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エリエールの回顧録5 求婚

 皮肉なことにその頃から、王様の体調は急激に悪化し、15に姫様が訪れられた時はゆっくりお話をできるような状況にはございませんでした。

 お姫様を部屋にひとり残すわけにはいかず、王子様は自分のいない間のお姫様の相手を私に任せられました。


 ☆


「王子様は、いつも忙しくてらっしゃるのね」

 お姫様は、ほぅとため息を吐かれました。

「きっとご結婚されれば、毎日、馬でいろんなところにお連れくださいますよ」

 結局その日も、お姫様が寝てしまった頃にお仕事を終えられて戻ってこられた王子様に、明日こそ、ちゃんと告白しなさいと叱責しました。明日の午後にはお姫様は帰ってしまわれます。


 翌日の早朝から、王子様はお姫様を連れて森の湖へ出かけられました。


「なんとか、求婚した」

 晴れやかな王子様の顔を見れば、とりあえず告白は成功したようです。

「なんておっしゃったんですか?」

「来年の春・・・庭のバラが一番美しく咲き誇る時期にあなたを迎えに行きますって」


 まあ、王子様にしては頑張って甘い告白をしたと思っておきましょう。

 ですが、今は四月。来年の春バラなんて待っていたら、一年以上後あとになります。


「バラなんて年がら年中咲いています!せめて、秋バラの時期にされれば良かったのに!」

 私は一気に怒鳴って、深呼吸し気を落ち着けた後、肝心なことを聞きました。


「返事は?」

 王子様のことです。

『返事は来年でいいよ』とか言って、とりあえず告白しただけで満足している可能性もあります。

 私がじろりと睨むと王子様は、しどろもどろに答えます。

「キスを受けてくれたから大丈夫」

 なんだか、頼りない返事ですが、大丈夫だというなら良しとしましょう。

 まあ、そのキスも後からよくよく聞いてみたら、指先にちょこっとだけだったそうですけれど・・・。


 その時までは、恋について考えることがありませんでしたが、私は、本当に幸せそうな王子様を見て、王子様とお姫様が少しうらやましくなりました。

 王子様が、ご結婚されたら、自分の恋も考えてみようかと思えるほどに・・・。


 でも―

 その時には、お姫様の裏切りは始まっていたのかもしれません。


皆様、読んでくださりありがとうございます。

次回からは、『お姫様とスケルトン』編に突入の予定です。


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