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「役立たず鑑定士」と捨てられた俺、全部鑑定したら勇者より強くなった  作者: 愛田茶々


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第16話 ルナシリス湖は狩りの天国だった



「──随分と騒がしいね。この程度の『バグ』に、何をそんなに怯えているんだい?」



喧騒を切り裂くような、高く、澄んだ声。


ギルドの入り口から、白銀の鎧を纏い、光り輝く一団が悠然と現れる。



先頭に立つのは、赤茶色の髪をなびかせた少年、陽斗だ。


その腰には、聖剣が鈍く光っている。ほとんど最強に近い業物、輝耀の聖剣だ。



「陽斗様! ……レゾナンスだ! 勇者様たちが来てくれたぞ!」



絶望に染まっていた冒険者たちの顔が、一転して希望の光に塗りつぶされていく。


陽斗は鼻で笑うように周囲を一瞥すると、英雄としての余裕を誇示するように言い放った。



「無能な者ほど、想定外の事態に弱い。……いいよ、あとは僕たちに任せなさい。王都を脅かす穢れは、僕がこの手で掃除してあげるから」



(……こんな奴だったか?召喚直後の大人しさはどこへやら。いや、これが自信をつけた本来の彼なのかもしれない)




地を揺らすような拍手と、救世主を讃える万雷の叫びが巻き起こる。


熱狂的な歓声に背中を押されるようにして、勇者一行は門の外へと飛び出していった。



街に残された冒険者たちは「勇者が行ったなら安心だ」と安堵の息を漏らしている。



だが、俺の胸に渦巻くのは、得体の知れない胸騒ぎだけだった。



「……依人、どうしたの?」



いつの間にか隣に来ていたエリナが、不安そうに俺の袖を引く。


よほど暗澹たる顔をしていたのだろう。



「昨日から、なんだか様子が変だよ?」



「あー、言ってなかったな。俺、つい先月まであのパーティにいたんだ。ただ、使い物にならないからって早々に叩き出されたんだけどな」



「そうなの……。じゃあ今の人とは、知り合い?」



「多少話したくらいだけどな。まあ、顔見知りだよ」



そこで、エリナが伏目がちに俯いた。何か思うところがあるみたいだ。


陽斗のことだろうか?


別に友達でもないから、遠慮なくいってほしい旨を伝えると、



「あのね、ハイゴブリンを倒したときにみた銀色の物体……あれ、私の魔力と共鳴してたの。以前、私が呪いにかかったところを依人が助けてくれたよね……あのときの禍々しい感覚が、すごく似ていて」



エリナも感じていたか。俺も、あれを鑑定したときに戦慄したのを覚えている。


【深銀の幼体】──。


エリナの心身を蝕んだ聖遺物の名前が「深銀の揺り籠」。


とても、偶然の一致とは思えない。



「あのときの呪いは、まだ終わってないのかもな」



とはいえ、フルスペックの装備で固めたレゾナンスがそう簡単に後れを取るとも思えない。


今の俺たちにできることは、ただ静観することだけ──


そう、思っていたときだ。



受付嬢のルティアさんに声をかけられた。



「依人さん、あの……」



────



俺たちは、いつもの「亡霊の森」とは逆方向、南に位置するルナシリス湖へと歩みを進めていた。


道中、ゴブリンやスライムをたくさん倒した。



今回、受託した依頼は、湖畔にのみ自生する上級ポーションの触媒──【月見草】の採取だ。


本来、夜間にしか姿を見せない神秘の薬草だが、俺の『鑑定』ならば、日中に身を潜めるそれを容易く暴き出せるというわけだ。




「……ミズタマシカよ」



エリナの指さす先、煌びやかな湖面を背に、俺の身長よりも大きいくらいの鹿の魔物が立っていた。



「よっしゃ、久々の新しい魔物だ!そのスキル、謹んで頂戴するとしよう!」



意気揚々と間合いをつめ、獲物を視界にとらえる。



──『鑑定』。



【名称】水玉鹿

【種族】 魔物

【レベル】10

【基本ステータス】

HP:105 / 105

MP:126 / 126

筋力:19

防御:15

敏捷:37

魔力:40

精神:31

【スキル】

『水属性魔法Lv6』『角技Lv2』『自己再生(中)』『物理耐性Lv1』『魔法耐性Lv3』『流体回避』



E+ランクの魔物と聞いたが、ステータスはそれほど高くない。


恐らく、その他の脅威……具体的にはレベルの高い魔法スキルと、自己再生や回避スキルによる倒しにくさが原因だろう。


【流体回避……物理攻撃が当たった瞬間、その部位を液体化させて衝撃を逃がす。】



だが、スキル頼みのその性能は、俺にとってはむしろ好都合。


早速、いただくとしよう。



──『因果の強奪』


すべてのスキルを奪い終えたところで、脳内で「声」が響いた。


【スキル『流体回避』とスキル『野蛮な生命力』を統合……スキル『流動生命』を獲得しました】



おお!なんかスキルが合わさって進化した!


ちなみに、『野蛮な生命力』はハイゴブリンから奪ったスキルだ。



【流動生命……物理衝撃を逃がし、肉体が削り取られた場合は瞬時に再構築する。】



……もはや、人間が持っていい領域の力じゃない気がする。


腕がもげても、すぐに生えてくるってことでしょ?気味悪がられそうだ。



俺はそのまま、棍棒を一閃した。


スキルの拠り所を失い、ただの水の塊と化した鹿を、経験値の糧へと変えていく。




────



ビチャッ!



「うわっ!」



湖畔の草原を歩いていると、突如として視界の外から飛沫が飛んできた。


水ではない、粘液だ。腕と体が粘液に纏わりつかれ、思うように動かない。



「ギチチッ!」



体長1メートルほどのトカゲが姿を現す。


その細長い舌を伸ばし、次なる一撃──水弾を放つ。


反応の遅れた俺の胸を、高圧の水塊が穿った。



「依人!」



エリナが咄嗟にウィンドウォールを展開し、俺とトカゲの間に防御壁を作る。



「クソッ、なんだコイツ……急に現れやがって」



──『鑑定』。



【名称】ハイドリザード

【種族】 魔物

【レベル】10

【基本ステータス】

HP:180 / 180

MP:45 / 45

筋力:42

防御:40

敏捷:22

魔力:17

精神:17

【スキル】

『水属性魔法Lv2』『毒牙Lv1』『毒耐性Lv1』『隠密Lv3』『不意打ちLv2』『魔法耐性Lv3』



なるほど、隠密にやられたのか。『不意打ち』は初撃の攻撃速度を飛躍的に上昇させるスキルのようだ。


幸い、このトカゲのステータス値は低いためダメージはそれほど受けずに済んだ。



さて、反撃といこうか。


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