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石野の異世界放浪記4‐1

 周囲には大量の巨大蛇、それらは威嚇するように真っ赤な口を開き、鎌首をもたげて石野を睨む


「石野さん! これを使ってください!」


 レコは袖から短い棒を取り出して投げた」


「棒!? これでどうしろと…」


「振るんです! 石野さんの思いを込めてそれを振ってください!」


 石野は棒に力を与えるように思い描き、その棒を振った

 すると、白く輝く刀と成ってその手に収まった


「な、形状が変化した?」


「神刀です! 石野さんの思うように動かせるはずですよ!」


 それを聞いて石野はレコを抱えて飛び上がり、目の前に迫っていた蛇の頭を両断する

 まるで豆腐のようにするりと斬れ、蛇は絶命した

 そのまま刀を横に振ると刃が伸び、一気に5匹の首を切り落とす


「すごい切れ味だな」


 蛇の包囲を文字通り切り開き、突破した


「ふぅ、身体能力が大幅に強化されているとはいえ、ちょっときつかったな」


 肩で息をし、呼吸を整える


「それにしても来て早々巨大蛇の巣とはついてないな」


 彼が前の世界から渡ってすぐに落ちたのは巨大蛇が絡まるようにして眠っている巣のど真ん中だった

 最初は何に触れたのか分からなかった

 すべすべして硬い鱗はまるでタイルのようで、それらが動いて初めて蛇だとわかった

 そこからは必死に逃げた。 が、追いつかれて取り囲まれていたというわけだ


「ま、なんにせよ突破できてよかったよ。 ありがとうレコ」


「当然なのです! レコは石野さんの従者なのですから!」


 またレコの頭を撫でてあげると、目を細めて喜んだ

 まるで子犬のような可愛さがある


「さて石野さん。 この先に人がたくさんいる気配がします。 地球の人の気配はありませんが、何か聞けるかもしれません」


「ふむ、行ってみるか」


 少し歩くとすぐに道が見つかった

 レコの示す方向へと歩くと前方からボロボロになった戦士や魔法使いと言った風貌の人々が歩いてくる

 血まみれで歩くのがやっとの女戦士、足を失い仲間に肩を貸してもらっている格闘家の男、けがはそれほどないが、仲間の死体と思われる布にくるまれた荷物を抱える大剣使い、誰もが一様に憔悴し、仲間の死に涙している


「一体何があったのでしょう?」


「何か役に立てるかもしれん、ミコ、治療を頼めるか?」


 蛇の玉が光り、ミズチのミコが飛び出した


「わたしゅの力が必要でしゅか? 任せるといいでしゅ」


 ボロボロの冒険者と思われる人々に接触すると、彼らは少し安心したような顔になった


「治療を始めるでしゅ。 そこにならんでくだしゃいでしゅ」


 長い舌をチロチロと出しながら重体のものから治療していった

 ミコの力はすさまじく、意識のなかったものは意識を取り戻し、手足のなくなった者の手足はミコの脱皮した皮をあてがうことによって再生した


「奇跡だ…」


 誰ともなくそうつぶやき、その場にいた冒険者たちはミコに感謝した

 しかし死者を蘇らせることはできない


「弔ってあげるのです。 魂が迷うことなく神々の世界に旅立てるように」

 

 レコがそう言うと全ての玉から神獣たちが出てきた

 

「「「御霊送り」」」


 7人の神獣たちは鎮魂の舞いを舞い、死した魂を無事天へと送り届けた


「これで大丈夫ですわん。 みんな神様の元に旅立ったわん」


「んにゃ、きっと生まれ変わってまたこの世界に戻って来るにゃ」


 神獣たちの鎮魂によって死者は神々の元へ旅立つことができた

 光る魂たちが天へ上るのを皆で見送る


「ありがとう、どこのどなたか存じませんがおかげで皆すくわれました」


 冒険者のリーダーらしき男が深々と頭を下げる


「それにしても神の元に魂を送り届けるなど、君たちは何者なんだ?」


「私たちは神獣です。 アマテラス様に仕える7匹の神獣なのです」


 レコは得意げに胸を張ってそう答えた


「アマテラス様とは聞いたことのない神様だが、きっと素晴らしい神様なのだろう」


「そうですわん! よくわかってるわん!」


「ところで、どうしてそんなにボロボロになっていたんだ?」


 石野が尋ねると、悔しそうな顔をしながらリーダーが語ってくれた


 彼の名前はモルクと言い、ある化け物を退治するために数百人の冒険者を率いて戦いに出向いた

 結果から言うと見ての通り惨敗だった

 数百人いた冒険者はもはや数十人に減り、死体を回収できた者はまだ幸運だったと言える

 なにせ最初の一撃で半数がまず消滅。 骨すら残さずにだ

 回避行動をとるも次の一閃ですでに今の状態になったのだそうだ

 モルクはすぐに撤退を指示、今に至るらしい


「その魔物はどこに?」


「それは…。 あの岩山にある洞窟、ですが…。 それを聞いてどうするつもりですか? 倒しに行くというのなら辞めてください。 恩人をみすみす死地へ向かわせるなど剣士の名折れです」


 彼は立ちはだかって止めようとするが


「ヤコ」


 石野はヤコに抱えられて飛んで行ってしまった


「そんな…。 彼を止めなければ! みなさん! 急いで国に戻りますよ! 大部隊を要請して彼を助けるのです!」


 大恩ある石野を助けに行く準備をするために、彼らは所属しているギルドのある国へと戻って行った


あけましておめでとうございます


昨年はたくさんの方に読んでいただけてうれしい限りです


今年もよろしくお願いしますm(_ _"m)

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