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3-9

 奥に進むにつれて何か強い気配がしてくる

 サニーにとっては歯牙にもかけない他愛もない相手だが、加藤や設楽にとってはそうではなかった

 

「はぁ、私の腕を吹き飛ばせれるほどの力持ってんだからしっかりしなさいよね。 油断してたとはいえあんたお姉ちゃんの防御を突破したのよ? 誇ってもいいわ」


「お姉ちゃんって誰だよ。 俺はお前にしか攻撃してないぜ?」


「説明もめんどくさいからそれでいいわ。 とにかく、自信を持ちなさいってことよ」


 サニーは励ましているようだ

 これから立ち向かう敵、羽川と北川は加藤よりも強い

 加藤が恐れるのも仕方がなかった


「いなみ、お前は平気なのかよ?」


「うん、僕たちが何とかしなきゃ、それに仲間がいるからね」


 自分のいじめていた者が成長している

 だから加藤も腹をくくった

 

(こいつはこんな俺を許してくれた。 俺は、馬鹿だったな。 こいつが危ない時は俺が意地でも守ってやる。 それが俺の償いだ)


 やがて訓練所として機能している広場へと出た

 その奥に特殊能力者の寮がある

 恐らく彼らはそこに閉じ込められているはずだ


「誰かいるわ。 パリケルさん、後ろで結界を張ってて。 私がやる」


 広場に立っていなのは高校生くらいの少女

 彼女の目に光はなく、操られているようだ

 

「おい! そいつが羽川だ! そいつは戦いが嫌いなんだ。 助けてやってくれ」


 加藤が叫んだ


「洗脳を解けばいいのね? それならお姉ちゃんのほうが得意だわ」


 サニーはルーナにシフトする


「なんだあれ? 姿が変わってねぇか?」


「あれがあの子の力だ。 双子の姉妹が一つの体を共有している。 補助に特化しているのが姉のルーナ、攻撃に特化しているのが妹のサニーだ。 まぁ補助特化と言ってもルーナ一人でこの世界を破壊することはできるだろうがな」


 リゼラスが得意げに説明した


「げ、マジかよ。 あいつ一人でこの世界変えれるんじゃないのか?」


「だろうな。 だが彼女はそんなことはしないだろう。 あの子がやるのはあくまで手伝いだ。 その世界の者が変えなければ意味がないと考えているからな。 だからあの子が本気を出すのは別世界から来た脅威だけだ」


 加藤は納得した


 メラメラと燃え上がる羽川の体

 手から吹き上げる高温の炎

 それが一斉にルーナを襲った

 しかし炎はルーナを一切傷つけることなく消し飛んだ

 それに一切の感情も示さずまた炎をぶつける羽川

 何度も打ち付けては消され、それでもなお手を緩めない


「まずいです。 このままでは彼女の魔力が底をつきて命が!」


 一気に間合いを詰めると、羽川を気絶させた

 それと同時に洗脳を解く

 傷つけずに無力化することなどルーナには造作もないことだった

 

「おやおや、恵は本当に役に立たないですね。」


 どこからともなく声がした


「せっかく洗脳までしてもらって僕の意のままに動くようになったというのに。 処分しますか」


 いつの間にか少年が立っていた

 彼は手を羽川に向けると、空間が裂けた


「あぶない!」


 ルーナが盾となって裂け目を防いだ


「おや? これは、一体…。 僕の力を防いだ? 何故、どうやって…。 まぁいい、もう一度」


 また空間を裂くが、ことごとくを防がれ、修正された


「空間の力、ですか。 そのくらいなら私にもできますよ」


 ルーナが空間をゆっくりと裂くと、地割れが起き、施設そのものを裂いた

 

「嘘、だ…。 僕はエリートだったはず。 あの里中さんにも認められてたんだ。 僕より強い力があるはずがない!」


 そのまま後ろへとじわりじわりと下がり、少年は逃げた


「今のが北川だ。 空間を裂く力か、俺じゃ近づく前に殺されてたぜ。 それにしてもルーナって言ったか? お前強いんだな」


「当たり前ぜな。 この子は神すら退けたんだぜな」


 神がいることにも驚いたが、それすら退けるルーナの力に加藤は畏怖と尊敬のまなざしを送った

 

「とりあえず、この施設に派遣されたのは俺たちだけだ。 あとはこの施設に元々いる能力者くらいだが、ここにいるやつらはあんまり戦えないらしいぜ」


 加藤の情報通り、進んでいけど、出てくる職員は皆逃げていった

 そのままあっさりと寮までたどり着けた


「ここですね。 ここに来るのも久しぶりですよ」


 藤戸が持っていた鍵を使い、寮を開けた

 そこにはまるで囚人のように同じ服を着せられ、死んだ魚のような目の特殊能力者たちがいた

 

 彼らはこちらを見るとその目に希望の光が戻って来た


「レジスタンスだ。 彼らが助けに来てくれたんだ!」


 誰かがそうつぶやくと、一斉に歓声が上がった


 彼らを全員先ほどの広場に集めると、美智のテレポートで全員をレジスタンスの知られていない方の拠点へと運んだ

 こちらには戦えないレジスタンスのメンバーが数多く残っていた

 彼らは既に戦えるレジスタンスたちの全滅を知らされていたため途方に暮れているようだ


 しかしまだ希望はある

 その希望について美智は話し始めた


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