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「役立たず鑑定士」と捨てられた俺、全部鑑定したら勇者より強くなった  作者: 愛田茶々


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第8話 覚醒する鑑定士-2

早くも毎日投稿はあきらめました。できるだけたくさん投稿できるようがんばります!

【鑑定スキルがLv10に到達──固有スキル『因果の強奪』が解放されました】

【観測者Lv1を取得しました】


 視界が、単なる情報の羅列を超えていく。

 頭を抱える俺を他所に、周囲は目まぐるしく状況が変化する。


 サイラスが放とうとしている、破壊を目的とした膨大な魔力の奔流。

それが練り上げられる間にも、周囲の人々は倉庫の扉から出ようと走り出す。


 それとは対照的に、激しく脈動するランタンからは、幾千もの細い銀色の糸が、周囲のガラクタや……そして、倉庫内にいる職員たちやサイラス、俺へ繋がっているのが見える。


「……ま、待ってください、サイラス様!壊してはダメだ!」


 俺の叫びに、サイラスの杖先が止まる。その鋭い眼光が俺を射抜いた。


「何を言うか、鑑定士。この魔力密度……放置すれば倉庫ごと吹き飛びかねん。死人が出る前に霧散させるのが道理というもの」

「違います!この中にはまだ、あの子が……少女が生きています!」


俺には見えている。


 ランタンの中で、エリナの首筋に絡みついている銀の粒子を。

 この呪われた品が、エリナを燃料にしているだけでなく、その"銀色の鎖"を通して外部のエネルギーを吸い上げ続けているのだ。


「……なんじゃと?中に人がいるというのか」

 サイラスが絶句する。


 魔導師長である彼にすら、銀色の魔力が遮断して中の様子は見えていないのだ。


 俺の「観測者」の眼だけが、この空間の真実を把握できている。

 充満した銀色の光が、まばゆさを増す。


 ランタンの水晶に亀裂が走る。


 サイラスは凝縮した魔力の行き場を失い、戸惑ったままだ。


(......やるしかない……!)

俺は駆け出し、死を招く銀の光の中へ真っ直ぐに手を伸ばした。


「馬鹿か! 死ぬぞ!」

サイラスの制止を無視し、指先がランタンの冷たい金属に触れる。


凄まじい衝撃が脳を揺さぶる。

だが、今の俺には「見える」。情報の繋ぎ目が。


【深銀の揺り籠(呪)】の奥にある、エリナのほうへ対象を集中する。


【対象のステータスから『因果』を剥離します。対象を選択してください】


脳内のログに、俺は迷わず念じた。

(エリナを縛る『封印』、それを奪う!!)

「――『因果の強奪(テイク・オーバー)』!!」


その瞬間、世界から音が消えた。

ランタンに巻き付いていた銀色の奔流が、逆流するように俺の右腕へと流れ込む。

熱い。骨まで焼けるような激痛。


だが同時に、ランタンの内を渦巻いていた銀色の粒子が、倉庫に充満していた光が、パキンと乾いた音を立てて砕け散るのを観測した。


銀色の光が霧散していく中、砕けたランタンの中から、小さな身体が崩れ落ちる。

俺は焼けるような腕の痛みも忘れ、その身体を抱き止めた。

腕の中に、確かな温もりがある。


埃っぽくて、少し冷たくて、でも間違いなく生きている少女の重み。


【『封印』の強奪に成功しました】

【呪物『深銀の揺り籠』から『生命吸収』の強奪に成功しました】


「…………は、はは」

乾いた笑いが漏れた。

一か八かの作戦だったが、成功したようだ。


ただ「見ていただけ」の役立たずの鑑定士が、王国最強クラスの魔導師すら手が出せなかった呪いを、力ずくで毟り取ってやったのだ。

「……信じられん」


杖を下ろし、呆然と俺を見つめるサイラスの呟きが聞こえた。


「これが今の俺の仕事です。これこそが仕分け、ですよ」

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