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「役立たず鑑定士」と捨てられた俺、全部鑑定したら勇者より強くなった  作者: 愛田茶々


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第10話 検証する鑑定士

ゾルタン、オワタン。

 ギルドマスターとの面会から数日。


 エリナの容体は驚異的な速度で回復し、街は何事もなかったかのような活気に溢れ返っていた。


 だが、 その裏で、中堅パーティ『ナイトレイヴン』のリーダー、ゾルタンが冒険者資格を剥奪され、パーティが強制解散に追い込まれたという噂は、瞬く間に街中を駆け巡った。


 酒場では当分、この話題で持ち切りになるだろう。


 副ギルドマスターのバーナードから聞いた話によれば、事の真相はこうだ。


 ゾルタンは行商人からあの呪われた聖遺物──『深銀の揺り籠』を奪ったが、それは手にした瞬間から持ち主の精神を蝕み、命を吸い上げる禁忌の代物だったのだ。


「……あいつ、自分が助かりたい一心で、あの子を『避雷針』にしたんだな」


 ゾルタンは呪いの身代わりとしてエリナをランタンに封じ込め、その命を削ることで呪いの暴走を抑え込んでいた。

 さらに、そんな危険物を「希少な魔道具」としてギルドに売り払い、厄介払いと金儲けを同時に果たそうとしたという。


俺は苦い思いを奥歯で噛みしめながら、一人で街の外へ向かった。


今日の目的は、ギルドで受注した「薬草採取」の依頼。そして、新スキルの検証だ。


──────


リーフェル近郊の草原。 俺は膝をつき、生い茂る草むらに手をかざす。


【癒し草】

品質:良


「よし、採取。……鑑定レベルが上がると、どれが『アタリ』か一目でわかるから楽だな」


淡々とカゴに埋めていく中、茂みの奥から「ギギッ」と下卑た鳴き声がした。

ゴブリンだ。棍棒を振り回しながら、一匹でこちらに突っ込んでくる。


(きたきた。絶好の検証のチャンスだ)


「試させてもらうぞ。──『因果の強奪(テイクオーバー)』」


俺が手をかざすと、視界が白黒に反転し、ゴブリンの情報が浮き彫りになった。


【対象:ゴブリン】

『自己再生(小)』『棍棒術Lv1』『悪臭』


(『悪臭』はいらないな。……『自己再生(小)』と『棍棒術Lv1』を奪う!)


 念じた瞬間、ゴブリンの体から光の粒が抜け出し、俺の右腕へと吸い込まれた。


 直後。

 猛烈な勢いで棍棒を振り下ろそうとしたゴブリンの手から、武器がすっぽ抜けて地面を転がる。


「ギ、ギィ……?」


何が起きたかわからない、という風に、ゴブリンが困惑の表情を浮かべていた。


 俺はその棍棒を素早く拾い上げると、


「棍棒術Lv1の力を食らえッ!頭カチ割り!」

適当なネーミングを叫び、ゴブリンの脳天へ性格に一撃を叩き込む。



ちなみに、続いて現れたスライムからも『粘液Lv1』『物理耐性Lv1』を奪っておいた。


──────


 一通りの検証を終え、薬草も引き渡し、達成感でスキップしながら気持ちよく夕暮れ時に街を歩いていたときだった。


 路地の暗がりから、亡霊のような影がぬっと飛び出してきた。


「おい、てめえ……! 待てよ、クソガキ……ッ!」


ボロ布のような服を纏い、ひどく痩せこけた男。

かつての傲慢な威圧感は消え失せているが、その濁った瞳に宿る怨念はゾルタンそのものだった。


「......誰だ?」


「てめえのせいだ……!てめえが余計な鑑定なんかしやがったせいで、俺は冒険者資格を剥奪され、多額の賠償金で借金まみれだ……!」


「まさか、ゾルタンか?まだ街にいたのか」


彼は震える手で錆びついた大斧を構えると、獣のような咆哮を上げて突っ込んできた。


「え、ちょ......っ!?」


紙一重。鼻先を掠める風圧に肌が粟立つ。


もし彼が万全の状態であれば、今の一撃で俺の体は上下真っ二つになっていただろう。

衰弱し、動きが鈍っていたことに救われた。


(クッ、まずは.......鑑定!)


【名前】ゾルタン(衰弱)

【種族】人間

【年齢】32

【職業】重戦士アクスバトラー

【レベル】34

【HP】124/1240(124)

【MP】65/65

【筋力】158

【防御】132

【敏捷】45

【魔力】12

【精神】12

スキル

【斧技Lv9】【重装歩兵Lv6】【威圧Lv8】【指揮Lv3】【蛮力の咆哮】


さすが元Cランクパーティのリーダー。中々に強い。

・・・ていうか、あれ?俺の10倍くらい強くない?


もしかしてピンチ?勝てるのか、これ!?

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