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キュレス2

 全ての自衛団を殺害し終えると、集まって来た野次馬に歩み寄る

 翻訳用の装置をオンにして、腰を抜かして動けない人々に声をかけた


「ねぇそこのあなた。 この世界で何が起こってるかわかる? 一連の事件ってなによ?」


 キュレスはそう聞いたが、悲鳴を上げられた

 その場で殺し、次の住人に声をかけた

 

「答えないと死ぬわよ?」


「ひっひぃ!」


 恐ろしさに動けない女性にキュレスは迫る

 女性は恐る恐る今の世界の状況を話した

 

「なるほど、世界から人が消える。 これは恐らく異次元に干渉した結果ね」


 キュレスにはその状況が簡単に理解できた

 同じような研究を帝国でもしていたからだ


「ふむ、恐らくだがあの小娘はこの事態を収束させようと動くはずだ。 どこかで騒ぎがあればそこを探してみるべきだな」


 グリドがそう進言する


「そうね、行きましょう」


 震える女性を尻目に騎士たちは去って行った

 この街は北山道という県の一つの町

 国は同じだがルーナ達がいる場所からは遠く離れていた


「おかしいわね、ここに来てから追跡装置が反応しないわ」


「どうやらここには魔素がないみたいですに。 魔素がないとこれも動かないですに」


 ペシペシと装置を叩いているオルリアの行動は猫そのものだった


「魔素がない? そう言えば裏切る前のリゼラスの報告にあったわね。 魔素がほとんどない世界があって、魔法も使えないって」


「それですに! きっとこの世界もそうなんですに!」


「ふむ、だが魔物はいるようだぞ」


 グリドが指さす方向には木々の生い茂った森があり、そこから腹を空かせた魔物がこちらをうかがっている


「なに? あんな弱そうなのが魔物? 魔力もほとんど感じないじゃない」


「下がってるですに。 あんなのでも攻撃されれば死ぬですに。 魔法の使えないキュレスちゃんじゃあぶないですに」


 確かにキュレスは魔法を使って戦うためこの世界では役に立たない


「ふん、舐めないでよね。 私が魔法だけしか使えないと思ってたの? 一応これでも護身用に多少の武術の心得くらいはあるのよ」


 拳を構えるキュレス

 七英騎士の一人である格闘家に習った格闘術はそれなりに使えるものとなっている

 襲い掛かってくる猪のような魔物を蹴り飛ばし、殴りつけて倒していった


「ひょあ~、すごいですにキュレスちゃん! つよいですに~」


 褒められて気を良くし、ぴょんぴょん飛び跳ねるオルリアの頭を撫でるキュレス

 オルリアは目を細めてゴロゴロと喉を鳴らした


「次の街の方向は?」


「ここから南に進めばいいらしい。 このまま進めば南だ。 巨大な海中トンネルがあるからそこを通って本土へと行ける」


 グリドは翻訳され、言葉の読めるようになった地図を見ている

 

「海中トンネル? 面白そうじゃない。 こんな状況じゃなきゃ観光でもしたいわ」


 三人は部下である意志を完全に失った騎士達を率いてそのまま南下していった

 ルーナ達を殺すために

 三人には人を殺した罪悪感が完全に残っていない

 すでに罪悪感という心をエイシャに奪われていたからだ


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