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3-6

 藤子をぶら下げ空を飛ぶルーナ

 隠れ家まで連れてくると無造作に地面に転がした


「いいんですか? こんなことをして、私に危害を加えるということは国家反逆罪も同じですよ?」


「黙れ、いますぐに殺してもいいんだぞ」


 リゼラスが威嚇するが、そんなことを全く気にしていないかのように笑っている


「はぁ、あなたたちでは無理ですよ、知っていますか? こちらには能力者を無力化する装置もあるんですよ? たとえ私から重要施設の場所や国家の秘密を聞き出したところで、たったこれだけの人数でかなうはずがないでしょう? あなたもなんとか言ってあげてくださいよ。 設楽さん」


 設楽は黙り込む

 この男のことは嫌いだが、嘘は言わない

 装置は確かにあるし、この人数でかなうはずがないこともわかっている

 しかし、設楽にはまだ希望があった

 ひそかに情報を仕入れていたレジスタンスたちがどこかにいるはずなのだ

 設楽は何としてもレジスタンスに接触して仲間になるつもりだった


「まぁ、情報は教えてあげますよ。 せいぜい頑張ってみるといいです。 あ、それとですね。 私には追尾用のGPSがついてるのでもう間もなくこちらに超能力課の戦闘班が来るはずです」


 ずっと余裕の笑みを浮かべていたのはこういうわけだったのかと設楽は焦った


「逃げましょう! 戦闘班はまずいです。 こいつほどじゃないけどあいつらは人格破綻者なんです。 人を殺すのを何とも思わない集まりで」


「落ち着くぜな。 こっちにはこのルーナがいるから全く問題ないぜな」


「そうだな、見たところここの世界の住人の力は強くないようだ。 私たちだけで十分対処できるだろう。 ここには魔力もあるしな」


「ちょ、ちょっと待って。 この世界ってどういうこと? あなたたち一体なんなの?」


 当然の疑問に答えると、設楽は驚愕した

 

「まさか、異世界なんてものが存在するなんて…。 でも、そうよね、あなたのその姿を見れば納得できるわ」


「素晴らしい! 異世界人の悲鳴はまだ聞いたことがありません! 是非とも盛大に悲鳴を聞かせてほしいですねぇ。 早く私の仲間が到着すればいいのですが」


 興奮している藤子を無視して話を進める

 

「なるほど、ではルーナちゃんは人知を超えた強さを持つのですね。 それは頼もしい限りです」


 設楽は少し安心した

 戦闘班が束になっても敵わないほどの力を持つ少女

 この子がいれば本当に革命ができてしまうかもしれない

 しかし問題はいくつもある

 まずこの国だけが超能力者を無下に扱っているわけではない

 能力者が反乱を起こして支配してしまった国もあるにはあるが、世界的に見ても非常に少なく、その国も現在攻められており、まもなく消滅してしまうだろう

 各国はそれぞれ能力者を操るすべを持っている

 この国ならば無力化、大体の国がこの無力化の装置を使っているが、中にはたった一人の能力者が反逆する者を抑えていたり、洗脳している国もある


「どうやら到着したようですねぇ」


 勝ったと言わんばかりに笑う藤子

 いきなり小屋が破壊された


「リーダー! 助けに来ましたぜ!」


 いかにも不良といったいで立ちの男が立っていた

 拳が光っている

 どうやら拳による一撃でこの小屋を破壊したようだ


「おお、西川君ではないですか! 君ならこいつらを簡単に制圧できますねぇ」


「女ばっかじゃねぇか。 楽勝にもほどがあるだろ」


 西川と呼ばれた男は藤子と同じような雰囲気を持っている

 要するに人をいたぶって殺すのが好きなのだ

 

「俺一人に任せてもらいますぜ」


「えぇ、いいですとも、きっちり悲鳴をあげさせて惨たらしく殺してあげなさい」


 西川がルーナに手を伸ばす


「まずはこのガキから」


 と言いかけ西川はルーナに殴られ木々をへし折りながら吹き飛んでいった


「な? え?」


 後ろに控えていたヒステリックそうな女が何が起こったのか分からないという顔をしている


「なに!? 西川君は戦闘班でもかなりの実力を持っているんですよ? 一体どういうことなんですか!?」


 西川を倒されたことで戦闘班全員がルーナを取り囲んだ

 それぞれが能力を発動させて一斉に襲い掛かる


「ルーナちゃん! 危ない!」


 そんな設楽の不安は杞憂に終わった

 本当に一瞬で戦闘班全員がその場に崩れ落ちた


「嘘、だ…。 私の部下が、こんな簡単に…。 お前は一体何者なんです!」


「言ったじゃない。 私達はね、()()()()なのよ!」


 いつの間にかサニーに変わっていた

 

