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3-43

 ユトウでしっかりと湯治を果たし、この平和な世界を歩く4人

 どの観光地も素晴らしく、久しぶりにゆっくりとした日々を過ごしていた


「ずっとこんな平和が続けばいいのに。 でも、そうもいかないんだよね?」


「そうだな。 ルーナを狙う存在や闇に悪魔、問題は山積みだ」


「一体私たちはどうすればいいのでしょうか…。 私はただ、故郷の世界に戻って妹と静かに暮らしたいだけなのに」


 うなだれるルーナ

 人の何十倍もの時を生きていたが、それでもまだ子供

 今までを振り返り、その壮絶な戦いの日々を思い出して思わずため息が漏れた


「まぁ今はこのお休みを楽しむことだぜな。 何も考えずにな」


 パリケルの一言でルーナは休暇を楽しむために頭を切り替えた


 次に目指す観光地は動物の街と呼ばれる巨大な自然公園だ

 ここは自然と街が見事に共存できており、街のいたるところに自然な形で野生の動物たちが見られる

 動物たちも人間に慣れていて、触れ合うこともできる


 街、というより樹を利用して作られた集落のような場所が最初に目に入った

 そこではエルフや獣人、翼人や人間がゆったりと暮らしているようだ

 一見すればただの森にいるようだが、そこかしこにツリーハウスや巨木の内部に造られた家があり、ヒトも動物も出入り自由となっている


「あ! 猫ちゃんがいますよ!」


 ルーナは駆けて行って餌をもらうために群れている猫の輪の中に飛び込んだ

 猫たちは全く警戒しておらず、むしろすり寄ってくるほど人に慣れているみたいだ


「このモフモフ感、癒されるなあ」


 いなみもいつの間にか輪の中にいた

 リゼラスは恐る恐る猫たちを撫でている

 実を言うと彼女は猫好きなのだが、その目つきや雰囲気のせいかいつも逃げられていたのだ


「さ、触れるぞ。 私にも猫が触れるぞ」


 ほんわかとした表情で猫たちを優しく撫でる


「よかったら餌をあげてみるかい?」


 猫の餌やりをしていたおばさんがそう声をかけてくれたので、餌を分けてもらって猫たちに与える

 手から直接食べる子もおり、ざらりとした舌で舐められてくすぐったかった


 猫たちに触れて満足した後は、よく手入れされて綺麗な毛並みの鹿や野ウサギ、見たことのない角の生えた狼、ハニーベアと呼ばれる穏やかなクマ、さらには真っ黒な虎や翼の生えたライオンなど地球にはいない動物たちがそこかしこに悠然と歩いていた

 猛獣と恐れられるようなクマや虎やライオンもここにいる動物は一切人を襲わない

 それほどまでにきちんと共存ができているのだ


「僕、まさか虎に乗れる日が来るなんて思わなかったよ」


 なんと、いなみは虎の背に乗せてもらっていた

 虎自体が乗れと促してきたのである

 地球の虎より一回りほど大きいため、甲冑を着ているリゼラスでも容易に乗せることができた


「おっほ、見るぜな! この熊すごく人懐っこいぜな」


 パリケルの方を見ると、彼女は数匹のハニーベアに囲まれて舐めまわされていた

 クマたちの唾液からはハチミツのような甘い香りがするため、まるで香水のようにいい香りだった


「うへぇ、べとべとになったぜな」


 動物たちと戯れていると、エルフの一行が街の奥からやって来た

 彼らは巨大な兎に乗っている

 

「おっきい…」


(お姉ちゃん! 私にも触らせて!)


 サニーがルーナに頼む

 シフトしたサニーは走って兎の前に来た


 ひくひくと鼻を動かし、サニーの臭いをかいでいる兎

 サニーがその鼻に触れると、ぺろりと顔をなめられた


「可愛い!」


 兎に抱き着くサニー


「よかったら乗ってみますか?」


 エルフの一人にそう言われ、一も二もなくうなずいた


「わ~、ふわふわのもこもこ」


 背に乗ると、よく手入れされているのか、背中の乗り心地は最高だった

 まるで高級な毛布にくるまれているかのような感覚で、しかも温かく、兎の息遣いによって上下するためゆりかごに乗っているようだ


「私この上で暮らす」


 などと変なことまで言い始める始末だ


 兎から降りてエルフにお礼を言い、買ってきたニンジンを兎に与える

 その後も多種多様な動物たちを触れ合って4人は幸せな時を過ごした


たまにはこういう回が続いてもいいですよね?


そしてこれが今年最後の投稿


来年一日目はもう一つの連載を投稿します

こちらは二日からです

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