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3-8

 テレポートは無事成功した

 美智のテレポートは強力で、数千人単位も運べるほどなのでこの程度の人数は余裕だった

 施設は目視できるほど近い

 ルーナは全員にステルスをかけた

 姿は景色に同化し、周りから認識できなくなった


「あれ? 装置の反応がありませんね。 それどころか見張りが一人もいない。 おかしいですね」


 あたりを見回しながら施設へと足を踏み入れたその時、全員に電流が走った


「な! 痺れ、て」


 ステルスが解け、ルーナ以外が倒れ込む

 ルーナはというとみんなが倒れた理由がわからないほどに電流が効いていなかった


「皆さんどうしたんですか!?」


「電流が流れてます…。 くっ、もしかするとこれは、待ち伏せされていたのかもしれません」


 苦しそうに顔をゆがめる藤子

 

「ひょう! 当たりだ! 俺のところに来てくれるとはな! クソ女ぁ」


 皆が痺れる中一人の男が現れた

 その男はいきなり殴りかかって来た

 その拳をルーナが受け止める

 するとその手のひらが爆裂し、ルーナは吹き飛ばされた


「一人目ぇ! 次はてめぇだクソ女!」


 男が目を向けたのはいなみだ


「お前、は、加藤…。 林司!」


 痺れてつらそうないなみがその正体を明かした


「お? 俺のこと知ってんのか、いなみにでも聞いたのか?」


「僕が、その、いなみだ!」


 痺れが回復してきたのか、いなみは誰よりも先に立ちあがる


「はん、なるほど、それがお前の能力ってことかよいなみ! お前は必ず生きて連れて来いって命令はそういうことか。 そんな能力者見たことねぇもんな」


 加藤林司はまだ目覚めていないいなみを死ぬ直前までいじめた男だ

 いなみにとっては嫌な相手である

 彼の能力は爆裂

 手で触れたものを爆発させる能力だ


「お前は、僕が倒す! みんな、ルーナを連れて先に行ってて!」


「待ていなみ、君はまだ能力が安定してないだろ魔法も下位しか使えないじゃないか」


 回復したリゼラスが心配するが、それでもいなみは先に行くよう促した

 

「分かった。 死ぬなよ」


 リゼラスは藤子と共にまだ痺れているメンツを抱えてルーナの元へ駆けた

 しかしルーナは既に起き上がっている

 怒りの気配を携えて


「いったいわね! 腕が無くなっちゃったじゃない!」


 ルーナからサニーにシフトしたようだ

 腕は爆破で吹き飛んでいたが、すでに再生が始まっており、後は皮の再生を残すのみだった


「嘘だろおいおい! 俺の爆破をもろに食らって生きてんのかよ!」


 どこか嬉しそうにサニーの方を見る加藤


「お前の相手は僕だ!」


 加藤に殴りかかるいなみ

 

「おっと、あぶねぇな」


 加藤はいなみの腕をいとも簡単につかんだ


「早く行って!」


 加藤を食い止めながら叫んだ

 サニーはうなずくとそのまま施設へと入っって行った


「まだ爆破しねぇよ。 お前は嬲って殺す。 めちゃくちゃにしてやるよ」


「やってみろ!」


 いなみは手に魔力を込めると炎を纏った


「熱ぃ! ハハハ、お前の力ってのは炎か? それにしてもいい女になってんじゃんかいなみぃ。 いたぶるのが楽しみだぜ」


 ニヤニヤ笑う加藤に嫌悪感を覚える

 次は手に雷を纏った


「な! 二属性かよ! 良い能力持ってんじゃねぇか!」


 さらに背中に風を纏って加速


「三属性だと!?」


 宙を舞い、加藤に雷の拳を叩き込むが、加藤は爆破で防いだ

 

(もっと、魔力をこめなきゃ!)


 雷を纏った魔力と炎を纏った魔力を合成し、さらに風で強化

 周りには磁力を纏った小石が浮き始める

 その小石に自分の合成した魔力を注いだ


「なんだよ、何だよその力!」


 驚く加藤に攻撃を開始する


「レイストーム」


 魔力で覆われた小石がまるでビームのように雨あられと加藤に降り注いだ


「ぐぁっ! うわぁああああああ!!」


 体中を貫かれ、加藤は戦闘不能となる


「ハハハ、痛ぇ…。 殺せよ、いなみぃ…。 俺が憎いだろうがよ」


「殺さないよ。 確かに憎い、でも、君のおかげで僕は少し強くなれた。 加藤君、君にまだ戦う意思があるなら僕たちを手伝ってよ。 日本を、いや、世界のこのおかしな仕組みを変えるんだ。 僕たち能力者が安心して暮らせる世界に」


「なんだよ。 何なんだよお前…」


「僕は、僕たちはこの世界を変えなきゃいけないんだ。 死んじゃったお母さんのためにも」


「……。 わかったよ。 手伝ってやんよ。 いなみ、お前変わったな」


「そりゃそうだよ。 なんで女の子になったんだろう?」


「そう言うことじゃねぇよ」


 こうして加藤もいなみたちと共に行くことになった

 いなみは加藤の傷を癒す

 ルーナほどではないが、いなみも回復魔法を使えるようになっていた


「すげぇな。 まぁまぁ深手だったんだが、ふさがっちまってやがる」


「時間はかかるけどね。 さっき爆発で吹っ飛んだルーナちゃんは一瞬で治しちゃうんだよ」


「マジかよ。 やべぇな」


 回復した加藤といなみはサニーたちが入っていった施設内部へ向かう

 加藤が言うにはここに配属された能力者は他にもいるみたいだ

 加藤やいなみと同時期に能力者になった新人たちらしい

 名前は北川陽、羽崎恵で、能力は北川は分からないらしいが、羽川の方は炎を使うのだという


「羽川の方は優しすぎて戦闘には向いてないがよ。 北川は多分やべぇ。 あいつはよ、里中さんと同じような雰囲気があるんだよ。 目的のためなら手段を択ばねぇって感じのな」


 二人が施設に入って数分

 ようやくサニーたちに追いついた

 戦闘があるかもしれないのでルーナに戻らずそのまま走っていたようだ


「お待たせ」


 いなみが声をかける


「よかった。 無事だったみたいぜな。 というか、一緒にきたの?」


「はい、味方になってくれるみたいです」


「ふむ、戦闘班の協力はありがたいですねぇ。 あなた、名前は?」


「加藤だ」


「ほぉ、新人くんですか。 確か爆裂能力の?」


「あぁ」


 自己紹介がすみ、施設の奥へ向かう

 特殊能力者は施設の最奥に捕らえられている

 道案内は藤子と設楽が務める

 サニーが探知で警戒しながらゆっくりと進んだ


加藤は引き入れるつもりなかったんですが、気が変わりました

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