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暇なので鑑定しまくってたら勇者より強くなってた件  作者: 愛田茶々


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3/7

第2話 優しさの賞味期限はもやし -2


─────


「ところで......」


その後、ステータス画面の話題になった。


自分のステータスは見えるが、他人のものは見えないらしい。

「鑑定士なら見えるんじゃ?」という話も出たが、俺は首を横に振るしかなかった。


他の四人のステータスは俺よりだいぶ高かった。

勇者の陽斗でこんな感じだ。


【名前】神谷かみや 依人はると

【種族】人間

【年齢】17

【職業】勇者

【レベル】1

基本ステータス

【HP】221/221

【MP】75/75

【筋力】74

【防御】74

【敏捷】66

【魔力】58

【精神】81

【運】80

スキル

【上級剣技Lv1】【指揮Lv10】【状態異常耐性Lv1】【魔力感知Lv1】【勇者】【天光剣】


......チートすぎる。

俺の何倍だ。


長剣を軽々振り回していた理由が、嫌というほど理解できた。


俺も最初は長剣を渡されたが、持ち上げるだけで精一杯だった。

今は短剣を一本、腰にさしているだけだ。

まだ、一度も使っていない。


翌日の訓練は王城近くの演習場だった。


指揮を取るのは騎士団長、ロイド・ブラックウッド。

壮年の男で、声に無駄がない。


「陽斗殿、達也殿はこちらへ」


剣の稽古らしい。


「由奈殿、さよ殿はペンブルック魔導師長についてくだされ」

と、横にいるハットを被った、これまた壮年の男に手を向ける。


そして、チラとこちらに視線を向ける。

一瞬、逡巡ののち。


「......鑑定士殿は待機を」


......名前すら呼ばれなかった。


「下手に戦闘されても困りますからな」


丁寧な口調で、切り捨てる。


「団長、それは......」


陽斗が口を挟む。


「それはあまりに──剣の稽古くらいはみてもいいのでは?」


「......ふむ。まあ、良かろう」


結果、俺も剣の稽古に混ざることになったが──

現実は、ただの晒し者だった。


剣技スキルを持っている二人と違い、俺には剣技スキルが無い。ステータスだってだいぶ低い。


俺の相手をした騎士は、子どもをあやすような対応しかしない。到底、剣の稽古といえるものではなかった。


騎士団長の刺すような視線が、背中に突き刺さる。

陽斗と達也の、憐憫の視線が、胸に痛い。


午前中は、地獄だった。


午後。

俺だけ王城内を散歩する許可が出た。


事実上の戦力外通告だ。


陽斗も、情けない俺の姿を見たせいかもう口出ししてこなかった。


翌日は再び魔物討伐。

俺はせめてもの役に立とうと、荷物持ちを引き受けた。


「なんか悪いな、依人」


「落とすんじゃねーぞ?」


「あんま気負いすぎるんじゃないわよ」


「ん......」


初日は騎士団が大勢同行していたが、今では団長と部下が二人、距離をあけて後ろからついてきているだけだ。

このパーティは、もう"大丈夫"なのだろう。


森を進む。


「スライムが3体!」「ゴブリンが2体!」「オークだ!」


鑑定を叫ぶ。「ああ!」「おう!」最初のうちは返事があった。


だが、それも徐々に減っていくを


昼食。


配膳された大皿は、自然と四人の前に寄せられ、俺の前には何もない。手を伸ばして、よくやくサラダに届く程度だ。


自分が役に立っていないことを自覚していた俺は萎縮して、取ってくれと頼むことができなかった。


サラダをつまんでいると、陽斗が皿を寄せてくれる。


「依人、肉食うか?」


「......ありがとう」


騎士団長が、不機嫌そうに顔を歪めた。


それから、三日。


「オーク!」「フォレストウルフ4体!」「フォレストスパイダー!」「ダートワーム!」


俺の声は、誰にも拾われない。


鬱陶しく思われているだろうか。

この作業を取り上げられてしまうと、手持ち無沙汰になってしまうので、辞めるに辞められないでいた。


昼食の席でも、視線は合わない。話題にも上らない。


大皿を寄せてくれたあの日の陽斗は、もういない。


──俺の居場所が削られていく。

音もなく、確実に。


────


夜。俺は。

一人で、鑑定ログをぼんやり眺めていた。


(役に立たない、という評価は)

(間違っていない)


この世界では、戦えない者に価値はない。


レゾナンスに俺の居場所はないのかもしれない。


......だからこそ。


翌日、俺たち勇者パーティ【レゾナンス】は王の間へと呼び出された。

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