神々の捜索2
怪獣ってのは魔物みたいなもんか
まぁもうすぐあそこにもヒーローが生まれるんだから問題ないだろうよ
さて、ここは一体どこだろうか
見たところ魔力は多量にありそうだな
まぁ神である俺には魔力があろうがなかろうが関係ないが
「えーっと、探知によると…。 近いな、飛ぶか? いや、近くに人間がいるとまずいな」
仕方なく俺は歩き出した
広大な岩石地帯のような場所
岩陰から何かが出てきそうな不気味な場所だが、まぁ何が出ようと俺の敵じゃねぇか
それにしても、こんなに手間がかかるならお気に入りの服でくるんじゃなかったぜ
剛力の女神ミナキは普段タンクトップに動きやすい短パンと言ったいで立ちだが、その服装にも彼女なりのこだわりがあるようだ
可愛らしい顔立ちをしているので姉女神達に女の子らしい恰好をさせられることも多く、それ自体は彼女自身も嫌いではない
それどころかおしゃれは好きな方だ
「お、街か。 ここだな、兄貴のかけらがあるのは」
ローブを被り、街道を歩く人々に紛れて街の中へと入っていく
かけらの気配はこの街で一番大きな屋敷からしている
誰にも気づかれることなくその屋敷へ堂々と侵入すると、屋敷の主がいる部屋の扉を開いた
「誰だね君は?」
そこにいたのは太った豪華絢爛な装飾で着飾った男
その男の質問に答えることなくフードを取ると、男の手にしている宝石を見た
その宝石はまさしく兄であるシンガのかけらだ
「おい、それを返せ」
男はミナキの顔を見てニヤリと笑う
「ふひょひょ、なんとなんと、可愛い顔をしておるのぉ。 なんじゃ? わしの寵愛をうけたいのか?」
それを聞いてミナキは男に近づき、かなり力をセーブして男の顔面を殴った
普通に殴っていれば男はチリになっていただろう
「うぶぅ! き、貴様! いきなり何を」
「これは返してもらう。 お前ら人間が持っていていいもんじゃないんだよ」
「こ、こんなことをしてただで済むと思うなよ小娘が! おい誰か! 誰かこいつを捕まえろ!」
男が扉の外に向かって呼びかけるとすぐにこの屋敷の衛兵と思しき男たちがなだれ込んできた
「こいつだ! このガキを捕まえろ!」
ミナキを指さすと、衛兵たちは一斉に槍や杖を構えた
「なんだよ。 実力もわからねぇほどこの世界の住人は弱いのか」
ミナキがほんの少しだけ力を介抱し、殺気を放つと、それだけで屋敷の主含め、この街全体の人間が気絶した
「ふぅ、回収完了っと、おいこら兄貴、後いくつあるんだよあんたのかけらは」
輝くシンガのかけら
その光はどこか嬉しそうに喜んでいるように見える
「よし、次に行くか」
「待て! 逃がさんぞ!」
声を発したのはこの屋敷で一番の実力を持つ男だ
どうやら殺気に耐えたらしい
「あんた。 あれで倒れないんだ。 でもよ、これ以上やるなら俺ももう少しだけ力を開放するぜ? 今度は死ぬかもしれねぇぞ」
なるべく人を殺したくないミナキは警告した
「ふん、何をしたか知らんが、俺には効かなかったみたいだな! おとなしくそれを置いて出ていくならば無事屋敷から出してやろう」
自分一人だけ無事だったことに増長したのか、勝てると見込んで剣を構えている
「はぁ、どこの世界にもいるんだな。 馬鹿ってのは」
「なんだと! お前程度のガキなど簡単に…。」
言い終える前にミナキの拳で鼻の骨を砕かれながら壁に叩きつけられた
「さてと、次の世界に…。 ん? この反応」
どうやらこの世界にもう一つシンガのかけらがあるようだ
「こりゃいい、手間が省けたぜ。 おい兄貴、もう一つあるみたいだぜ! よかったな!」
ミナキは屈託のない笑顔を浮かべて街から飛び去った
この世界には俺の敵になりそうな奴はいないようだ
それにしても兄貴をここまで追い詰めた相手ってのはどこに行きやがった
見つけたら俺がこの手でぶっ壊してやるのによ
ミナキはシンガのかけらを探して加速した
「ミナキは順調のようですね。 それで、集合と散在はどこへ消えたのです?」
最下層から生まれた二人を集合と散在と名付けたラシュア
二人を捕捉しているのは監視の女神キュカだ
「おかしいですね。 私の監視から一体どうやって逃れたのでしょう?」
キュカにも原因は分からないようだ
「とにかく、範囲をもっと広げて探してみます」
「頼みましたよ」
目の前にあるスクリーンを広げて様々な世界を映し出すと、体にある複数の目を開いて世界を監視し始めた