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石野の異世界放浪記1

 赤井の部屋に戻った石野

 目を覚ますと朝日が差し込んでいた

 ガチャリと扉が開く


「石野さん! 戻ってたのかい」


 驚く赤井

 

「あぁ、赤井さん、俺はとんでもないことにかかわってしまったのかもしれません」


 何があったのかを詳細に語ると、赤井は興味深しげに考え込んだ

 

「それで、石野さんは異世界へ行くのかね?」


「えぇ、三人を連れて必ず戻ってきますよ」


「羨ましいね。 長年異世界の研究をしていたが、まさか神と言う存在がいるとは…。 私の想像を大きく超えてしまったようだ」


 赤井の表情はどことなく寂しそうに見えた

 

「とりあえず、俺は準備するので一旦帰ります。 それとこの刀なのですが」


「あぁ、それは君にやろう。 必要になると思うからな」


「いやしかし、これは赤井さんの宝では?」


「いいんだよ。 今は異世界に飛ばされてしまった者たちを無事戻すことが先決だからね」


「ありがとう、ございます」


 石に戻った刀をポケットにねじ込み、石野は家へと戻った

 少しの間だったがルーナと暮らした家

 娘として接してきた幼い少女

 必ず彼女を連れて戻るという決意を胸に、石野は準備を完了した


「たしか、狐玉であの娘を呼び出せるんだったな」


 石野は玉を手に取り、祈ってみた

 すると玉が少し光り、狐娘が出てきた


「おっそいのです! ツクヨミ様が待たれてるのです! 早く行くのです!」


 可愛らしく怒る狐娘


「あぁ、すまない。 ところで、君は名前を何と言うんだ?」


「名前、ですか?」


「あぁ、呼ぶときに君とかじゃ困るだろ?」


「わちきはレコ。 白狐のレコなのです!」


 微笑む姿は見た目通り、あどけない少女のそのもの

 

「じゃぁ頼んだぜレコちゃん」


「レコでいいのです。 じゃぁ、飛びますよ」


 レコは術を展開し、石野と共にあの古い神社へと飛んだ


「本殿に行くのです。 神様もみんなも待ってるのです!」


 本殿に入ると、猫娘や犬娘、猿娘など、玉に書かれた娘たちが正座して行儀良く並んで座っていた

 レコもその列に加わり、神棚に向くと、全員が一斉に礼をした

 神棚が光り始める


「降臨されますわん」


「石野さんも礼をしてくださいにゃ」


「あ、あぁ」


 石野も正座し、神棚に礼をした


 やがて光が収まり、三柱の神が現れた


「おお、そなたが適格者かの?」


「そうです姉様」


「矮小な。 この程度に務まるのか?」


 三柱はまっすぐ石野を見据えている

 石野はあまりの神々しさに動けずにいた


「さて、わらわたちの加護をそなたに与えよう。 こう見えても我らは上位の神じゃ。 それなりに戦えるようにはなるぞ」


「は、はい、ありがとうございます」


「そうかしこまらなくてよい。 そなたは我らの大切な民。 それに世界のために働くのじゃ。 むしろこちらが頭を下げようというもの」


 そう言って三柱は頭を本当に下げた

 それに習って神獣たちも頭を下げる


「では、加護を授けるぞ。 覚悟はいいか?」


「はい!」


 石野は三柱から加護を受けた

 アマテラスからは若返りとどんな傷をも瞬時に回復する再生力を

 ツクヨミからは全ての世界の言葉を理解する力と異世界に飛ばされた者達と共闘したときに更なる力をあ与える力を

 スサノオからは体を武器とできるだけの力を

 それぞれ加護として授かった

 

「これは、16、7歳くらいに戻っている?」


 石野は若い肉体に戻り、体が軽くなるのを感じた


「では、そなたに世界を渡る力を。 これは転移の女神エインカ姉様からお借りした力じゃ」


(姉様? 日本の最上位の神様に姉?)


 石野に疑問は浮かんだが、日本の神は八百万と言う通り相当な数がいる

 そういうものだと割り切ることにした


「では、よろしく頼んだぞ、石野。 彼らを手伝ってやってくれ。 それと、そなたの心配している三人じゃが、わらわたちでは何処におるかまでは掴めぬ。 だがの、これからそなたが巡る世界には必ずこの世界から転移した者がおるはずじゃ。 彼らの意志を尊重して協力してくれ」


「はい」


 その時は意思を尊重するという言葉の意味は分からなかったが、後々になってその意味を知ることとなった 

 

 こうして石野は別の世界へと旅立っていった

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