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2-23

 施設内はかなり広く、案内図を見るに、地上5階、地下3階の計8階あるようだ

 地上は表向きの施設で、異世界がどういったところなのかと言った世間に公表しても問題なさそうな研究、タイムトラベルや役立つ薬などの研究もしているようだ

 地下一階からは死刑囚を使った人体実験、いけにえを使った異世界の研究や、何と魔術的な研究もなされているようだ

 魔素がかなり少ないこの世界では魔法は使えない(ルーナは除く)

 しかし、それを可能にする技術が、魔物や魔獣の遺伝子を人間に組み込むことで限りなく魔法に近い力を手にいれるという技術だ


「かなり狂った研究をしているようだな」


 巨大な培養液のような液体に使った元人間の死体を見つめてリゼラスが嫌悪感をあらわにした

 

「研究者の風上にも置けないぜな」


 パリケルも怒っている

 彼女は研究の過程で絶対に犠牲を強いるような実験などはしない

 行き詰ったなら安易ないけにえを使うようなことはせず、努力で切り開いてきた

 その過程で自分を使ったりはしたが、それは危険を承知で自ら望んでやったことだ

 結果的にはそのおかげで魂の根源に触れ、自らの力で生きたまま転生したのだが


 死体の入っている培養液群を抜けると、得体のしれない装置が置いてあった

 研究員たちがその装置の窓をのぞき込み、何かを資料に書いている

 気づかれないように窓を覗くと、そこには魔物と人間の少女が液体に浸かっている

 

「な! 子供を実験に浸かっているだと!?」


 思わずリゼラスが声をあげてしまった

 

「誰だ!?」


 研究員に気づかれてしまった


「っく、侵入者か! 警備兵を呼べ!」


 そこの責任者らしき男が命令した

 研究室中に響く警戒音

 どこからともなく警備兵たちが集まって来た

 まだ完全に見つかったわけではないようできょろきょろと見渡している

 

「す、すまん、つい」


「いえ、わかります。 この装置を壊してあの子を助けてから逃げましょう」


 ルーナはそう言うと、自分だけの光学迷彩を解いて装置に手をかけた


「いたぞ! あそこだ!」


 見つかったルーナはマシンガンで撃たれるが、その全てを尾で叩き落とした


「なんだあれは!?」


 ルーナは翼を大きくはためかせて疾風を巻き起こし、目くらましとした

 大きく吹き荒れる風に警備兵たちは翻弄され照準を合わせることができない


「今助けるから」


 拳を装置にあてがうと、衝撃波を走らせた

 装置に亀裂が走り砕け散ると、中から大量の液体が噴き出す

 転がり出る裸の少女を抱えると、リゼラス、パリケルの元へ走って二人にしがみついてもらい、飛び上がった

 宙を舞い、そのまま天井を突き破って一気に外へと飛び出すと、東都から逃げた

 ひとまずは少女を救うことを優先したためだ


 三人を連れて誰もいない街へと逃げ帰ると、そこのもともと人が住んでいたと思われる空き家を借りることにした

 少女の介抱をし、食料をコンビニから拝借した

 ルーナが回復魔法を少女にかける

 苦しそうな表情だった少女の顔が和らいだ

 どこか怪我がないか体を調べていると、少女の背中から臀部にかけてうろこが生えているのが分かった

 さらに、その先には短い兎のような尻尾

 どうやら魔物との融合が始まっていたようで、魔物としての特徴が表れている

 三人は少女の回復を待って話を聞いてみることにした

 一体少女の身に何があったのか、どこにいたのか、両親はどうしたのかなどだ


 それから数日後、少女はゆっくりと目を覚ました


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