「てか、弱いわね。 この世界の実力ってかなり低いみたいよ」


 あっけにとられる設楽

 ここまでとは予想外だったようだ


「で、もう終わり? 終わったんならお姉ちゃんに戻るわ」


 そう言ってサニーは引っ込んだ

 藤子はあまりのことに震えていた


「こんな、こんなバカなことが、でたらめなことが…。」


「さてと、じゃぁこいつにいろいろとお話を聞こうぜな」


 パリケルは怪しげな装置をいろいろと取り出して藤子の目の前に置いて行く

 それらが置かれるたびに藤子の顔は青ざめ、白くなっていった


「攻めるのは好きでも自分がやられるのはダメみたいぜな」


「わ、わかりました。 協力しますよ。 私じゃぁどうあってもその子にかないそうにありませんからねぇ」


 観念したかのようにうなだれた

 

「それと、私は別に殺されても構いません。 いなみさん、あなたが最後にきっちりとどめを刺してください。 私はあなたになら別に殺されてもいいと思ってます」


 真意は分からない、しかしそれは本心に見えた

 あれだけにやにやとしていた顔から一切の表情が消えていた

 

「そのつもりだよ。 お前は、僕が殺す」


「よろしい、では私の拘束を解いていただけますか? あ、心配しなくても暴れたりはしませんよ。 私は嘘だけはつかないことをモットーとしてますからね」


「そこだけは本当です。 この人は嘘が大嫌いですから」


 設楽も大丈夫だと言っていいるのでルーナは拘束を解いた

 

「ふぅ、やっぱり自由はいいものですねぇ」


 立ち上がって伸びをする藤子

 そして、顔つきは真剣になった

 性格破綻者ではあるが、真面目な男である


「いいですか、まずこの国は私達超能力課によって能力者たちを集めさせています。 集められた彼らはまず戦闘に特化した者とサポートに特化した者に分かれます。 能力には様々なものがあるので当然そのどちらにも該当せず、何の役にも立たない能力者もいます。 まずはそんな彼らを味方に引き入れるのです」


「どうしてだ? こっちは少人数だ。 普通なら戦闘特化かサポート特化を引き入れるべきではないのか?」


 リゼラスの疑問に藤子は答える


「戦闘特化はですね、突如として力を持った者が多いために性格破綻者が非常に多いのですよ。 私みたいにね。 あ、私はもともとでしたね」


 急に自虐をしてきたので驚く設楽

 

「ともかく、戦闘班は無しです。 協力してくれそうな子もいるにはいるのですがねぇ。 彼らはみんなおびえてますから、あの人に…。 それとサポートの方ですが、彼らはほとんどが洗脳されています。 まぁ設楽さんのような進んで政府に従うような人もいますが…。 とまぁこういう事情で役立たず、おっと失礼、特殊能力者たちを仲間に引き入れるのですよ」


「特殊能力者?」


「えぇ、例をあげれば、ただ光るだけ、キラキラした粉を出せるだけ、耳が動物の耳に変わる、人差し指にろうそくのような炎を出せるだけなどなど、本当に何の役に立つのか…。 ただ、彼らも使いようはあるのですよ。 まぁ、後は彼らを仲間に引き入れてからですね。 それと、レジスタンスの情報ですが、彼らの情報なら少しは掴んでいます。 実は君たちを皆殺しにした後はそちらの拠点を叩く予定でした。 どうします? 先にレジスタンスのところへ行きますか? 私が指揮して潰す予定でしたが私は今いませんからねぇ。 恐らく里中君が引き継ぐはずです」


「里中さんが!? まずいですね」


「えぇ、彼は私より危ない男ですからねぇ」


 話し合いの結果、まずはレジスタンスのところへ行くことになった

 藤子によると里中という能力者は、好戦的で、すべての敵を殺しつくすまであたりが平地になろうとも攻撃をやめない危険な男らしい

 そんな男がレジスタンスの拠点に向かっている可能性がある

 すぐにでも救助へ行かなければ周辺の町ごと更地にしてしまう

 時は一刻を争った


 


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