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4‐10

 ヒーローを束ねる組織、その内部は混乱に満ちていた

 向かった戦闘に長けたヒーローは全滅、その上最強のヒーローであったグランナイトは犯人に攫われ行方不明となっている


「ど、どうしましょう先輩!」


「アイ、貴方の目をもう少し広範囲に出来ない? 私も手伝うから」


「先輩の力と私の力を合わせるってことですか?」


「そうよ。 私の力ならあなたの目をどこまでも運んであげられる」


 シークレットウィンドウの窓はアイの目よりも長い距離へ飛ばすことができる

 しかし数枚の窓しか出すことができない

 その二人の能力をかけ合わせることで、かなりの広範囲をカバーできるようになるはずだ

 この世界のヒーローはよくお互いの能力をかけ合わせて強力な連携技を繰り出す

 もちろんグランナイトとトップギアにもその連携技がある


「行くわよアイ」


「はい、先輩!」


「「メアリーバイザウィンドー!!」」 


 無数の窓が開き、そこにアイの目が送り込まれていく

 この国全土をカバーできる監視能力を持ってルーナ達を探し始める監視班の二人


 グランナイトが目を覚ます

 まだぼんやりとしてよく見えない

 縛られているわけでもなく、ただ寝かされていた

 頭が何かに乗っている


「まくら? 一体俺は…」


 目の焦点があってくる

 その目に映ったのは美しい耳の長い女性

 それに、花のようにいい匂いが鼻腔をつく


「な! 貴様は…」


 慌てて起き上がろうとして女性の胸に思いっきり顔をうずめてしまった


「もう動けるのか。 なかなかに頑丈なやつだ」


 覆面の下の顔が真っ赤になっているグランナイト


「落ち着いたか? 私はリゼラス。 先ほどお前が戦った少女はルーナと言う。 あ、いや、あの時はサニーになっていたのか」


 グランナイトはキョトンとする


「なぜ俺を殺さない。 王を殺そうと画策しているのだろう? ここで俺を殺さなければ必ず障害になるぞ?」


「何を言ってるんだお前は。 私たちは観光していただけだぞ? まぁ王に少し会ってみたかったがな」


 聞いていた話と違うとグランナイトは思った

 そこで思い出す

 監視班トップの二人は早とちりが多いことに


「その、なんだ…。 こちらの手違いのようだ。 すまなかった。 ヒーローたちには俺の方から伝えておくから、帰ってもいいかな?」


「いいが、ここから帰れるのか?」


 グランナイトは周りを見てみる

 見たことのない景色、周囲を走って確認するが、ここは無人島のようで誰一人歩いていないようだ


「まぁしばらく待っていろ。 もうじきルーナが戻ってくるはずだからな」


 ルーナ、いなみ、パリケルの三人は食料を探して無人島奥の森へ入っていったようだ


「お、返って来たみたいだな」


「リゼラスさん、こんなに果物と野草が見つかりました。 食べれるかどうかはパリケルさんが見てくれましたよ」


 パリケルはアカシックレコードの知識によって全てを知ることができる

 野草の見分け方もお手の物だった


「あ、目が覚めたようだね。 僕はいなみ。 あなたは?」


「あ、ああ、俺はグランナイトと言うヒーローだ。 俺たちの勘違いのせいで手間を取らせたようですまない」


 誤解は解けたが、転移をしようにもルーナは魔力が切れており、数日はこの無人島へ足止めされることとなった


「ふむ、電波も通じていないようだな。 仕方ない、ルーナちゃんの回復を待って転移してもらうしかないか」


 グランナイトとも打ち解け、協力して島で暮らしていたところ、パリケルは中空に浮かぶ窓を発見した


「あれは、何だぜな?」


「見つけた!」


 その窓から声が聞こえ、窓が大きくなり、そこから人が数十人単位で飛び出した


「グランナイト、無事か!?」


 トップギアが一瞬でグランナイトとリゼラスの間へ入り込む


「ま、待てトップギア。 勘違いだ」


「勘違い? 王を狙うこいつらを捕まえるんじゃないのかよ!」


 グランナイトが事情を説明する


「ってことは…。 おいアイ!」


「す、すいません! でも、先輩が…」


「アイ、非をを認めなさい。 あなたの早とちりは今に始まったことじゃない。 それに怪我人が出ていないにしても一歩間違えれば誰かが死んでいたかもしれないのよ!」


 さもアイだけのせいにしようとしているのがありありとわかった


「お前もだろシーク。 ちゃんとこちらの方々に謝るんだ」


 グランナイトの一言で二人とも頭を下げた

 シークレットウィンドウで全員無事首都へと帰り着く


 誤解も解け、四人は無事観光へ戻ることができ、念願の王への謁見も許されることとなった


「楽しみですね。 どんな方なんでしょう?」


「うん、英雄王かー。 かっこいいだろうなー」


 四人ともそれぞれの英雄像を思い浮かべながら観光を楽しんだ


 数日後、正式に城へ入ることを許され、王に会うこととなった

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