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麗しのハーフダークエルフの最恐魔王が勇者アリアにだけは甘い  作者: 久遠悠羽
第3章 滅びし王家の血と竜騎士の帰国

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第72話 人智を超えた者達

 ヴェイルは驚いていた。

 急にアウドラが止まったからだ。


「……姉上?」

 よく見ると呼吸もしていない。


 驚いて顔を上げて周囲を見てみると、管制室内の人間も全て止まっていた。

 ビッグデータを管理している結晶石の画面も何も動かない。


「……これは……時間が止まっている?時間界ザスタビーチェか!

 でも何故俺には効かないんだ?」

 そこまで気が付いてハッとする。


「ミレーヌが来ているのか?何の為に?」

「ヴェイル!!」

 そこへパトラクトラが飛び込んで来た。


「母上」

「『時間の魔女』が術を発動している。攻撃だ」

「やはり……しかし、何故母上と俺には効かないんだ?」


「分からない。私は実際、昔の大戦でもハウエリアが術を掛けている現場にいた事がないんだ。

 300年も時空を飛び越えて来たから『時間の魔女』の時間操作域を……既に超えているのかも知れない」

 パトラクトラが珍しく動揺していた。


「母上、ミレーヌが何処にいるか探って貰えるか?応接室関係なら一階だと思うのだが……」

「ああ、そうだな……位相真眼ウルトベイミア


 彼女が詠唱した。

 障害物があっても位相を変えてその場の状況を見る事が出来る魔法だ。

 魔王城の一階の間取りが壁を透明にした状態になり、各部屋の様子を伺う事が出来た。


「いた!第一応接室だ。リュークもいるぞ」

 ミレーヌを発見して声を上げた。

「ありがとう!」

 ヴェイルが転移する。

 

 第一応接室に飛び込むと、自分の喉に剣を向けているミレーヌを発見した。

「ミレーヌ!やめろ!」

 咄嗟に近寄って剣を弾く。


 短剣は床に落ちてカランと音を立てた。


「……ヴェイル様、どうして?わたくしの術が効かないなんて……」

 ミレーヌが涙の跡が残る顔で、驚いて彼を見た。

 

 ヴェイルはその場で静止しているリュークを見る。

 彼には何も危害は加えられていない様でホッとした。


「大丈夫だ、ミレーヌ。落ち着いて。話は出来るか?」

 ヴェイルが彼女の両肩に手を置いた。


 ミレーヌはまだ驚いていたが、少し安心したのか顔を覆って泣き出した。

「ヴェイル様……わたくし……わたくしは……うっ、うううう……」


「大丈夫か、ヴェイル」

 そこへパトラクトラが来た。

 泣いているミレーヌを見て言葉を失う。

 しかし困った様に見ているヴェイルを下がらせ、優しく言った。


「私はヴェイルの母だ。どうしたのだ?今なら他に誰も聞いていない。力になれると思うぞ」

 そして彼女をそっと抱き締め、背中を摩った。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 暫くのち、ミレーヌが詰まりながらも事情を説明した。


「アリアが攫われた?」

 ヴェイルが青ざめる。

「なんて事だ。すぐにドナウザーン公国に……」


「落ち着け、ヴェイル。アリアなら大丈夫だろう」

 パトラクトラが言う。


「ミレーヌ。さぞ驚いただろうが、たばかれたな……

 竜族国に生息する石白竜ピエドラブランカの石化魔法は、誰かが解くのではない。ほぼ1日で自然に解除されてしまうのだ。竜も遊び感覚で掛けてしまう」


「え?」

 ミレーヌが驚く。


「そのリオクとか言う者、完全にふざけているな。事の重大さが分からない愚か者が」

 パトラクトラが腹立たしげに言った。


「とにかく、事情は分かった。時間界ザスタビーチェを解いてくれないか?」

 ヴェイルが言う。


「……い、今、解くのですか……?」

「ミレーヌ?」


 戸惑っているミレーヌにもう一度声を掛ける。


「あぁ……」

 彼女が急に真っ赤になって顔を覆ってしまった。


「わたくし……死ぬつもりだったので、リューク様に思いっ切り告白してしまいました。どうしましょう」

 そのままフルフルと顔を左右に振る。


「いや、それはいいから解除して?リュークの事好きなのは知ってたから……うん」


 そう言いながらも、ヴェイルも何故か少し頬を染めた。




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― 新着の感想 ―
安堵とあまりの可愛さに、ふるふるしています...!! (前回かなり覚悟を決めていたので...笑) パトラクトラ様も本当に好きです...いてくださると安心します...! とはいえ、アリアが心配ですが…
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