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エリエールの回顧録3 婚約

 話を飛ばします。私は王子様が17の時にすでに物語は始まっていたのではないかと思っています。

 王子様が、17歳の時、結婚話が持ち上がりました。相手は隣国の姫で当時11歳でした。



「国のためなら・・・とは思うんだけれどねぇ」

 王子様は大きく息をつきました。


「自分の好み言わないから、こんなことになるんです。他にも美しいお姫様がたくさんいらしたのに・・・」

 私は、王子様のため息に続いて思わずため息を吐いてしまいました。

「で、本当にあのかわいらしいお姫様と結婚するんですか?」

 王子様は顔をしかめ「今すぐじゃない」と反論しました。


「変態」

 私が、そう言うと王子様はますます渋い顔をしました。

「本当は、姫が12の冬に結婚する予定だったらしいんだが、この忙しいのに、さすがに12歳の女の子の遊び相手なんてやってられないし・・・」


 この頃には王様から王子様の政務の引継ぎが始まっており、王子様は慣れない業務を覚えるため忙しい日々を送っておられました。


「まあ、女の人のお尻を追いかけているより、新しい草を見つけるほうが好きですものね。小さな女の子を相手している暇があったら、研究室で新しいお薬を開発したいのでしょうけれど。面倒くさがらずにちゃんと気にかけてくださいね」


「姫の前でそんな口の聞き方をするなよ」

「王子様の前以外ではちゃんと猫の皮を被っています」

「本当に言葉遣いに気をつけてさえいれば、シャム猫並みの気品があるんだから。暴言娘」


 まあ、王子様も私もろくにシャム猫とやらを見たことはなかったのですが、元は商人だった財務大臣が私のことをよくそう評しておられました。

「シャムロック様、財務大臣の三男とのお話うまく断ってくださいよ」


 この頃の財務大臣は以前いぜん私が茶をこぼした経産大臣でした。

 私がお茶をこぼして以来、私の顔をばっちり覚えられて、王子様の部屋を訪れるたびに、他の侍女が側にいようが、必ず私を指名して、お茶を頼んできました。

 おかげで、あの方にお茶をお運びする時は、いつも緊張していましたね。


「わかったよ。あの人は無理強いする人じゃないから」

 無理強いするような方だったら、話が来た時点で王子様が即座に断っていたことでしょう。

 財務大臣様も私がぽろりと自分の過去をしゃべったから、私の将来を気にかけて下さったのだと思います。


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