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4-11

 ヒーローたちともかなり打ち解けた

 特にアイはいなみと同じくらいの歳と言うこともあってかなり仲良くなったみたいだ


「そうなんですか、世界を回って自分の世界へ帰ろうとしているのですね。 それに、闇…。 この世界にそのような怖い存在はいませんが、いなみさんたちの成そうとしていることは非常に高尚なことなのだと思います」


 いよいよ王に謁見する日となった


「あの、そんなに緊張しなくて大丈夫ですよ。 王はかなり気さくな方なのでむしろため口くらいがちょうどいいくらいです」


「アイ、それは言い過ぎよ」


 シークレットウィンドウにたしなめられるが、王自身がかしこまった態度を好まず、フランクに接してほしいと常日頃から言っている

 それでも誰も王を嘗めたり馬鹿にしたりしないのはそのやさしさと力ゆえだった


「王様って、どんな能力を持ってるんでしょうね」


「うむ、楽しみだぜな」


「王は俺なんかよりはるかに強いぞ。 恐らくこの国、いや、世界一かもしれんな」


 グランナイトをはるかに超える力を持つ王

 他の国からこの国が侵略されないのはひとえに王の実力もあってのことである

 

「それと、驚かないで聞いてほしいんだが、王は数千年の時を生きている。 それに比べて見た目が、その、何というか…」


「可愛いんです」


 アイが横からそう告げた


「可愛い?」


「はい、この国のアイドルでもありますから」


「アイドル? 王様が?」


 ますますその姿が気になっていく四人

 そうこうしているうちに王のいる城に着いた


「では私たちはこれで。 王はこの城の天守閣にいます。 案内の衛兵さんがいると思いますのでその方について行ってください」


 アイとグランナイトは自分たちの任務へと帰っていった


「さて、あの門の兵士に話しかければいいのかな?」


 リゼラスが兵士の元へ歩みだす

 その時いきなり城の一部から激しい炎が吹き上がって爆発した


「な、何だ!?」


 驚いていると兵たちが集まりその爆発した現場へ走っていった


「私たちも行こう!」


 四人も兵と共に現場へと走る


「これは、何てひどい」


 爆発の起きた場所では城で働いていた侍女たちが死体となって転がり、たまたま居合わせた兵や観光客にも多数の被害が出ていた


「ここは、侍女たちの休憩室だった場所です。 なぜこんなことに」


 兵たちが悲しそうに死体となった仲間の兵や侍女たちを運ぶ

 そこにヒーローたちも駆けつけてきた

 もちろんグランナイトとトップギアも一緒にだ

 死体がすべて運び出され、ヒーローと兵たちによる合同調査が行われた

 その結果大変な事実が分かった

 この城にいたはずの王が忽然と姿を消していたのだ

 そして王の部屋には争ったような跡と血痕

 王の命が危ぶまれる最悪の事態だった


「一体王はどこへ連れ去られたんだ」


 ヒーローも兵も王の身を案じて表情が曇る

 アイ含め監視班、調査班が全力を挙げて捜索しているが、すでに王がこの国にいないという事実が分かっただけだった


「こんなこと、今までありませんでした。 この国は今の王になってから数千年、一度も侵略、ましてや王が襲われるようなことはなかったんです」


 アイが涙を浮かべて落ち込んでいる

 自分の監視でも王が攫われるのを認識できなかったことが悔やまれる


「私に任せてもらえますか? 探知は得意なので」


 一同はそう言ったルーナの提案にかけてみることにした


 王の気配は分からないが、ここには王を攫った者達の気配が少し残っている

 それを辿って監視と探知の力を同時に発動させる


「掴みました!」


 わずかだがその気配を見つける

 場所はこの国から東、海に込まれたこの島国を東に進んだ遠い国にその者たちの気配を見つけた


「一気に王様のところへ飛びます。 王様を助けたい方は私の周りに集まってください!」


 戦える能力者たちは満場一致でルーナの元へ集まった

 そして彼らを連れて転移の力を発動させた

 溜まっていた魔力をすべて消費するが背に腹は代えなれない


 ルーナたちが転移したのはメーリアという大きな国

 強力な能力者の兵を有している国だった

 この国では能力者たちは管理され、従わないものは能力を奪われて殺されている

 そのため王が一番警戒していた国だった


 ルーナたちが転移したのはまさしくその国の首都、ニーロックという街だった

 まわりは既にメーリアの能力者たちに囲まれている


 ヒーローたちは構え、メーリアの能力者たちを迎え撃とうとした


「下がりなさい」


 突如ヒーローたちの周りに巨大なドーム状の結界が張られた


「一気に倒すから、そこに入ってなさい」


 そう言ったのはサニー

 すでにルーナからシフトしていた


 サニーはメーリアの能力者に目を付けられ、一斉攻撃を受けた

 数分間に渡る攻撃

 さすがのサニーも無事ではいられない

 そう誰もが思ったが、攻撃が止んだ先には無傷のサニーが立っていた


「弱いわね。 そんなんじゃ千年間浴び続けても私にダメージは与えられないわよ」

 

 サニーがニヤリと笑う

 その笑みにメーリアの能力者たちは恐怖した

 そして力を開放するサニー

 ほんの少し漏れ出した力で敵は倒れた

 ある者は恐怖に震え、失禁し、心の弱い者はそれだけで命を失った


「あら、数人残ってるみたいね。 ま、敵じゃないけど」


 立てている者は数人

 その数人はメーリアの中で最も強いと言われていた数人だったが、サニーにとってはそこいらにいる一般人となんの違いもない

 近づき、ほんの少し小突いて倒した


 最後に残った一人、その一人からは王の居場所を聞き出した

 この街の地下にある施設に連れていかれたそうだ

 王の能力を抜き取り、この国の大統領が奪うためだった


 サニーはそのまま地面へ拳を振り下ろし、地下施設への大穴を開けた

 そこからは巨大な装置が覗いており、一人の少女が拘束され、横たえられていた


「王!」


 グランナイトとトップギアが地下へ降り、少女を拘束から助け出した


「この子が、王様…?」


「ああ、この方が我らが王、ヒミコ様だ」


 王と呼ばせているのはその呼ばれ方がなんとなく好きだから

 ただそれだけ

 ヒミコは3000年前の12歳の時に能力が発現した

 ヒミコこそがこの世界の最初の能力者だった

 その能力はザ・ワンという唯一無二の力

 不老不死の上に、想像した力を創造できる力である

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