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プロローグ1

以前書いてた他作品とは全く関係ありません


 ドガァ!!


自分の体が宙を舞い、そのまま地面に叩きつけられる

その直後に訪れる激痛、そして遠のいていく意識


庭に来る猫が好きだった

庭に咲く花が好きだった

小さな安アパートの敷地内しか私は知らない

学校なんて行ってない

またお義父さんが私を殴る、蹴る

ボロボロになるまで

お母さんは興味なさげにそれを見てる

やせ細った自分の腕と体

それがあらぬ方向を向いているのが見える


やべぇって!マジで!人間轢いちまった!

くそが!なんでガキがこんな時間こんなとこ歩いてんだよ!


良いから逃げるぞ!


そんな声が、薄れゆく意識の中聞こえてきた


あぁ、私、多分死んじゃうんだ・・・

でも、いっか・・・

私が死んでも誰も、悲しまない

・・・・・・・

もし

もし生まれ変われるなら

今度は、しあ・・・わ・・・・・せ・・・・・・・に


プツリと意識は途切れた




目が覚める

そこは何もない牢獄のような場所だった

鉄格子には結界のようなものが張られていた

そっと触れてみる


パチィッと静電気のようなものが走ると

結界は割れるように破壊された


これはなんだろう、ここは一体どこなの?

牢から外に出、長い石畳の廊下を歩く

その道の先には右に上へと続く階段があり

壁には大きな鏡がかけられていた

今の自分の姿が松明の薄明りの中見えた


何・・・この姿・・・


角が生え、右にコウモリのような翼、左に黒い鳥の翼

さらに長い竜の尻尾

腕は鋼のような硬いうろこに覆われ、鋭い爪が伸びている

体には羽毛のように柔らかな毛が生え全体を覆っている

そのため自分が裸だということに気づかなかった


とにかく、ここから出なきゃ


その足で再び歩み始め

階段を上る

階段はところどころ石がかけ、今にも崩れそうなほどもろい

数百段はあろうかという階段を上り続け

ようやく光が見えた

今まで暗がりにいたせいか、眩むほどに眩しい

ようやく目が慣れあたりの景色が確認できる

見渡す限り一面の海

階段の先は切り立った崖


どうしよう、一体どうしたらここから出られるの?


ひとまず牢獄に戻ってみた

しかしやはりそこには何もない


松明があるってことは

人がいるのかな?

今度は長い廊下を反対方向に向かってみた

そちら側には松明がなく完全な暗闇なのだが

なぜかその先をはっきり見通すことができた

まるで暗視機能でもついているかのように

さらにグッと目を凝らすと、奥の方に扉が見えた


なにこれ、こんな大きな扉、どうやって開けたら・・・


見上げると20メートルほどの巨大な扉

とても人力で開くとは思えなかった


扉に手をかけ、押した


パキッ


ひびが入る扉

そのひびは亀裂となりどんどん広がり

やがて扉全体を覆うと扉は砕け散った


え?壊れたの?

古くなってたのかな?


崩壊した扉を乗り越え、先に進む

扉の先はまた長い廊下

相変わらず暗い


どうしてこんなところにいるんだろ?

私、確か横断歩道で信号無視の車に・・・

あの時の痛さは覚えてる

きっと夢じゃない

それに、この体

翼も尻尾も自分で動かせる

本当に生えてる

角だって


手で頭の角を触る

頭頂部を触るのとは違った感触がその上にあった

角にも神経があるようだ


そのまま長い廊下を行くとやがて上へと続くらせん階段が現れた


ここはちゃんと出口に続いてるのかしら?


他に進む道もないのでらせん階段をゆっくりと登っていく

今度の階段は先ほどのものと比べて短い

どうやら上の階に着いたようだ


そこは真っ暗な広場

暗視している目でわかる

何か人ではないものが多数存在しているのが


「っひ」


思わず声をあげた

その声に反応するようにそれらが一斉にこちらに向かってきた


「や、やだ、来ないで!」


へたり込み、自分を守るように両手を前に出した

その手から何か力のようなものが出る

その力が向かってきた何者かに当たると

彼らははじけるように砕け散った


たった一撃

それでこの部屋の自分以外すべてが動かなくなった


「あ、あぁ、なにこれ」

「なんなの!」

「なんで?どうして!」

「私はあの家から逃げたかっただけなのに!」


いろんな疑問が生まれ

彼女はその場に座り込み

泣き続け

やがて眠りについた


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