神、現精霊女王だ

 それによって力を失った邪神は魔王を生み出して消えた。 それと同時に精霊の祖神も神力を失って精霊族の女王となった

 以来、この世界では魔王が復活するたびにそれと対を成す勇者が神によって選ばれ、精霊女王の加護を得て魔王を倒している


「申し訳割りません御使い様、わたくしたちはしばらく国を開けなければならなくなりました。 何のお構いもできていませんが、この国でよければ自由に暮らしていただいて構いません。 …。 わたくしはこの戦いで命を落とすかもしれません。 もしわたくしが帰らなければ、どうか、我が娘を、民と共に安全な場所まで運んでいただけないでしょうか?」


 もちろんお安い御用だったが、母親を無くすということをルーナは痛いほど知っている

 そのため


「私たちが、その進行を止めます」


「それは、願ってもいないことですが、よろしいのですか?」


「任せてください! わたしたち、こう見えて強いんですよ!」


 シア女王は頭を下げて感謝した。 今の魔族は非常に力が強く、多種族同盟でも勝てるかわからなかった

 そのため勇者の生まれていない今、神力を持つルーナといなみの加勢は非常に助かる申し出だった


「それでは、人間族の国、王都ラレインへ参りましょう!」


 エルフたちは援軍を連れ、人間族の国へと出立した

繋がってきます

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