3-44
可愛い動物たちに満足し、次に目指したのは食の都と呼ばれるクドラリアという大都市だ
どんな食べ物もそろっていると言われ、異世界の食まで網羅しているという
「美味しいものたくさん食べましょう!」
ルーナはウキウキとしている
それは他の三人も一緒で、パリケルはすでに涎をたらしているくらいだ
「ほぁ~、いい香りがするぜな。 もう腹が鳴りやまないぜな」
パリケルはお腹を押さえてこれから食べるであろう食事を想像して再び涎をたらした
「もう、パリケルさん垂れてるよ」
涎をいなみがぬぐった
「お、すまんすまん」
リゼラスは落ち着いているのだが、顔はほころんで口元が緩んでいた
クドラリアに着くとさっそく気になる料理店を探して歩き回った
ところどころに地球の料理屋があり、この世界には異世界人が良く流れ着いているのが分かった
彼らは帰ることもできないのでこの世界で職を探して働いているようだ
「海鮮丼、お好み焼き、高級フランス料理、イタリアン、中華まで!? 和食割烹にピッツァ専門店、地球の料理屋がすごく多いですね」
「どうせなら食べたことない料理がいいな。 フランスやいたりあん?ってのは分からないけど、他のは僕も食べたことあるよ。 多分地球って異世界と僕のいた世界が似てるからなんだろうけど」
「まぁ私の世界にも和食って言うのはあったな。 たまに食べに行ってたがかなりうまかったな」
「俺様は食べたことないぜな。 あのお好み焼きってのが気になるぜな」
「じゃぁそれにします?」
「え? だって食べたことあるんじゃないぜな?」
「僕も久しぶりに食べたいな」
「私は食べたことないですよ」
「私もだ」
「じゃぁ決まりだね」
お好み焼き屋に入ると、店内は既に満席だったため少し待つことに
待っている間ずっと漂ってくる香ばしい匂いとソースの焼ける香りにお腹がどんどんすいていくのが分かった
少し待つと四人がゆうに座れる席が空いた
掘りごたつ式で、机の中央に鉄板があった
「メニューメニュー。 えーっと、豚玉? すじこん? 何が何だか分からないぜな…。 あ、おすすめがあるぜな。 これにするぜな」
「私はこの豚チーズと言うのにします」
「僕は…。 ホルモン玉にしよう」
「私はこの牡蠣おこというものにしてみよう。 貝を使っているらしい」
店員さんを呼んで注文すると
「お好み焼きの焼き方はお存知でしょうか? 分からなければこちらで焼いてお出しすることもできますよ」
四人とも焼き方がいまいちわからなかったので焼いてもらうことにした
10分ほど待ったところでお好み焼きが小さな手持ち式の鉄板に乗せられて運ばれてきた
それを机の鉄板へとスライドさせてそれぞれの前に置いて行く店員さん
手慣れたものである
「良い匂いだぜな。 早速食べるぜな!」
パリケルは既にフォークを手にしており、器用に切って一口分を一気に口へ放り込んだ
「あっつぅ!!!」
あまりの熱さに転げるパリケル
「あ、お好み焼きは激熱なのでフーフーして食べた方がいいですよ。 っていうのが遅かったですね」
「あふひ(あつい) しははひはいへは(舌がいたいぜな)」
舌を火傷したらしく、食べにくそうにしているが、味は美味しかったらしくすぐに笑顔になっている
「この牡蠣おこというのはすごいな。 貝が何というか、まろやかな風味があるな」
上品に、そして器用に箸で食べるリゼラスは周りが見惚れるほど絵になっている
この世界でも美少女ばかりのこのパーティは目を惹くようだ
お好み焼きを食べ終わり、次なる食を探して店を後にする
この世界で5年は遊んで暮らせるような大金を持っているため、贅を惜しまないつもりで美味しいものを探すことにした