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麗しのハーフダークエルフの最恐魔王が勇者アリアにだけは甘い  作者: 久遠悠羽
第5章 蘇る記憶 交錯する想い

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第106話 弓の訓練

 ヴェイルとリュークに翼が生えてから4日目となった。

 早々に翼の根元が白くなって来ている。


「……この調子だったら20日程で真っ白になるんじゃないだろうか……」

 執事のグラバラドに比率を計ってもらったヴェイルが言った。


「だとしたら期限まで20日近く残りますね。その間に対策を練りましょう。

 希望をお持ちください、陛下」


「ありがとう……」

 彼は礼を言うと、いつもしている手袋を嵌めた。



 今日からはアウドラとラザルが率いる飛竜部隊に所属して訓練をする。

 長距離移動が可能な竜に乗り、鬼族ラーキシャスの地にいるであろう母を捜索する為だ。


 ラザルが交渉して手に入れた紫炎竜ヴァンガニーロウも竜舎で調整に入っている。

 その前に、魔法が使えない場合の個人の戦闘能力の格上げの為に、彼らには特別訓練の時間が設けられた。


「上空からの攻撃に最適な武器はやっぱり弓になって来るのよね。ナザガランの軍には何故か弓兵がいないのよ……どうしてかしら」

 

 第1演習場のトラックに的を設置しながらアウドラが言う。


「ナザガラン兵は全員、防御ランドアント魔法が得意だ。遠方からの弓矢の攻撃に対しても広範囲で張ることが出来るからな。強度もかなりのものだ……


 そして弓よりも強力な飛剣魔法系を使う者も多い。

 そもそもここ数百年、他国が攻め入ってくるような大規模戦闘になった事がないし……」


 ヴェイルも同じく的を設置しながら返す。そして続けて、

「正直な事を言うと、上空からの攻撃が得意なドナウザーン公国の竜騎士隊が来たら、防戦一方になってしまうかも知れないとは思っていた。

 だから新しく飛竜部隊を作ったのだ」

と言った。


「まあ、飛竜だろうがなんだろうが、転移魔法で接近して長刀で叩き落とすけどな、オレなら」

 リュークが言う。


「おお……怖い怖い」

 同じ作業をしているラザルが呟く。


「そうなのよね……この人達魔力が強力だからそういう戦い方しかして来なかったのよ。

 でも行き先は魔法が使えない鬼族ラーキシャスの地。ただの人間って事を考慮した戦闘スタイルが必要よ。……さ、準備出来た」


 全ての的を設置し終えたアウドラが言った。


 黄麒竜ケルタケラハビの腱を弦に使った強力な弓を2人に渡す。


「まずはどれぐらいの腕があるか見るわね。これで的を射ってみて」


 彼らは70ガルドル程離れた的を射ってみる。

 リュークの放った矢が的の中心にスパァン!と当たった。


「流石。いや、能力高すぎ。本当にあんまりやったことないのか?暗器使いって皆んなこうなのかな……」

 ラザルがあまりの精度に恐れをなして言う。


「次、ヴェイルやってみて」


 ヴェイルがキリキリと弦を引く。

 手を離すとヒョオン!と風を切る音がしてパーン!と当たった的が、真っ二つになって弾け飛んだ。


「……あれ?」

 自分の所業に信じられない顔をする。


「あーあ……」

「嘘だろ」

「ヴェイル……魔法使ってなくてそれなの?華奢な身体してるのに……」

 見ていた3人が口々に言い、アウドラが頭を抱えた。


「次は飛びながら射ってみて」


 彼女の言葉に、2人が舞い上がり、上空から地上に置いた的を目掛けて射ってみる。

 しかし羽ばたきの際の上下運動で狙いが定まらず、いくつか外してしまう。


「上手く行かないな」

「竜族は普段どうしているんだ?」

 

 残念がる2人にアウドラが得意げに言った。

「ふふん、訓練あるのみよ。ラザル、お願い」


 彼女の言葉に、準備をしていたラザルが翠玉竜バトギオークに跨って舞い上がり、竜が羽ばたく中で弓を使って的を狙った。

 彼の射った矢は全て的の中心に当たって行く。


「おお」

「凄い。俺達の羽ばたきよりも巨大な竜の方がずっと風で巻き返されるのに」

 ヴェイルとリュークが拍手をする。


「私、こちらに配属になった意義を初めて掴んだ気がします」

 降りてきたラザルが感激して言った。


つがえも速かったな。しかし手で番える弓よりもクロスボウの方がいいのではないのか?」

 ヴェイルが聞く。


「上空での揺れに対しても、弓なら自分の体勢で矢の方向を調整できますが、クロスボウは固定構造のため補正が効きません。

 更に弦の掛け戻しに時間が掛かるのと、そもそも命中率が低くなりますので、やはりつがえの弓が一番かと思われます。

 慣れて来られたら矢を一度に2、3本持ったまま連射出来るかと」


「そうなのか。しかし……鬼相手に通用するものなのだろうか……」

「それな」

 不安げに言う彼にリュークも賛同する。


「一応探索として行かれるのは分かりますが、無手では流石に心許ないのではないかと……」


「まあ、そうだな……とにかく飛翔時の精度をもっと上げないとな」

 ヴェイルがもう一度弓を掴んで言う。


「なんか負けたくないよな、オレ達のは竜じゃなくて自分の翼なんだし」

「そうだよな。自在に飛んで自在に射てる様になりたい」


 2人は顔を見合わせて頷くと、翼を広げ風を切る感触を確かめながら、再び空に舞い上がった。


「向上心が素晴らしい。若者さも溢れていてちょっと憧れます陛下。殿下……」

 ラザルが見上げて羨ましげに言った。


「慣れたら飛盤撃ち(飛ぶ的を撃つこと)に移るわよ!」

 アウドラが口に手を当てて叫んだ。


「「了解!」」

 上空で、弓を番えながら返事をする彼らの声が揃った。




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