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4-7

 4人は情報収集がてら街を見て回る

 幸いにもこの世界は金を換金できる場所があったため、いくつかの世界の金貨を溶かし、どろどろになった金を延べ棒に変えて換金した


「これでお金はばっちりですね。 お腹もすきましたし、何か食べませんか?」


「そうだね。 どこがいいかな?」


「あ、あそこ、なんかいい匂いがするぜな。 スパイスの香りっぽいぜな」


 パリケルが指さしたのはチェーン店のカレー屋だった


「ふむ、食べたことのない食べ物だな」


 満場一致でカレー店を目指す

 それを追う2つの影に4人は気づいていない


「あの4人みたいだな。 あとは俺に任せてくれ。 俺なら見つからないだろ」


「あぁ、それじゃぁ俺はいつもの場所で待っているとしよう。 いいか、相手が攻撃して来るまでは絶対に手を出すんじゃないぞ」


「わかってるよ。 そこまで馬鹿じゃないって」


 トップギアは能力で素早く動き、ルーナ達を追い、一方のグランナイトはいつもトップギアと飲んでいる居酒屋へ歩いた

 もちろん二人ともスーツを脱ぎ、普段着でである


「カレーカレー、僕、カレーって大好きなんだよね」


 いなみはウキウキしている

 カレーはどうやら久しぶりみたいだ


「思い出すなぁ。 母さんのカレー。 母さんは僕によくカレーを作ってくれてたんだ。 飛び切り美味しいのをね。 僕たちは血が繋がってなかったけど、母さんも父さんも僕をとても愛してくれた。 もう一度食べたいな、母さんのカレー」


 いなみの母は既に死んでいる

 いなみを守るために自ら犠牲になった


「いいお母さんだったんですね」


「ルーナのお母さんはどうだったの?」


「私、ですか? 私は…」


 ルーナは今まで転生した先の両親の話をする

 その全てがろくでもないものだった

 わずかな金欲しさに売る者、魔女だと言って役人に差し出した者、ドラック中毒者でルーナを殴り続けた者

 しかし、最後の転生を果たしてサニーの体へと入ったあと、地球で出会い、養父となってくれた石野正という男は自分を愛してくれたことを語った


「そっか、その人にまた会えるといいね」


「はい!」


 そして最後に、自分の最初の両親、本来の両親のことを話した

 彼らは二人とも最大の愛をもって接してくれたこと、サニーと一緒に幸せな生活を送っていたこと、その両親は自分たちを守って死んでしまったことなどだ


「そうか、ルーナちゃんも両親を…」


 食べながら少し暗い話になったが、美味しいカレーによって4人は明るくなった


 それを見るひとりの男


「何だ、何の話をしてるんだよ。 っち、ここからじゃ聞こえないな」


 聞き耳を立てるが、席が遠すぎて聞こえない

 しかし、翼の生えた少女二人が泣いているのが分かった


「ふむ、異世界人でも悲しいことがあると泣くのは同じなのか。 それにしても…。 多分あの子たちは敵とはなりえないな」


 食べ終わったルーナ達は立ち会がり、お金を払って出て行った

 トップギアも慌ててカレーをかき込んで立ち上がった


 4人が外に出ると、月が輝き道を照らしているのが見えた


「綺麗な満月ですね」


「そうだな。 どの世界でも星は綺麗に輝くものなのだな」


 その日は情報収集を一旦やめ、宿をとることにした

 決めたのは一番安いビジネスホテル

 4人でも泊まれる部屋があるようだ


「ホテル、か。 今日はもう動きそうにないな。 他のヒーローも呼んで監視を続けてもらうか」


 トップギアはスマホのような端末を取り出すと、どこかへ要請を出した

 

「さて、時夜のとこに戻るか」


 トップギアが時夜と呼ぶのはグランナイト

 彼の本名は神宮司時夜(じんぐうじときや)と言った

 

 トップギアは走り、グランナイトの待つ居酒屋へと戻る


「お、来たか、風丸」


 トップギアの本名は麻走風丸(あそうかぜまる)

 グランナイトである時夜とは幼いころからの親友だった


「時夜。 あの子らは大丈夫そうだ。 まぁ念のため監視の要請は出しておいたけどな」


「アイにか?」


「あぁ、あの子が適任だろ」


 ヒーローたちが所属する組織

 その情報部には様々な情報収集をするための能力者が多数所属している

 その中でもアイと呼ばれるヒーローは監視を得意としており、暴漢や事件があると真っ先に見つけ出す

 ちなみにラビットイヤーはフリーの情報屋だ


「取りあえずあの4人はこの世界の情報を集めているだけらしい」


「それは、この世界を乗っ取るためとか言わないだろうな?」


「いや、そういう感じじゃなかったぜ。 普通に観光を楽しむ外国の人って感じだった」


「なんだそりゃ。 じゃぁ観光目的ってことか?」


「そんな感じじゃないのか?」


 時夜は納得のいっていない顔だったが、風丸のことは信用しているので一任することにした


「ま、とりあえず飲もうぜ。 カレーだけじゃ物足んねぇって」


「ちょ、お前食ってきたのかよ」


「仕方ねぇだろ。 カレー屋に入ってくんだから」


 時夜は少し怒りながらも風丸の話に笑った


 そして次の日、再び4人への監視が始まった

 

ヒーローも好き!


一番好きなヒーローはいません

好きなのはジョーカーです!

ヴィラン最高!

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