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エルフの女騎士2

 次元を渡った先、そこで見たのは楽しそうに遊ぶ破壊神の姿

 見た目は変わっていて、人間と変わらない姿なのだが、あふれ出る力まで抑えることはできていないようだった

 その笑顔を見、笑い声を聞くたびに怒りがこみあげてくる

 自分の目の前で両親を殺した破壊神に憎しみが溢れてくる

 ギリギリと歯ぎしりをしながら空間の裂け目から初撃を放った

 まるでロケットのようにまっすぐ向かう槍は見事に破壊神たる少女の胸を貫いた

 

 何が何だかわからないという表情で地面に倒れ込むと、血を吐き出しながら自分に突き刺さった槍の飛んできた方向、空間の裂け目を見る少女

 裂け目を手でさらに引き裂きリゼラスが出てきた

 周りでは今起きた事象が理解できない者、恐怖に引きつった顔をする者、悲鳴をあげながら逃げ出す者と、様々いた


 「無様だな、それでこそ貴様の最後にふさわしい」


 凶悪に笑い、さらに部下に周りにいる破壊神と遊んでいた者たちの殺害を命じる

 子供たちもいるためか、部下は一瞬たじろいだが、リゼラスの睨みに委縮し、手に剣を構え蹂躙を開始した

 逃げ遅れた子供たちは親に守られるように串ざされ、斬りつけられ、逃げようとした子もすぐに追いつかれ殺された

 騎士の中には泣きながら、謝りながら手を下す者も少なからずいた

 なぜなら以前までのリゼラスならば決してこのようなことを命じることはなかったから

 聡明で優しかった彼女はなぜここまで変わってしまったのか?

 部下たちは皆一様にある男のことを思い出す

 帝国の次元魔導士たちによって召喚された異世界の勇者

 リゼラスはその勇者と出会ってからおかしくなった


 勇者というにはあまりにも邪悪な気配がし、常に他人を見下しているかのような目

 皇帝も妄信しているのか、勇者のなすこと全てを称賛している

 誰もが可笑しいと思っているが、誰も皇帝に進言できるものはいない

 正確にはした者はいるが、皇帝に意見した次元魔導士や大臣たちは全て処刑されてしまった

 今や勇者含めリゼラスや皇帝に逆らえる者は誰一人としていない

 帝国は完全に勇者に乗っ取られてしまったのだ


 男がリゼラスに銃を向けているが、無駄だろう

 彼女の鎧は特殊な金属でできている

 その硬度はたとえ隕石が直撃しようとも防ぐ

 

 男が銃を撃った

 案の定たやすくはじかれ地面に転がる弾

 驚愕する男


 その時、殺したはずの破壊神―――少女が立ちあがる

 心配そうに話しかける男を殴り飛ばすと、少女がこちらに目を向けてきた


「ヒィィイ!」


 恐怖してしまう

 漏れ出る力をもろに受け、圧倒的な差、埋めることのできない差に気づいた

 ただ威圧されただけ、その威圧でリゼラス以外の騎士は気絶する

 笑顔で迫る少女

 破壊神と呼ぶにふさわしい力を抑えることなくリゼラスに歩み寄っていく


 すくむ体を奮い立たせ、勇者に借りた聖剣ララーバイを抜き放つ


聖剣ならば、これならばこいつを殺せる

勇者様はそうおっしゃてた

いける!


 リゼラスの鍛え上げた剣技が吸い込まれるように少女の体に傷を付けて行った

 速い、一般人ならば手の動きを見ることすらできないだろう

 しかしこの時少女の目にはそのすべての動きが捕らえられていた

 避けることもたやすいこの攻撃をあえて受けて見せた

 リゼラスに絶望的な力の差を見せつけるために

 

 聖剣は確かに少女に効いていた

 それでもランクの低い聖剣だった故に大した傷にはならない

 それどころか超回復によって既にふさがり始めている

 

「私に傷を負わせたいならデュランダル以上の聖剣でも持って来なさいな」

「ま、全部私が破壊しちゃったからないんだけどね」


 口惜しさから血がにじむほど唇をかむ

 先ほどまで弱弱しく、死にかけてい憎き敵を前に何もできない自分がいる

 

 少女が翼を広げ、くるりと回ると、まだ気絶していなかった黒騎士達は倒れ、死したはずの人々は傷を残すこともなく何事もなかったかのように蘇った


 その直後リゼラスの胸元に訪れる耐えがたい衝撃は、簡単に彼女の鎧と肋骨を砕く

 

ここまで、か

勝てない、今はまだ、な


 いまだ何か策があるのか、彼女は気絶した部下たちを持っていたマジックアイテムで回収すると、自分の世界へと戻った

 勇者に相談し、次の手段を得るためだ

 勇者は今や彼女のよりどころとなっている

 それが勇者による洗脳とも知らずに…



PCの調子が…

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― 新着の感想 ―
[一言] 昨日まで読んでた作品とほぼ同じ設定の召喚勇者きた! まぁ主人公が勇者でもなければなろう勇者とか3パターンくらいしか設定なさそうだけどね
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