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3-12

 中に入ると藤子が言っていたようにすぐに無力化装置のある建物が見えた

 素早く中に侵入すると、装置のある屋上まで走った

 道中に守りの兵がいるものの、全く気付かれることなく目的の装置の前まですんなりたどり着く


「すごいな。 ステルスとかいう魔法はここまで気づかれないものなのか」


「そう、みたいですね。 自分でも驚いてます。 でもステルスは光を屈折させて見えなくするだけだったはずなんです。 これ多分気配も消えてますね」


 ルーナは自分の体を見ながら確認してみる

 以前は光を屈折させて見えなくしていただけだったはずだが、今は見えないどころか臭いも気配も音も消えている

 日々成長していくルーナの力

 それによってステルス能力は本来の力を取り戻していた

 認識の力

 この力を発動させることによって相手の認識を乱し、たとえ姿が消えていなくとも、相手の目の前で手を振ろうとも、その相手を攻撃しようとも気づかれることがない

 誰にも気づかれることなく暗殺することも可能だ


 二人は同時に装置を攻撃し、破壊した


「これでみんな中に入れますね」


「あぁ、合流しよう」


 二人は入り口まで戻ると仲間と合流

 気づかれないよう少数で再び中に侵入した

 ルーナを含め、リゼラス、メリル、いなみ、藤子、加藤だ

 羽川やパリケル、覚醒した特殊能力者たちはは万が一のために後方で待機してもらうことにした

 しかし、藤子やリゼラスは不審に思っていた

 すでに特殊能力者たちの寮が襲撃されたことは伝わっているはずなのに、あまりにも警備が少ない

 それも、能力を持たない一般兵ばかりだ

 その理由はすぐにわかることとなる


「ここです。 この寮にサポート能力者たちがいるはずです」


 藤子が先に入り、中を確認するが、そこはもぬけの殻だった

 

「やられましたね。 既にこの施設に彼らはいなかったようです。 恐らくまとめて戦闘能力者のところに送られたのでしょう。 そして、罠だったようですね」


 藤子が回りを見渡すように方向転換をすると、そこに多数の能力者が突如として現れた


「藤子さん、あなたが手引きしているとは思いませんでしたよ」


「里中くん、久しぶりですね」


 整った容姿に高級なスーツ、冷酷そうな目をした男

 里中は表情を一切変えることなく藤子に向かって手をかざした


「危ない! 避けてください!」


 藤子が声をあげる

 すぐに反応して真横に避けると、後ろの建物が崩れ去った


「分解、それが彼の能力です。手の動きをよく見て避けてください。 それしか彼の能力から逃れる手段はありません」


 藤子が注意を促すが、ルーナはゆっくりと前に進み出た


「何やってるんですか! 危ないですよ!」


 叫ぶ藤子を無視してなおも進む


「この程度なの? それなら全く問題ないわ」


 ルーナではない

 すでにサニーにシフトしていたようだ

 里中はその異様な気配に今まで味わったことのない恐怖を感じた


「何だ…。 その異様な、力は」


 恐怖に顔を引きつらせながらじりじりと近づいてくるサニーを見つめる

 もはや後ろに下がることもできずにいた

 サニーからはこの場の誰もが恐怖するような殺気が放たれていた

 直接その殺気に触れている里中はもちろん、味方であるはずの藤戸やリゼラスまでもがすくんでいた


「あれが、ルーナちゃんの力…」


 自分たちとのあまりの力の差にその場にいるすべての人間が死を垣間見た


「あんた、この世界でも屈指の実力者なんでしょ? 私にその力見せてみなさいよ」


「うあ、あ、ああ」


 今までの無表情がウソのように恐れる里中

 一心不乱に能力を連発するが、サニーの前には全くの無意味だった

 里中の分解の力は、サニーの恐るべき再生能力によってどこにぶつけようが一瞬で回復された


「なにこれ、痒くすらないんだけど。 ちゃんとやってるの?」


 馬鹿にするように微笑む少女

 恐怖から最大限に能力を高めてサニーに放ったが、それすらも全く効いていない


「何なんだお前は! 来るな! 来るなぁあああ!!」


 里中は無様に逃げ出す

 今まで自分に勝てる者などこの国にはいなかった

 だが、今対峙した少女は次元があまりにも違いすぎた

 ほんの少しの殺気だけでここまでの実力差を示された

 自分の力に絶対的な自信のあった里中は戦う気力を失ってしまったのだ


「ま、まさか殺気だけであの里中君を退けるとは…」


 全員がその場に固まっていた

 

「ルーナちゃん?」


 いなみが声をかけると振り返った

 その雰囲気は先ほどとはまるで違い、穏やかで優し気だった

 

「サニーありがとう。 私じゃたぶん無傷で彼を倒すなんてできなかった」


(大丈夫よお姉ちゃん。 危なくなったらお姉ちゃんのことは私が守るもん)


「とにかく、ここには誰もいないようです。 となると、残すは戦闘特化の能力者たちのところなんですが…。 あそこはここよりもさらに危険度が増すでしょうね。 まぁ里中君をあそこまでたやすく退けるあなたがいるなら問題ないでしょう」


 現在各国のレジスタンスによる支援を受けて次々と不当に扱われている能力者を開放している

 洗脳された者も拘束し、順次洗脳を解いている

 残すは戦闘班全員がいるという巨大施設だけだ

 革命は順調に進んでいた

 

 そして、彼は微笑んだ

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