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3-33

 標高3000メートルを超える山々が連なる場所

 そこに翼人族の国があった

 既に魔王が出現しているのか、不穏な気配が漂っている


「集落は一番高い山のふもとにあるはずです。 すぐにそちらに向かってください」


 山の名前はラトラ山

 標高7000メートルを超える山だ

 その頂上が黒い雲に覆われている


「あれはなんだ?」


「あそこから邪悪な気配を感じます。 おそらくそこに魔王の一人がいます」


 ディゼルアの言う通り、雲からは闇の気配が漂っていた


「ここは俺が!」


 今のところなんの役にも立っていないことに焦り、自ら名乗りを上げたデリアル

 彼は思い描く

 今まで見た能力、覚えている力を思い出した


「いくぞ!」


 背中に白い翼が生える

 その翼を動かし、空を飛んだ


「私たちもついて行きます!」


 ルーナといなみも翼をはためかし、デリアルの後に続いた


「あ、置いていかれたぜな」


「まぁ大丈夫だろう。 ルーナといなみに勝てる者など容易には想像できんからな」


 置いていかれたパリケルとリゼラスはそのまま麓の村に向かうことにした


 上空へ向かう三人

 黒雲の近くまで来ると、目を凝らして中を見た

 その中には人型をした何かの影が見える

 それは中で糸を張り、ゴソゴソと動いている


「雲を吹き飛ばす。 下がっててくれ」


 デリアルは風を手に集め放った

 暴風となった風は黒雲をあっさり吹き飛ばした

 なかから出てきたのは蜘蛛の下半身を持った女性だ


「アラクネ、もしくはアラクニド型魔物が魔王化したもののようですね」


 ディゼルアが冷静に分析した


「アラ? 人間? タベテイイの? かしら」


 小首をかしげて嬉しそうに舌なめずりをする

 糸を噴出し、こちらを捕らえようと動いた


「炎盾!」


 デリアルは炎でできた盾を出して糸を焼き尽くす

 

「神斬り!」


 次にいつの間にか現れた日本刀のような刀で斬撃を放った

 その斬撃は正確に魔王の腹部をとらえ、切り裂いた


「ウソ、ワタシ、斬られ、て」


 蜘蛛魔王は山を転がり落ちていき、息絶えた

 彼女が巣を張っていた場所からは大量の人間や翼人族の骨が見つかり、人を喰らっていたことが分かった


 麓の村でも行方不明となっていた者達が物言わぬ死体となって返って来たことで悲しみに包まれる


「悲しんでばかりもいられません。 あと10体。 彼らを倒さなければ被害者がさらに増えることになります」


「そうですね。 次はどこなんです?」


 ディゼルアが探知を開始する


「見つけました。 次は二人が同じ場所にいるようです。 場所は南西、深緑の森の奥地です。 ここには神獣たちがいた這なのですが、彼らと連絡が取れません」


「急ぎましょう!」


 深緑の森には数体の神獣がおり、森を守っていたはずだが、ディゼルアとの繋がりが途絶えてしまっている

 微弱ながら生きていることがわかる程度になっている


「うわ、ほんとに真緑、空気も濃い気がします」


 森の奥へ進むと、木々が倒れていた

 そして聞こえる戦いの音

 音のする方へ走ると、白と黒の蛇の尾を持った少女二人が闇を纏ったゴリラのような男と戦っていた

 少女たちはすでにボロボロで白い少女はその場に倒れ込んでしまった

 そこを男が拳を振り上げて襲い掛かる


「シロナ!」


 黒い少女が助け起こそうとするが、その二人に拳による殴打が襲い掛かった

 少女たちは目をつむる

 殴打の音が聞こえるが、自分たちに降り注ぐことはなかった


「グガ、なんだ、オマエハ」


 少女たちを助けたのは巨大な盾を構えたデリアル

 彼はそのまま盾を男に打ち上げ、放りあげられた男に向かい、盾を打ち付ける

 骨と内臓がぐしゃりと音を立てて潰れた

 地面に落ちた男はピクリとも動かない


「「助かったです! ありがとうです!」」


 二人は息のそろった声でお礼を言った

 蛇の神獣であるシロナとクロネだ


「「ディゼルア様! 大変なのです」」


 二人が今この森に起きている情報を教えてくれた

 この森にいる魔王は今のゴリラ男だけでなく、もう一人、触手で出来たような気味の悪い男がいるらしい

 それを他の神獣が相手にしているという


「「あっちはもっと強いです!」」


 森のさらに奥地で暴れている触手を抑えているのはこの森を守る狼型の神獣だ


「「早くしないと、コロオが危ないのです!」」


 ルーナ達は二人に連れられて森の奥へと走った


アナサがコンタクトしてくる数ヵ月前の話です

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