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3-4

 いなみは無事だろうか? やはり心配だ

 俺はただの人間だ。 力もなく、礼子を守れなかった

 あの子まで失うわけにはいかない

 戻ってあの子を追いかけよう


 電話を掛ける秀一

 いなみを助けるため自分の父親へと電話を掛けた

 

「もしもし」


「なんだ? 秀一か。 いつ来るんだ? こっちは準備できてるぞ」


「おやじ、そのことなんだが、俺もいなみについて行く」


「…。 そうか」


 返事はそれだけだったが、秀一の決意を感じ取ったのだろう

 

(ごめんおやじ、俺も死ぬかもしれない。 でも、あの子だけは必ず守るから。 それが親の務めってもんだもんな)


 秀一の母親はまだ秀一が幼いころに亡くなった

 

 彼がまだ10歳のころ、母親とスーパーに買い物に行っていた

 その日もいつもと同じように母の手伝いをし、荷物を持つ

 店から出ようと扉に向かおうとした矢先に、超能力者が数人店に強盗に入った

 金銭を要求し、逃走するため人質を取ることにした強盗達は、秀一に目を付けた

 しかしそれを母親が身を挺して止めたために強盗達の怒りをかい、能力で心臓をつぶされて息絶えた

 秀一は助かったが、母は死んでしまった

 

 彼はそんな母親を思い出し、妻を思い出した

 

(あの子を守れるのは、もう俺しかいないんだ)


 


 ルーナ達はこれからどうするのかを話し合う

 復讐に手を貸すことになるのだ

 念入りに考える

 それに、いなみを手伝うということはこの国に革命を起こすということ

 捕まれば死刑は確実だ

 

「まずいなみさんの力を見てみましょう。 どんな力なのかわかれば戦い方もわかります」


 ルーナは鑑定の力を使った

 これも最近分かったのだが、対象の能力を見る力を使えるようになっていた

 リゼラスで試すと、持っている能力が見えた

 彼女の場合だと、洗脳無効、神速など

 パリケルはなぜかアンノウン、不明だった

 自分も見てみたが、これも不明

 強すぎる力だと見えないようだ

 パリケルが不明なのには驚いたが、見えないものはしょうがないと割り切る


「じゃぁ見てみますね」


 鑑定の力を発動させていなみを見て驚いた

 不明

 ただの超能力者ではないということだ

 不明は神に近い力を持っているということ

 それも、上位のだ

 さらに驚いたのが、彼女の種族名だ

 幼神

 それが何なのかは分からないが、見たところ神の幼体なのかもしれない

 

 結局能力は分からなかったが、かなりの力を秘めていることだけは分かった

 これから覚醒していくことは間違いないだろう

 それまではルーナ達で守りながら戦えばいい

 

「ありがとうございます。 僕なんかのために」


「大丈夫です。 私が勝手に助けたいと思っただけですから」


 それから数日、いなみの力をいろいろと試してみた

 腕力は恐らく力を一切使ってないルーナと同等で、動体視力もかなりのものだ

 リゼラスが本気で振るった棒をあっさりと止めたのには三人とも驚愕した

 あとはルーナが教えた魔法をいくつか使えるようになった

 驚いたことに、魔力の操作をすぐにマスターしてしまったので、簡単に魔法を覚えたのだ

 練習で扱えるようになったのは下位の魔法だが、この世界ではそれなりに役立つだろう

 

 いなみが様々なことを吸収し、扱えるようになっていくたびに、その正体が何なのか疑問は深まっていく

 

 そしてそれからさらに数日

 自分の身は自分で守れるくらいに成長したいなみと共にまずはいなみの母親を殺した男の元へ向かうことにした

 男の捕捉はルーナの監視の力で行うことにしたのだが、それには男の持ちモノがいる

 そんなもの持ってはいなかったが、一つ心当たりがあった

 男が銃から放った弾丸だ

 母親の心臓を貫通し、その弾は家の壁にめり込んでいた

 それが残っていれば追跡が可能なはずだ


 まずはいなみの家に向かうことにしたのだが、当然政府の監視の目があるだろう

 ここはルーナが光学迷彩を使って潜入して弾丸を取ってくることになった


「あ、あの、大丈夫なんでしょうか? あんな小さな女の子一人で」


「問題ない。 この子は精神的には君よりはるかに年上だぞ」

 

「え? そうなんですか?」


 驚くいなみ

 改めてルーナを見たが、どう見ても10歳程度にしか見えない

 

「やっぱり僕も行きます。 今の家の状態も知っておきたいし。 あいつらに家を荒らされたくない」


 まだいなみの戦闘力に不安は残るが、いざとなったら結界を張ってもらい、自分が戦えばいい

 

「それじゃぁ行ってきます」


「うむ! 気を付けて行ってくるぜな!」


 パリケルがフリフリと手を振る

 

 ちなみに、いなみはこの中で一番年下だということにも驚いていた


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