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集合と散在6

 二人の異形の少女は狭間の世界から自分たちの気に入りそうな世界を探していた

 可愛い動物たちが平和に暮らしている世界、人々が争い続け、憎みあう世界、自分たちよりはるかに巨大な人間たちが跋扈する世界、動物が全くいない植物が動き回る世界

 様々ある世界で二人は手をつなぎながら探す


「メロ、あそこなんてどうかしら」


「うん、綺麗な世界だね。 宝石みたいに輝いてるよ」


「あれが欲しいわメロ」


「フィフィのためならなんだって手に入れてあげるよ」


「うれしいわメロ」


 フィフィはメロの唇に自分の唇を重ねた

 様々な世界を見て愛を理解し、感情を少しずつ手に入れていく二人

 愛し合う者同士がする接吻を見て自分たちも取り入れたのだ


「じゃぁ行こう。 あれがもしかしたら僕たちの安住の地になるかもしれない」


「えぇ、あそこで私たちの愛を確かめ合いましょう」


 二人はフラルニードという世界に降り立った

 そこは自然豊かで、誰も争わない世界

 皆が平等でお互いがお互いを思いやる、そんな世界


 しかしその実、この世界には人々を管理し、導いているシステムがある

 人々はそれに管理されることを幸せに思っていた


「すごくきれいな世界よメロ!」


「そうだね、こここそ僕らの安住の地になりえるかもしれないね」


 とりあえず二人はこの世界を見て回ることにした

 完全に観光気分で


 一つ目の街、人々は笑顔で二人を出迎える

 既に二人がこの世界に降り立ったことは広まっていた

 恐らくシステムが伝えたのだろう

 そしてシステムは歓迎するよう人々を動かした


「まぁ、メロ、見て! 私たちを受け入れてくれてるわ!」


「素晴らしいねフィフィ、この世界は僕たちを歓迎してくれているよ」


 二人はそのまま街に入り、人々の歓迎を受けて楽しいひと時を過ごした

 そして街はシステムによって消された

 笑顔の人々と共にシステムは街一つをあっさりと消し飛ばしてしまったのだ


「「「これで、危機は、去った」」」


 機械のように無機質で、様々な声色が重なった声

 それがシステムの声、人々から神の声と言われる人間を管理しているAIの声だった


「あら、やっぱり歓迎してくれてはいないみたいね」


「痛たた。 なんだ、やっぱり僕らは受け入れられないのかな」


「そんなことないわメロ。 きっとどこかに私たちを受け入れてくれる世界があるはずよ」


「そうだねフィフィ、でも、この世界はもういらないよね?」


「えぇ、いくら宝石のようにきれいでも、私の大切なメロを傷つける世界なんていらないわ」


「うん、僕の大事なフィフィを傷つける世界なんていらない」


「「この世界は、いらない」」


 二人はこの世界を終わらせた

 それは誰も気づくことない一瞬の出来事

 二人の力は世界を渡るごとに強くなっている

 

「「「ガガガガ、ノガレ、オグ世界、壊、レ」」」


「あら?まだ生きてたの? 人間もどき、これに耐えきるなんてやるじゃない」


 亡くなった世界、狭間となった場所、管理AIの残骸が宙に浮いてまっすぐ二人を見据えていた

 

「「「オオオオオマエタチ、なにも、ノノノ、私、大切な、カエ、セ」セ」セ」


 声がぶれ始めている

 そろそろこのAIの消滅が近いようだ


「返せって言われてもね。 僕たちを受け入れない世界なんていらないじゃないか」


「あなたもそろそろ、消えなさいよ」


 フィフィがAIに近づき、指で軽くはじくと、AIは消滅した


「なんでどの世界も私たちを受け入れてくれないの? 私たちはただ平和に暮らしたいだけなのに」


「フィフィ…。 大丈夫だよ。 きっと、きっと僕が君の安心して暮らせる世界を見つけてみせるからね」


「ありがとうメロ、でも、あなたも一緒じゃなきゃいやよ。あなたがいなきゃ私は幸せになんてなれないもの」


「分かってるよ。 僕も君がいなきゃ嫌だ」


 二人は抱き合い、愛を確かめ合う

 感情を手に入れ始め、更なる力を手にする二人

 そして再び、安住の地を探して世界を回る


この二人はまた本編に絡んできます


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