3‐17
イギリスから戻ったルーナは手紙を美智に手渡した
彼女はいまやレジスタンス日本支部のリーダーだ
手紙を開くと美智は嬉しそうな顔をした
「イギリスもドイツも周辺国も全面協力してくれるみたい。 ヨーロッパはどうやら私たちと共に世界を変えようと思ってくれてるみたいよ」
ルーナにそう説明する美智はすぐに動けるように能力者たちを集めて色々と指示を出している
「私たちはアメリカにいったんもどりマス。 何かあったら連絡くだサーイ」
メリルはそう言ってアメリカへと帰っていった
それにしてもこれだけ大々的に動いているのにメリルはアメリカ政府に目をつけられていないのだろうか
ルーナはそう心配しながらメリルの無事を祈った
そしてその不安は現実のものとなる
数日後、メリルから渡された通信機が鳴った
「ザーザザ…。 ザー、ナ、助け…。 アメリ、はもう、私たちもこれ以上は抑え…。 キャァアアア!」
そこで通信は途絶えた
「すぐに助けに行かなきゃ!」
慌てるルーナを冷静にリゼラスが止めた
「一人では危険だ。 イギリスに救援を求めるんだ」
すぐに美智たちに伝えると、イギリスへと連絡してくれた
イギリスの方もすぐに対応してくれるらしい
「大丈夫かな? 、メリルさん」
「準備が整ったらすぐに助けに行こう。 僕たちもあの人にはお世話になったんだから、次は僕たちがあの人を助けるんだ」
いなみも行く気満々みたいだ
数時間後
「イギリスの準備ができたみたい。 私がイギリスのレジスタンスたちを運ぶからルーナちゃんもついてきて」
美智によってイギリスにテレポートすると、すでにレジスタンスたちが施設前の広場に並んでいた
周辺国からたくさんの能力者たちが駆け付けてくれており、さしずめ連合軍のようだ
「こんなにたくさん…。 すごい」
広場に収まり切っていないが、美智の能力でカバーし、一気にアメリカへと全員が飛んだ
アメリカの様子は、阿鼻叫喚だった
ビルはくずれ、家々は燃え、そこかしこに人の死体が転がっている
「ひどい…」
ルーナは倒れている子供の死体の見開いた眼を閉じてあげる
「こんなにたくさんの人が、なんで?」
その時空のはるか上空から何かが落ちてきているのが見えた
燃え盛るそれはまっすぐこちらに向かってきている
「なに…。 あれ…」
いなみがあっけに取られて空を見つめる
「皆さん! 離れてください!」
ルーナは急いでサニーにシフトすると、向かってくるそれに向けて飛び上がった
「何よあれ、隕石?」
そう、それは巨大な隕石だった
街一つどころか、アメリカ全土が焦土と化すような巨大な隕石
「こんなの落ちちゃったら下の人達みんな死んじゃうじゃない。 誰よこんなの落としたの」
サニーは隕石に左手を向けた
「イレイズホール」
全てを飲み込む巨大な穴が中空に開いた
それは隕石を飲み込むと静かに消えた
「いたいた。 あいつが犯人ね」
辺りをきょろきょろ見渡して、魔力の残り香からサニーは隕石を落とした犯人を見つけ出した
その何者かと一瞬で距離を詰める
「ちょっとあんた。 あんなもの落としたら私はともかくみんな死んじゃうじゃない」
その何者かは酷く驚いた顔をした
真っ白な肌に赤い髪の女性
「私のメテオを消した? 何者なの?」
「とにかくあんたは私たちの敵みたいね」
魔力を纏うサニー
「くっ、メテオレイン!」
今度は複数の小さな隕石が空中に出現し、サニーに一斉に降り注いだ
「無駄だってば」
その全てを手と尻尾で、まるで羽虫でも落とすかのように叩き落とした
「嘘でしょ…」
「さて、あんたには聞きたいことがあるから一緒に来てもらうわよ」
背後に回り込み、女性を気絶させた
女性を抱えると、すぐにレジスタンスたちの元へ戻った
「あ、あの、隕石は?」
「消しちゃった」
全員があっけに取られているが、お構いなくサニーは続ける
「こいつが隕石落としてた犯人。 一応捕まえといた」
「あ、ありがとうございます」
レノは固まりながらも礼を言った
目を覚ました女性を問い詰める
すぐには答えなかったので催眠を掛けようと思ったが、あいにく催眠の能力者はいなかった
仕方がないのでルーナが洗脳の力を使って女性から情報を聞き出した
名前はウイラ・ウラジミル
ロシア政府の保有する強力な能力者の一人だった
アメリカのレジスタンスを全滅させるためにアメリカ政府から頼まれたらしい
どうやらロシアとアメリカは繋がっていて、レジスタンスを一掃する手立てを考えていたみたいだった
ロシアのレジスタンスはすでに壊滅
アメリカももう少しと言ったところらしい
メリルのことを聞いてみたが、その情報は持っていなかった
「まずいですね。 メリルさんの身が心配です。 先ほど監視の力でアメリカを探ってみましたが、彼女の気配が非常に弱弱しくて、ニューヨークにいること以外はつかみきれませんでした」
メリルは現在死にかけているようだ
現在地はテキサス州
すぐにニューヨークへと向かうこととなった
前の???って話を予約投稿してたと思ってたら
普通に投稿してしまっていました
あほだなァ…