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3-34

 二人に連れられてさらに奥地へと踏み入ると、激しい戦闘音が聞こえてきた

 そこでは触手で出来た人型の魔王が鞭のように触手をしならせて狼の神獣コロオを追い詰めていた


「「コロオ!」」


「無事だったのかシロナ、クロネ!」


 触手が迫るのをかいくぐりながら、二人を見て安心しているようだ

 その彼に先端の尖った触手が迫る


「「コロオ! 危ないです!」」


 触手はコロオに突き刺さった

 

「ぐふっ」


 腹部を貫かれて吐血する

 深く突き刺さった触手はそのまま抜け落ち、コロオの体内に毒を送り込み始めた


「キヒ、一匹目~」


 頭部の触手がパカリと開き、そこから人のような顔が出てくる


「次は、蛇だなぁ。 キヒヒ、ヒヒ」


 腕の触手をずるりと伸ばし、シロナとクロネ二人に襲い掛かるが、デリアルが盾でそれを防いだ


「二人とも、下がって!」


 シロナとクロネをかばうように前に出ると、光の剣を構えた


「邪魔、するなよ」


 触手は手を振り上げてデリアルに振り下ろした

 槍のようにとがった触手が降り注ぐ

 その流れを読みきり、ほんの少し体をよじっただけで全てを躱した


「キ、避けた? もう一度だ」


 二撃目を振り下ろしたが、それもすべてを躱された


「無駄無駄。 全部見えてるっての!」


 光の剣で触手を斬ると、一気に詰め寄り頭をはねた


「コロオさんの治療を」


 ルーナは毒に侵されたコロオの治療を始めた

 顔色は土気色になり、苦しそうなコロオ

 ルーナの力によって毒は浄化され、傷口も塞がった


「助かった、よ。 ありがとう」


 弱弱しいが、もう大丈夫なようだ


「キヒ、隙だらけ」


 デリアルの後ろで声がした

 今倒したはずの触手魔王が、右腕に自分の頭を持ち、立ち上がっていた


「うわ、気持ち悪いぜな」


「倒しきれていなかったか。 どれ、この手の魔物はだな」


 リゼラスが手を触手魔王にかざした

 そこから炎の塊が吹き出て魔王を焼き尽くした


「焼けばいいんだ。 再生できないほど炭化させれば起き上がることもない」


 消し炭のようになった魔王


「「魔王を一撃、すごいのです」」


 この森の魔王を無事倒し、次なる魔王を探索するディゼルア


「分かりました。 次は西へ向かってください。 コルトバ砂漠です。 そこから強力な気配が感じられます」


 神獣たちに別れを告げ、コルトバ砂漠へ飛んだ

 かなり広い砂漠だが、ところどころにオアシスがあり、巨大なオアシスに砂漠の王国が築かれている


「魔王はオアシスにいるようです。 コルトバ王国が危険です。 急ぎましょう」


 美しいオアシスを基盤に創られたコルトバ王国は、すでに魔王に占拠されていた

 強靭な甲殻を持ったスカラベベースの魔王

 女王のように君臨し、人々を奴隷のように働かせていた

 すでに国王が幽閉されており、王国の周囲には虫型の魔物が配置されている


「王国の人々が人質に取られる可能性があります。 慎重に行きましょう」


 認識阻害で姿を隠し、こっそりと門を抜けて王国へ侵入した

 なかでは砂漠に住む砂人と呼ばれる種族が魔物たちに働かされていた

 砂人は体を硬い鱗に覆われた穏やかな種族だ

 渇きに強いため、砂漠に適応した種族である


「ひどい状態だな。 解放を急ぐぞ」


 見張りの目から隠れ進み、城の内部へ侵入する

 城の中も魔物が徘徊しており、気づかれないよう慎重に進んだ


「ここが王の間のようですね。 扉を開くと気づかれるかもしれません。 私が内部を見てきますね」


 ルーナは空間の力を利用し、内部へと侵入していった

 王の間の中には甲虫の魔王が玉座に座し、微笑んでいた


「誰か、入ってきたようね」


 認識阻害をしているにもかかわらず気づかれた


「あなたは、誰? 私の敵なら奴隷にしてあげる」


 気づかれたのには驚いたが、位置まではつかめていないようだ

 

 ルーナは姿を現した


「今までより明らかに違いますね。 あなた」


 今までの魔王より明らかに知能が高そうだ

 それに比例しているのか、魔力も異様に高い


「あぁ、そりゃぁ、私は人間と同じくらい知能が高いもの。 もともとはね、この国で神としてあがめられてたんだけど、あの時変な黒いものを触ったら力が溢れてきちゃって、さいっこうの気分よ!」

 

 突如攻撃された

 虫を弾丸のように飛ばしてくる魔王


「大丈夫か!?」


 大きな音を聞き、リゼラス達が飛び込んできた


「あの者、もともとは神獣です。 どうやら闇にのまれているようです!」


(そういえば崇められてたって言ってた)


 ルーナはなるべく傷つけないよう彼女を解放することにした

 闇を払うすべなら黒族の時に経験している

 素早く回り込むと、彼女を当て身で気絶させ、聖なる光を注ぎ込む

 やがて体内から黒いもやが立ち上り、消えた


「う、うぅ、私は何を…」


 黒族の時と同じように意識を取り戻した彼女

 今まで自分がやっていたことを覚えていないようだ


「そんな、私がこの国の民を…」


 話を聞いてショックを受けているようだ

 すぐに国王たち城の者を解放すると、誠心誠意謝ることで事なきを得た

 もともと国王も彼女が操られていることを理解していたということもあり、スムーズに受け入れられた


「これでこの国は安寧を取り戻すでしょう。 次はここからさらに西です。 花人達が住む楽園と呼ばれる場所に反応があります」


 ディゼルアの導きにより、一行は次の目的地を定めてまた飛んだ


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