表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
106/384

2-26

 久慈川首相はルーナ、リゼラスと共に小坂の自警団の元へと向かった

 自らのしたことを話し、罪を償うためだ

 しかしこのこと自体久慈川の想定内である

 すでにブラックスーツたちによる根回しは完了していた

 街にある大きなビジョンにニュースが流れ始める


「犯人は首相を人質に取り、この世界をよこせと主張しているようです。 このことにより臨時の世界会議が開かれることとなり、同盟国のカメリアのアーバイン大統領を筆頭に異世界からの侵略を決して許さない、断固として戦うとの表明が発表されました。 久慈川首相の安否が気遣われています」


「なんだこれは? 一体どういう…」


「いたぞ! 久慈川首相を放せ!」


 あっという間に周りを自警団に囲まれてしまった

 手にはアサルトライフルのような武器が握られている

 ルーナならば全く問題ないが、リゼラスは現在鎧を着ていない

 当たれば死ぬだろう


「っく、貴様! だましたな!」


 リゼラスが久慈川を殴ろうとするのをルーナが止める


「ダメですリゼラスさん! それでは問題が大きくなります!」


 久慈川は不敵に笑っている

 二人は久慈川を放した


「ふん、これからせいぜい私のために働いてくれ、異世界の友人よ」


 久慈川は悠々と自警団の元へと戻る

 

 ビジョンに新たな映像が映し出された

 そこにはリゼラスの顔が映っている


「我々はこの世界に宣戦布告する。 世界よ、我々の侵略にせいぜい抗うがいい!」


 映し出されたリゼラスは狂気に笑い、いかにも悪役と言った表情を浮かべていた


「なんだこれは? 私はこんなこと言った覚えはないぞ」


 驚くリゼラスに久慈川は答えた


「この程度の技術、私にとっては造作もないことなのだよ」


 この映像はCGによって作られた映像だった


「やつらは危険だ! 発砲を許可する。 生死を問わず奴らを無力化しろ」


 久慈川がそう指示すると、アサルトライフルの安全装置を外す音が響いた

 そしてその引き金が引かれる


「危ない!」


 ルーナが翼を広げてリゼラスを覆った

 その翼には羽を変質させた硬い鱗が生えている

 銃弾は全てそのうろこにはじかれた


「すまない、助かる」


「掴まってください! 飛びます」


 ルーナはリゼラスを掴むと一気に上空に飛び上がった

 そしてジェット機のように仮設住宅まで戻る


 しかし一足遅かった

 ルーナ達が住んでいた家は荒らされ、血まみれになったパリケルが息も絶え絶えに倒れている

 

「パリケルさん!」


 駆け寄ってパリケルを治癒する

 あっという間に傷はふさがり、パリケルの危機は脱した


「すまないぜなルーナ、突然黒い服の男たちが来てまゆかが攫われたぜな。 応戦したけど、あいつらの武器、俺様の人形を簡単に壊したぜな」


 パリケルが指さした方向には4号がばらばらになって転がっていた


「パリケルさんが無事でよかったです。 今はひとまず逃げましょう。 体制を立て直してからまゆかちゃんを助けるんです」


 パリケルはうなずくとルーナに掴まりこの場を後にした


「それとだぜなルーナ、この仮設住宅の管理人、真藤とか言ったぜな。 あいつはやばいぜな。 たぶんだけど、あいつが今回の黒幕だぜな」


「え? どういうことなの?」


「とりあえず安全なところまで行くぜな。 そこで話すぜな」


 ルーナは遠く離れた無人島へと降り立った

 落ち着いたパリケルは起こったことを話し始める


 ルーナ達が久慈川を連れて発ってからすぐのこと、黒いスーツの男たちが仮設住宅を取り囲んだ

 その黒いスーツの男たちに指示を出していたのが真藤だ

 パリケルがどういうことか真藤に問いかけると、彼はパリケルをいきなり撃ったそうだ

 そして薄れゆく意識の中、4号を起動させ、自動で戦わせたのだが、あの有様だったらしい

 気絶する寸前、パリケルは真藤から異様な気配を感じた

 それは魔の気配

 魔王などから感じる威圧感だった


「ふむ、この世界には魔物がいる。 だが通常魔力のない世界に存在するはずがないんだ。 なら魔物はどこから? 魔王…。 魔力のない世界に魔王か…。 それに異世界の研究」


 リゼラスがブツブツと思慮にふけっている


「そうか、読めてきたぞ。 これは予想でしかないのだが、真藤、魔王は異世界の魔王ではないか? 異次元の扉が開いたことでこちらに来たのだろう」


 とんでもない話だが、ない話ではない

 強大な魔力に包まれていたため異世界の扉を通っても無事だった

 そう考えれば魔王がいてもおかしくない

 現にルーナが異世界に渡るときは魔力に包まれることで身を守っている

 それほどまでに次元渡りや異世界転移は危険なのだ


 


 真藤はブラックスーツを率いて久慈川の元へ向かった

 

「どうでしょう? あの者たちは現在行方不明ですが、世界の敵として動いてくれるでしょうか?」


「わからんね。 だが動かないならこちらからそう仕向ければいい」


「さすがです。 あなたのおかげで私はここまでやってこれた。 異世界を支配するという夢、必ず実現させましょう。 我が敬愛する()()()


 久慈川は真藤に頭を垂れた


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