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3-25

 シンガは考えていた

 

(闇…。 悪魔だと? まさかそんなことが)


 一抹の不安を抱えながらも、今の自分では何もできないことを腹立たしく思った



 魔法少女を追うルーナ

 眼はキラキラと輝いている

 追われている彼女は全く気付いていないようだ


「あ、あそこの巨木の陰に降りましたよ!」


「は、速いよルーナちゃん!」


「まったくだ。 興奮しすぎだぞ」


 いなみとリゼラスが必死で追うが、追いつけない

 パリケルはというと、早々にあきらめて歩いていた


 魔法少女の降りた森、その巨木の陰から中学生くらいの少女が出てきた


「ふぅ、今日も無事みんなを守れた」


 そう言って少女は固まった

 目の前に興奮した女の子がいたからだ


「魔法少女さんですよね!」


「う、あ、え、えーっと、違う、よ」


 彼女が魔法少女であることは間違いない

 変身前と魔法少女の時で髪型は違うが、顔は全く一緒なのだ

 もし彼女が有名人で、顔も知れ渡っているのならば確実に変身前の正体もばれるだろうというほどに


「でも、顔も一緒ですし、何より、お姉さんから魔力反応がありますから」


 少女は驚いた顔をしている

 

「嘘、なんで? 女神さまが正体がばれないようにしてくれてるはずなのに」


「え? そうなんですか? これだけ顔も魔力的波長も一致しているのに」


(アリアテ様! こんな女の子にばれちゃってます!)


 少女は心の中で必死に女神アリアテに問いかけた


(そんな、まさか…。 逃げなさい瑞美。 その子は私よりも強い力を持っています。 あなたの叶う相手ではありません)


(で、でも敵意は感じませんよ)


 女神はルーナを観察する

 目を輝かせて瑞美をみるルーナからは全く邪悪なものを感じず、むしろ好意的な感情を感じた


(大丈夫、そうですね。 でも警戒はしておいてください。 それと、その子には私の力が通用しません。 正体は完全にばれているとみて間違いないでしょう。 なぜこれほどまでの力を持った子がいるのかはわかりませんが、くれぐれも口外しないよう口止めをしておいてください)


(わかりました)


「あ、あのね、できれば私の正体を黙っておいてほし」


「わかってます!」


 食い気味にルーナは言った


「もちろん正体は誰にも言いません! ただ、私も一緒に戦ってもいいですか?」


「え?」


 何を言ってるんだこの子は、と思った

 力はとんでもないと聞いたけど、悪魔と戦うには危険が伴う

 こんな小さな子にそんなことはさせられない


「だ、だめだよ。 悪魔はね。 とっても危険なの! だからね? お家に帰ろうね」


「大丈夫です! 私強いので!」


 そう言うとルーナは巨木に近づき、殴った

 巨木はなんの動きもない

 

「だ、大丈夫? 手、痛くない?」


 その直後に巨木は砕け散った

 

「あ、え? な、なにが…」


 自分でもここまで大きな木を拳で砕くことなどできない

 少女の力の一旦を見て恐ろしくなった


「と、とにかくダメです!」


 瑞美は慌てるように逃げていった


「あ、行っちゃった」


 遅れてリゼラス達が到着する

 

「どうだったんだ?」


「ダメでした。 力を見せたんですが、危ないからって」


 リゼラスは力を見せたからなんじゃないかと思ったが、口には出さない


「とりあえず、この世界も問題を抱えているみたいです。 私たちもできうる限りあの魔法少女さんの手伝いをしましょう」


「次の転移の魔力はどのくらいで溜まるんだ?」


「ここでしたら二日くらいあれば溜まります」


「なるほど、魔力濃度が濃いのか」


 三人が話し終わったところでようやくパリケルが追い付いた


「ぜぇ、ぜぇ、皆速すぎるぜな。 俺様、もうだめ」


「4号ちゃんのライド機能使えばよかったんじゃ…」


「あ」


 パリケルは4号に色々機能をつけすぎて忘れていたようだ


 それから数日、住処を確保し、魔法少女が悪魔を退治している最中に別の場所で現れた悪魔を倒す日が続いた

 次第にルーナたちもヒーローとしてこの世界に認識され始める

 ルーナが現れることで歓声も沸き始めた




(おいパリケル。 あれは本当に悪魔なのか?)


 シンガはこの世界の悪魔と呼ばれる存在を観察して疑問に思った


「この世界の住人が言ってるんだからそうじゃないんですか?」


(ふむ、いや、あれは闇…。 に似ている。 確かに力の流れはかつての悪魔に似ているのだが、根本的に違う点がある)


「違う点ぜな?」


(あぁ、悪魔はもっと人間に近い姿をしていたはずだ。 我ら神の反存在であるあれらはかつての大戦争で我らに敗れて封印された。 このような下位の世界に湧き出ることなどありえん)


「では、悪魔の力を持った偽物ということぜな?」


(一概にそうとは言えん。 怨念のようなものも感じる。 封印が解けかけ、思念が漏れ出しているのかもしれん)


「なるほど、思念ですか」


(この世界の神に会う必要がある。 なんとしてもあの魔法少女とやらと接触してもらいたいのだが)


「う~ん、我らは避けられているようですからなぁ。 まぁやれるだけのことはやってみます」


(頼んだ)


 パリケルとシンガの話は終わった

 

 ルーナは相変わらず瑞美との接点を持とうとするが、すぐに逃げられてしまう

 追えないこともないが、余計に嫌われることは避けたい


「どうしたもんかね~」


 パリケルは頭を抱えた

 とにかく接触するために、悪魔が出ては退治していくことにした


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