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4-6

 レイドが闇に染まった騒動の後、一時出現しなくなっていた怪獣は相変わらず出ていたのだが、以前のように黒い怪獣は一切出なくなった

 防衛軍もパリケルの作り出した新たな武器のおかげでレイドがいなくても対処できるようになってきている


「皆さん、本当にありがとうございました!」


 田辺とリネ含め他の隊員、研究者たちはこの世界を去ろうとする4人にお礼を言った

 そこに小さくなったレイドが走ってくる


「え!? レイドが、なんで!?」


 リネたちは驚いた

 なんせ小さくなったレイドを見るのはこれが初めてだからだ


「私も、あなたたちにお礼が言いたくて」


 レイドは元の姿、玲に戻る


「女の、子、だったの?」


 防衛軍の隊員たちは全員が驚いていた


「私、きっとたくさん迷惑かけたと思うの。 隊員さんたちにも」


 玲はその場で全員に頭を下げた

 突然レイドが正体を明かしたことにも驚いたが、その彼女がこちらに謝っている姿にも驚いた


「何を言ってるんだ。 我々の方こそ君に何度も助けられたんだ。 感謝こそすれど誰も恨んじゃいないよ」


 田辺の言う通り、その場の全員が玲を温かく迎えた


「これからは俺たちも君を守れるよう頑張るよ。 だから、一緒に守ろう、この国を」


「はい!」


 レイドと防衛軍は握手を交わし、共に国の平和を守ることを誓った


 ルーナ達はレイドの世界から新たな世界へ転移した




 目にもとまらぬ速さで何者かが街を駆け抜ける

 その残像が赤い閃光となって道路に伸びる


「来たか」


 走っていたのは赤いヒーロースーツに身を包んだ男だ

 彼が足による長いブレーキ痕を作って止まったのは青いヒーロースーツを纏った男の目の前

 

「いまだにあの少女の目撃はない。 全く、まるで幽霊にでもあったような気分だぜ」


「こっちも何も情報なしだ。 情報屋のラビットイヤーがその足取りを掴めないなんてこと、今までなかった」


「それだけすごい力を持ってるってことか。 っち、能力者の犯罪はこれだから厄介なんだよなー」


 二人が話していると、そこにウサギ耳の少女が現れた


「ねね、きいてきいて! 耳寄り情報だよ!」


「お、うわさをすればだな」


「いい情報持ってきたよ! 聞く? それとも聞く?」


「聞くよ。 ほら、先払いだ」


 青い男が何かをウサギ耳の少女に渡した


「オッケー。 これはまだ政府も掴んでない情報! すごいっしょ? ミミだからつかめたんだよ?」


「わかったわかった。 お前はすごいよラビットイヤー」


「ふふん、じゃぁ聞いてよ!」


 彼女の名前は三兎(みと)ミミ、ヒーロー名ラビットイヤーという兎の力を持つ少女だ

 情報屋としても優秀な彼女は、ニンジンをあげると情報をくれる

 もらったニンジンをかじりながらメモ帳を取り出す


「えとねえとね、別世界から人が来たー!」


「は?」


「は? じゃないよ! 異世界人がきたの!」


「本当か? 俺たちをからかってるんじゃないよな?」


「からかうわけないじゃん、ニンジンもらってるんだし」


 ミミはニンジンをもらえば必ず有益な情報を教える

 嘘などつくような子ではない


「で、その異世界人とやらはどこに?」


「それききたいなら—、もう一本」


「しょうがないな。 ほら」


 赤い男がニンジンを渡す


「さっすがトップギア、いいニンジンくれるね」


 またニンジンをかじりながら携帯端末を起動させ、地図を開く


「ここだよ。 街で情報収集してたからまだいるはずだよ! 特徴は、羽の生えた女の子二人、変なロボットを背負った女の子一人、あとは騎士みたいな女性が一人、多分保護者。 何か一貫性のないちぐはぐな感じだったな」


「そうか、とりあえずあってみておく。 ありがとうな」


 青い男がミミの頭にポンと手のひらを置いた


「また仕入れたら来るね~」


 そう言ってミミは高くジャンプし、夜の闇へと消えていった


「トップギア、どうする?」


「俺も会いたいな。 異世界人何て滅多に会えるもんじゃないだろ」


 二人はこの世界でも最高のヒーローだ

 赤いスーツの男はトップギア、音速を超えるスピードのヒーロー

 青いスーツの男はグランナイト、時を数分間止めることができ、その中を自由に動くことができる


 二人は連れ立ってミミの情報にあった街を目指した




 遡ること数時間前

 4人は大きな街の路地裏に転移した

 幸いにも誰もいない


「ふぅ、いくら体験しても慣れないものだな」


「うぅ、気持ち悪いぜな」


「この世界は、結構発展しているみたいですね」


 ルーナは路地裏から少し顔を出した

 街を歩く人々はいろいろな姿をしており、翼の生えた者や角の生えた者も非常に多い


「ここでは私たちも人間形態をとる必要はなさそうですね」


「よかった。 翼の付け根が痛くて痛くて」


 翼のあるルーナといなみはほっと胸を撫で下ろす


「次の転移まで数日はかかりそうです。 この世界に闇がいないとも限りませんので情報を集めましょう」


「うむ、そうだな」


 4人は路地裏から出ると、街を歩く人々の中へ消えた

 その4人の一部始終を、ウサギ耳の少女が聞いていた


「ふっふっふ、面白い情報見ーつけた!」


 ウサギ耳の少女、ラビットイヤーのミミの耳は、数キロ四方の音、声を聴きとれる

 普段は能力を抑えているので普通の人間の聴力しかないが、ひとたびフルに発動すれば、情報収集に適した能力となる


「これはあの二人に報告する必要があるね~。 ふっふっふ、ニンジンは私のもの!」


 ミミは大きくジャンプして、グランナイトたちの元へ走った

この世界もミナキが訪れた世界です

いずれミナキとも会うかもしれませんね

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