第2話 優しさの賞味期限はもやし
少し話を戻して、召喚された他勇者四人の紹介をさっくりと。
勇者パーティ【レゾナンス】としての生活は、思っていたより穏やかな始まりだった。
というのも、俺が鑑定士という肩書きを告げられたあの瞬間、広間に走った冷ややかな視線を思えば、もっと露骨に冷遇されるものだと覚悟していたからだ。
最初から、居場所など与えられないのだと。
だが、あてがわれた部屋は他の四人と変わらない。
広く、清潔で、十分すぎるほどだった。
──少し、拍子抜けした。
翌日。
午前の実地訓練を終えた、昼休憩のことだ。
「改めて、自己紹介しようか」
そう切り出したのは、勇者──神谷陽斗だった。
柔らかな声色で、自然と場の空気を整える。
赤茶色の髪に、整った顔立ち。
それでいて奢ったところがなく、誰にでも同じ距離感で接する。
第一印象は、単純に──いいやつ、だった。
「俺は神谷陽斗。勇者......らしい。正直まだ実感はないんだけど、よろしく」
はにかみながらも、場を前へ進める話し方。
この人が勇者なら、きっと大丈夫だ。
そんな根拠のない安心感があった。
「黒川達也、剣士だ」
続いたのは、剣士の黒川達也。
短く切り揃えた黒髪に、鋭い目つき。
無愛想で口数は少ないが、芯の通った雰囲気がある。
「剣なんて触ったこともなかったけど......案外、なんとかなってる」
言葉少なに、それだけ。
「次は...私かな?」
小首を傾げながら明るく声を出したのは、赤髪の少女。
「水瀬由奈です!私も魔法なんて使ったことなかったけど、なんか使えてて。。。今はちょっと楽しい、かな?」
少し照れながら、続ける。
「みんなで一つのパーティなんて、修学旅行みたいで。正直、わくわくしてます!」
その笑顔だけで、場が和らぐ。
集団というものは、こういう人がいるだけで雰囲気がよくなるものだ。
続いて、隣にいた少女がおどおどと話し始める。
「白縫......さよ......です」
小さな声。
視線は伏せられ、こちらをほとんど見ない。
「よろしく......お願いします」
僧侶の白縫さよは、なんというか全体的に白い。
白髪のショートヘアに、白い肌。
存在感すら薄く、今にも世界に溶けて消えてしまいそうだった。
──そして、最後が俺だ。
周りの視線が俺に集まってるのを感じ、話し始める。
「久遠依人。職業は鑑定士だ」
自然と声に力が入る。
「みんな、あんなに戦えてすごいよ。俺も、できる事は頑張りたい。よろしく」
「よろしく、依人」
陽斗が即座に応えてくれた。
それだけで、胸の奥が少し軽くなる。
「これからこの五人でやっていくんだ、仲良くしよう」
異論はなかった。
少なくとも、この時はだれも。
長くなったので、2話は2回にわけます!




