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1-11

 彼女は一人で次元渡りできるのだが、その方法を知らない

 勝手に飛ばされていると思っている

 それに、次元という言葉を知らない

 そのためか、次元渡りという言葉を聞いてもピンとこないのだろう

 彼らの話を聞いてもまるで分らないといった風にキョトンとし、首をかしげている

 そんなルーナにどう説明すればいいかわからない

 次元を研究しているメトルですら実はよくわかっていなかったりするのでどうしようもない

 

 メトルは次元が開くときの独特な波長を調べて、開いた時にこちら側に来る様々な品、人を主に研究している

 つまり、この集落にはそういった品があり、人が暮らしているのだ

 現在次元渡りによって来た人数は三人

 彼らは元の世界に戻るためこの集落で暮らしているのだと言う

 まずは彼らに話を聞いてみることになった

 

 一人目は人間の男性で、名前をクルストという

 武器を自分の気力によって作り出す世界から来たらしい

 この世界ではそれが使えないのでただのロングソードを腰にぶら下げているが、本来はオーラブレードという刃こぼれしない武器で戦うのだそうだ

 

 彼の世界にも魔物はいて、彼は冒険者として大型の魔物を狩っている最中に次元の狭間に吸い込まれたらしく、何が何だか分からないままに来たため有益な情報は全く得られなかった


 次はこれまた人間の男性、名前はカットベル

 魔王が倒された後の平和な世界で農作業をしていたら吸い込まれたらしい

 彼も何もわからず、ただただ嘆いていた

 どうやら妻と子供を残してきたらしい

 

 そして最後は学生服を着た少女

 ひらひらとスカートをはためかせる元気な美少女だった

 彼女はどうやらこの世界に呼ばれて来たらしく、ここにわたる前に神とやらに出会ったそうだ

 名前は立木桃、幅広なクレイモアを軽々振り回し、タワーシールドを装備している

 桃はそれらの武器を神に与えられたらしく、勇者として復活しつつある獣魔王とやらを倒してほしいと言われた

 武器は彼女以外に装備できず、彼女がそれらをふるうと剣はどこまでも伸び、どんなものでも切断できる

 盾を構えればあらゆる攻撃を防ぎ、盾後ろに隠れた他者を癒すことができる

 ちなみにここに来たのはつい昨日のことなので、彼女が勇者ということのみ分かった


 神、この世界では確かに神を感じれるらしい

 時に人々を導き、癒し、危険を知らせると言う

 主に神官や巫女といった職の者たちに助言を与えることが多く、神の啓示を受けた者は聖女や聖人として祭り上げられることもある


 この世界で有名な聖女はクノリリア・ミリミリというらしく、確かに数週間前に獣魔王の復活と勇者の出現を予言していたそうだ

 これにより少しわかったことがある

 神は次元を渡らせる方法を知っている

 ついでに言うと勇者以外の二人はただ次元の狭間に落ちてここに飛ばされただけだということもわかった

 

 つまり、復活した獣魔王を倒したとき、神と出会える可能性はある

 現に数百年前獣魔王を封じた勇者は直接神界に呼ばれ、褒美としてこの世界で最も巨大な国家の王となったらしい

 神に出会えば少なくとも情報は手に入るかもしれない

 次元の研究はまだ初期段階のため、現状それしか手段がない

 

「ま、やるだけやってみるぜな」

「俺様は戦えないけどな!ニヒャヒャヒャヒャ」


 独特な笑い方でパリケルが笑う

 ひとまずの方針は決まったが、肝心の獣魔王が復活していない

 まぁ、神の啓示を受けた聖女が予言したのだ、遅かれ早かれ復活するのは間違いがないだろう

 ということでそれまでゆっくり待つことに

 もともとただの女子高生で、現勇者の桃はそのまま腕に覚えのあったクルストに剣の稽古を受けることとなった


「ただの冒険者だった俺がまさか勇者に剣を教えるとはな。ハハハハ」


 だそうだ

 彼の世界にも勇者はいたらしいが、一人ではない

 複数人いて、その誰もが一国家に匹敵する力を持っていたらしい


 残ったもう一人の不運な次元渡航者カットベルはこの集落で暮らし、農作業に打ち込むことにした

 現実逃避というものだろう

 しかし、帰れるかもしれない目途はたったので少し落ち着いたようだ


 こうして勇者は修行、トロンはここにとどまり、リュネとパリケルはそれぞれ研究所へ戻った

 肝心のルーナ(じぶんの本当の名は思い出していたがミシュハがつけた名前で呼ばれたいらしい)はというと、勇者について行くことにした

 他の世界のルールは通じないはずで、現にクルストは力を使えず、元の世界ならだれでも使える治癒魔法を使えるカットベルもその魔法を使うことができなかった

 それなのにである

 ルーナは魔法も不思議な力も何の問題もなく使えた

 力をトロンたちによって封じられたとはいえ、それでも有り余る力を秘めているのだろう

 大幅に強さはダウンしたが、未だ勇者たる桃くらいには強い

 それに、身に危険が迫ると封印が一時的に外れるようになっている

 トロンは恐らくだが問題はないと判断したためこういった処置をとった


 そして、この旅にはトロン、アル、パリケルがついてくることになった

 戦闘力皆無のパリケルがついてくる理由はただ面白そうだからだ

 それに彼女には一応奥の手もある

 魔導機械というロボットのようなカラクリのような人形だ

 無骨なデザインだが、本人曰くそれがいいんだとか

 魔導機械はパリケルの意志通りに動き、様々な魔導攻撃ができるそうだ

 なんでも自分の魂の一部を入れ込んでいるので精密な動きが可能らしい

 そのためダメージを受けるとパリケルも少しダメージを受ける

 見た目はメカメカしく、現在の自分をかたどったパリケル人形(ちっちゃくて意外に可愛い)

 すでに魔獣と戦わせて動作確認済みだそうで、それを取りに戻ったのだった


 それから数日後、滞在していた集落で獣魔王復活の知らせを受けた

 剣の腕前も上がった(恐らく何らかの勇者補正がかかっているので覚えが異常なほど速い)勇者桃と一行は獣魔王討伐に向け旅立った

 目指すは聖女のいるこの世界最大の王国ダキシオンだ



次は人物紹介

何人か増えたのでこれを機に一気に紹介かな?

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