敵の出現
「ちょっと!起きなさいよ!……ったく、敵が現れたらどうするつもりなのかしら。
朝っぱらから家中に響いた甲高い声。この声の主はレイン。水色のロングヘアーが特徴的な小柄な女の子だ。
そして起こされているのが俺。ライナ。黄色と黒の無造作な感じの髪。やる気が感じられない目。俺は毎朝、レインに怒鳴られないと起きない。
「…おはよ。敵が来たの?」
眠い目をこすりながらレインを見る。
「来てないわよ!だいたい、呑気におはよ。とか言ってる場合じゃないでしょ!さっさと着替えなさいよ!!」
うるさいなぁ…。朝っぱらからなんだよ、こいつ。
「はいはい。」
俺は適当に返事をしてベッドから抜け出す。しぶしぶ服を着替え、レインが作っておいてくれた朝食を食べた。
『プルルルルー…プルル』
電話だ。レインが電話に出た。またなんかのセールスだろうと俺は呑気にトーストをかじる。
「ライナ!大変!すぐ出動するわよ!」
と、レインが慌てた様子で防弾衣装を着る。
「なんだよ、なんかあったのか?」
「町で少女が誘拐されたみたいよ!とにかく急いで!」
っち…めんどくせぇ。
「仕方ねえなぁ。」
外にでると気味が悪いほど静まり返っていた。
「レーダーが反応している!犯人は近いわ!」
「そうか…?いろんなとこから反応が出ている気がするんだけど」
「えっ?…犯人は複数いるってこと…?」
「わかんね。どーだろうな。」
俺は一人で民家の辺りへ入っていく。そこには無残な少女の姿があった。
「…遅かったか。」
「ライナ…あなた気付いてたの?!」
「まさか…そんなわけ…ちょっと嫌な予感が的中しただけさ。そんなことより犯人探しだろ?ここは任せろ」
俺は片手を空に向かって伸ばす。
「サンダーアイ!!」
その時、空から伸ばしたライナの手に向かって稲妻が走った。そして
「…あっちだ。」
と呟き、歩き出す。
しばらく歩き、山に入ると、
【もうきたのか…さすがだな。】
という不気味な声が聞こえた。
「犯人はお前か。」
「ライナっ…」
さらに奥へ進もうとする俺の腕をレインが掴む。
「レイン…。お前はここにいろ。」
そう言い残して、俺は一人で奥へと進んだ。