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4-9

 城のある街、ジョウカ

 大きな城を中心に放射状に街が広がり、良き王のひざ元で人々は幸せに暮らしている

 王は人々を守るために常に街を、国を歩き回っている

 彼は声を聴き、姿を見、助けを呼ぶ声には必ず答える

 ヒーローたちとは別の英雄だ


「これは一体どういうことだぜな」


「僕たち、何もしてないよね?」


「何もしてないと言っても現にこれだけの数のヒーローとやらに囲まれているんだ。 何か勘違いか手違いがあったのだろう」


「話し合いで何とかなりませんか?」


 ルーナが周りにいるヒーローたちに話しかけてみたが、彼らはこちらを睨んで聞く耳を持たない


「異世界の侵略者どもめ。 王の命を取りに来たか!」


 何を言っているのかが分からなかった

 そもそもルーナ達はただ城の観光に来ただけである

 あわよくば王と会って話をしたいとは思ったが、暗殺など一切企てていない


「ともかく、お前らは国家反逆罪だ。 おとなしく掴まるなら話だけは聞いてやろう」


 誰も彼も殺気立っていて、こちらの言い分など聞きそうにないのは明白だった


「逃げるぜな。 ここは逃げの一手に限るぜな」


「分かりました。 転移用の魔力は消費しますが、ここで誤解されたまま捕まるよりはいいかもしれませんね」


 ルーナは転移をしようと力を溜めた


「させるか!」


 一人の鎖を持ったヒーローがルーナをその鎖でとらえる


「え? ちょ、ちょっと、危ないですよ!」


 慌てて転移を止める

 もし今の転移に鎖のヒーローが巻き込まれれば、彼はそれに巻き込まれて死んでいただろう

 任意以外の者が転移に巻き込まれればエネルギーに変換され消滅してしまう


「捕らえた! 何をするかわからん! 攻撃を仕掛ける」


 鎖のヒーローはその鎖に電流を流した


「…」


「どうだ、俺の電撃は。 痺れて動けまい」


 ルーナは電流を受けながらもゆっくりと顔をあげ、鎖のヒーローを見た

 そしてあっさりと拘束を引きちぎる


「な!?」


 驚く鎖のヒーロー


「これならどう?!」


 別のヒーローが手をかざす

 彼女の後ろにたくさんの手が現れ、一斉にルーナを掴んだ


「私の手から逃れることのできた犯罪者は未だいないの。 残念だったわね」


 女性はその拘束の手をさらに強めてルーナを握りしめた


「あの」


 ルーナは手を難なく引きはがし、女性に返した


「残念ですが、私、強いんです」


 ルーナはサニーにシフトした


「お姉ちゃんが私に変わったってことは、本気で行っていいってことね?」


 サニーが力を一気に解き放つ

 それだけで周りのヒーローはパタパタと倒れていった


「馬鹿、な…」


 ただ数人のヒーローは何とか持ちこたえている


「あら、本気じゃなかったんだけど、これに耐えるなんてやるじゃない」


(ちょっとサニー、手荒なことはしちゃだめよ!)


「分かったるってお姉ちゃん」


 こちらに向かって歩き出そうとする青いスーツと赤いスーツの二人の目の前にサニーが突如現れ、息を吹きかけた

 それに吹き飛ばされ、地面に倒れ伏す


「う、ぐ、息だけで俺たちを…」


 吹き飛ばされたのはグランナイトとトップギア

 トップギアの方は今ので完全に気絶したようだ


「まだ立ってるの? あなただけ他のヒーローとは違うわね」


 グランナイトが立ち上がろうとするのを見て、気絶していないヒーローたちは自分たちを奮起させて立ち上がった


「他のも起きちゃった」


 歩き出すヒーローたち


「ちょっと待ちなさいよ。 今ので逆立ちしたって私に勝てないことはわかったでしょ? 何で立ち上がるのよ」


「俺たちは、ヒーロー…。 守るのが、仕事だからな」


 グランナイトはゆっくりと立ちあがり、時を止めた


「なんて少女だ。 ここまで強い者が他にもいようとは…。 悲しいかな、力を持つものが常に正しい心を持つとは限らない」


 グランナイトがサニーを捕まえようと手を伸ばす

 

「レディに許可なく触ろうっての?」


「な、に?」


 グランナイトは訳が分からなかった

 自分の能力の中で動けるのは自分だけ

 彼の能力は正確には時を止めているのではなく、星ごと全ての動き、思考を止めてしまうもの

 それを時を止めていると勘違いしている

 しかし今までこの能力で止めることができなかったのは宝石を盗んだ少女だけだった


 驚きの中、グランナイトは思い出す


「ヒーローってのはそれでいいんだよ。 あんたは間違っちゃいない」


 それは宝石を盗み出した少女の言葉


「ま、貴方じゃ私を止められないけど、あなたはヒーローとして当然のことをしただけだもんね。 だから、これで許してあげる」


 サニーが優しくグランナイトの頬を撫でると、グランナイトは気絶した

 気絶するほんのわずかな意識の中、能力が解ける直前に見てしまった

 もう一人、白い美しい少女が後ろからこちらに向かってきていることに


「サニーちゃん、大丈夫?」


「ええ、殺しては無いから心配ないわ」


(そうじゃなくてサニーちゃんが大丈夫だった聞いたんだけど…。 やっぱり姉妹なんだ。 二人そろって優しい)


「何? 何か文句でもあるの?」


「いや、無事ならそれでいいよ」


「じゃ、お姉ちゃんに戻るわ」


 サニーはルーナ以外にはいつも塩対応だが、単に恥ずかしがりやなだけなのをみんな知っていた


「終わったみたいですね。 でも、なぜ私たちは彼らに敵と認識されたのでしょう?」


「分からないけど、とりあえずこの人に事情を説明してわかってもらおう。 この人多分この中で一番強い人だから」


 二人は気絶したグランナイト、待機していたパリケルとリゼラスを連れて離れた場所へと転移した



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[気になる点] 4-9 終わりらへんで、 (そうじゃなくてサニーちゃんが大丈夫だった聞いたんだけど…。 やっぱり姉妹なんだ。 二人そろって優しい)                           …
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