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3-40

 アナサと別れ、再び世界を渡ったルーナ達は新しく来た世界の大きな街を歩いていた

 街に来たはいいが、この世界の通貨を持っていないため、宿に止まれず右往左往していた


「野宿でも大丈夫だぞ、私は」


「でも、こんなきれいな街あまりないですよ? この世界には闇の気配も黒族の封印もありませんし。 たまには異世界を観光してみるのも悪くないじゃないですか」


 休暇のようなものだとリゼラスに説いた

 

「俺様も観光なんてとんとしてないぜな。 それも異世界で観光なんて考えもしなかったぜな」


「僕も」


 次に転移するための魔力が溜まるまで一日程度だが、しばらく滞在して少し体を休めることにした


「ギルド、ありますね。 ひとまずお金を稼いで旅費を溜めませんか?」


「そうだな。 なんにせよ金は必要になる」


 四人連れ立ってギルドへ入ると、一斉に視線が集まった

 臆することなく受付へ行くと、優しそうな女性が対応してくれた

 まず魔力と適正職を調べることとなり、奥の部屋へと通された

 既に数人が来ており、その後一人の青髪の美少女が入ってきて全員集まったようだ


 まず魔力計で順番に魔力を計測した結果、ルーナといなみが計測器を破壊するほどの魔力を持っていることが判明した

 これは当然の結果だったが、その後に異様なことが起こった

 最後に部屋に入った少女はこの世界の者であるにもかかわらず、魔力計を破壊したのだ

 受付嬢が言うには、100万を超える魔力を持っているという


「あの子、僕たちと同じような神様の力をもってるってことなのかな?」


「分かりません。 でも、接触する必要があるかもしれないですね」


 次は適正職を調べるらしい

 

「では、こちらで、手をかざしてください」


 三つも計測器を破壊された受付嬢はすすり泣きながら適正職を調べるためのオーブを持ってきた


「順番にお願いしますね」


 受付嬢はしゃがみ込み、壊れた計測器についてどう説明しようかと悩んでいる


「まずあたしからいかせてもらうわね~ん」


 いかにもなオネェ口調でがっしりとした男がオーブを掴む


「えーっと、トーレさんは、拳闘士ですね」


「あらあら、あたしにぴったりじゃないのぉ~」


 嬉しそうな顔で男は女の子のように飛び跳ねる

 他にいた何人かが終わり、パリケルの番となった


「えーっと、不明? こんな表記初めて見ましたよ。 すいません、ギルドでは分からないみたいです。 王国にあるセレベア神殿ならわかると思うのですが」


「いいぜな。 俺様の実力は計り知れないってことだぜな」


 パリケルは胸を張って自慢するように腰に手を当てる


「次はリゼラスさんです」


 リゼラスがオーブを掴むと、こちらも不明と出た


「えええええ! 騎士じゃないの!?」


 受付嬢は再び頭を抱えてうずくまった


「何なんですかこの人達ぃ!!」


 次はいなみ

 当然のごとく不明

 そして続くルーナももちろん不明だった


「あう~、上司になんて報告したらいいんですか」


 そして最後は青い髪の少女

 そこには、神と出ていた


「え? 神? え? あのこれ壊れてるんじゃ?」


「こ、壊れてませんよ。 だってそれ、今朝点検したばかりなんですよ? アハ、アハハ、あれ? もうこれ分かんないや」


 不明四連続に続いて神と出たオーブ

 受付嬢はあまりの事態に打ちのめされ、やがて気絶した


「あらら、どうしましょうか…。 他にギルドスタッフの方はいないんですかね?」


 ルーナは受付嬢がオーブを持ってきた部屋に行ってみたがそこは倉庫で誰もいない

 仕方なく受付嬢をトーレが運び、冒険者たちが集っているギルド内にある酒場へ連れて行った

 そこで彼女を介抱していると、ギルドの奥からこわもての男が出てきた


「む、メリー、どうしたんだ?」


 受付嬢の名前を呼ぶ男


「ちょっと不測の事態で倒れちゃったみたいなのよぉ~」


 トーレが優しくメリーの額に濡れタオルを乗せた


「介抱してくれたのか。 すまない」


 こわもての男はこのギルドのマスターで、もちろん彼女の上司だ

 名前をベックルと言い、資料を整理して自室から出てきたところだった


「あとはこちらで見る。 君たちのギルドカードは出来上がっているから受け取ってくれ」


 ベックルからカードを受け取り、ギルドから出た


「これで取りあえず依頼は受けれるようになりましたけど、あの女の子のことが気になりますね。 ちょっと話してみます」


 ルーナはすぐに少女の元へ走った


「あの、ミコトさん、でしたっけ?」


「あ、え? あ、うん、俺、じゃない、私に何か用?」


「あなた、もしかしてこの世界の神様ですか?」


「そんなたいそうな者じゃないよ。 実は、私にもなにがなんだかわかってないんだ」


 ミコトは自分の境遇を語った

 それはルーナにも経験があることで、すぐに理解することができた

 

 転生

 ミコトは生きながらにして別世界へと転生したのだった


「嘘、だろ? 俺が、転生? 意味わかんねぇよ!」


 ミコトは涙目で考えたが、あまりにも突拍子がなさ過ぎてすぐに思考が停止してしまう


「何か、この世界の神様の思惑があるのかもしれません。 確か神様は神殿で交信出来たはずです。 まずは王国のセレベア神殿を目指し、そこで聞いてみましょう」


 ミコトに課せられた使命を知るために、一行は王国へと旅立った


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― 新着の感想 ―
[一言] ········お姉さァァァん!?
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