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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

異世界に住む、女の子を僕は好きになりました

魔王組のおにぎり作り  【 異世界に住む、女の子を僕は好きになりましたシリーズ】

作者: もち雪

【 異世界に住む、女の子を僕は好きになりました】で、全然出て来ない、魔王側のお話です。


初めての方にも、見れる様に書いている為、説明がやや長いかもしれませんが、読んでいただければ嬉しいです!


【 異世界に住む、女の子を僕は好きになりました】←メインの話も良かったら。しかし魔王組の消息は、長い間不明になります!(話の流れを切るので、短編で出す事にした為です)



 この世界は、あなたから見て異世界。


 その異世界の魔王の城には風変わりな魔王が住んでいた。名前はヤーグ。


 彼は外見の見栄えが良く、魔力も増大だ。


 なので、多くの色欲の激しい魔族や魔物、強い力の魔物の子どもをもぐもぐ食べちゃう系の魔物や魔人を倒していく内に、魔王への階段を昇りつめた者である。


 しかし彼は階段を駆け上がり、魔王に知らぬ間に押し上げられた自分をただ遠いどこか……。


 そう……あれは魔王が少年だった時、生涯で、初めて()い。そして今も唯一の自分より強く、邪悪なる者とあった。あの地で、()()()は世界を眺めていたのかもしれない。


 そんな彼の心を、今、魔王の城へ釘付けにしている存在。『勇者よしの』


 魔王の居る世界ではない、どこかの世界やって来た彼は、魔王にズタボロに負け、仲間の無残な死体を見た。魔王に呪いによって青い鳥となっても、魔王への呪いの唄をうたい。そしてしつこかった。


 そして無法者だった。度が過ぎる程に……。だから仲間が生きている事を知る、今、なお、しつこく青い鳥の姿で、魔王の城に住み続けそしてバカ騒ぎをして暮らす。


 そして魔王も、少し愚か者になってしまった。 


 彼は、あまりよく良く知らない白銀狐と言う種族の、両親の亡くなった娘、フィーナを引き取り育てる程には……。


 フィーナが、魔王の城に住んでしばらくして、魔王の城の一部の改築工事が始まった。


 工事は、ドワーフとホビットが合同で、担当し3ヶ月という早さで、完成した。


「よしのさん、よしのさん」


 ある日、俺が最近お気に入りの王座の間の玉座の後ろ。真の玉座のクッションで眠ってるいると、フィーナが俺に声をかけて来た。


「何だ?、飴でも欲しいのか? 勝手持ってけ、俺の部屋にあるから」

 俺の暖かい青色の羽毛は、子供にも人気だが、今は自分の睡眠を優先させた。


「違いますよ、そんな子供じゃありません」


 銀色の髪、銀色の狐の耳のフィーナがふくれっ面をする。


 そんな子どもぽいフィーナ……いや14歳は十分子どもか? もう何百年も生きているので、それさえもわからなくなってくる。


 俺はしぶしぶフィーナの肩に乗り、今日一番の声でさえずりで、子どもをあやす。


「ピイーィピョ」


「よしのさん、昨日で改築工事も無事終わりましたでしよう。だから今日は新しい台所で、みんなで料理を作る計画なのです」


 フィーナは、割烹着を身につけ、両腰に手を当てて、俺に宣言した。こういう事を言い出すと、案外この子どもは頑固で考えを変えない、魔王も良いじぃさんみたいになってフィーナを手伝うのだ。なんか面白くない。


 だが、俺も大人だ。子どものわがまま位、聞いてやる事にしている。


「だから料理について、わからない時は教えてください」


 そう言う間に、俺を肩に乗せながら返事を待たずに、新しく建てられたエリアに入った。


 その部屋に入った途端に懐かしい、いぐさの匂い。そして囲炉裏(いろり)掘り炬燵(ほりごたつ)……。


 その匂いと、風景は俺の記憶のふたを開ける。


「本当、お前は喧嘩ばっかして、うちら百姓なのにお侍様にでもなるつもりかい」


 もう居ないおふくろの声。そうおふくろは、小さな弟を背負いながらいつも、俺にそんな事を言いながら台所へ歩いて行く。


 だが、悪たれだった俺を、親父が家の外に出した時、こっそりおにぎりを持って来たのもおふくろだった。


 しかし知り合いの剣術のじっちゃん先生の紹介で、都会で一旗揚げようと、つてで働いた金を持って家を飛び出した俺を、おふくろはどう思ったのだろうか?


 いやいやいや、俺は全てを捨てて来た、そんな事を思う資格などないのだ。


 横を、見るとフィーナもどこか遠くを眺めている様だ。もう戻らないものを……。


 行き場所をない子どもを抱きしめる。羽毛で……。


「よしのさん何しているんですか? 前が見えません」


 この子どもは、俺が羽毛で頭を挟みこんでやっているのに……うれしくないのか!? 普通なら『わぁ――鳥さん暖かい』って言うぞ? 知らんけど。俺は理解出来ず。肩にちゃんと乗り歌った。「ピロローロォ」


「?……」


「もう行くか?」


「あっ、はい」


「よしのさん」


「何だ?」


「いぐさ、いい匂いですね」


「そうだなぁ」


 台所の入り口をくぐり中に入ると、魔王が向こうを向いて待っていた。 魔王の髪は金色、今日もピカピカだ。しかし今日はひとつに綺麗に、編み込まれている。……なんだ――とおぉぉ――!?


「ぎゃ――――――!!」俺は、飛び上がり驚く!


「よしのさん、うるさい耳が痛いです」


「あほか!こっちは心が痛いわ。どこの世の中に、三つ編みの魔王がいる」


「まぁまぁ、落ちつけよしの」


 魔王のまわりを飛ぶ、俺に魔王は……。は?!


「はぁ――――――――――――?! たすきがけ?! なんで!? 」


「なんだ……? 我に入る割烹着が品切れだったのだ……やはり、お前はそこにこだわるのか……」「なんですか、もう……うるさいなあ」


 ローブにたすきがけをした魔王と、耳をぺったんこに折り曲げ手でおさえたフィーナが俺を下から見あげていた。


「そんな問題じゃねぇ――!?」


 俺は、そう言い残し台所を飛び出していた。


 高潔な闇夜の王ヤーグ……。俺をこの姿にたらしめた魔王は、今や見る影もない……。


 俺は玉座までひとっとびで来ると玉座に止まり、下に見える冷たい石の階段を眺める。


 魔王が魔王であり、何者も寄せ付けずにいた頃。それでも魔王なら悪と俺達はここへやって来た。


 それは俺がこの世界へ来るより以前に決められていた事で、召喚された俺は、人々に恩を返す為と、叩き出されたのと半々の理由で、俺が今、見ている景色の中に居た。


 勇者と言われ城を離れた俺達、俺とフェイリスとサラ……すべてがうまくいく自信は無かったが、誰か一人でも魔王の息の根を覚悟と算段はあったはずだった。


 しかし俺達は、案外あっさりと負け、魔王が冷たく目を向けるなか、フェイリスとサラは、あの位置と、あの位置で、屍となった。勝敗は一瞬、俺はフェイリスに押し出された事もあって、死ぬのが少し遅れた。


 負けは決定していた。臓物(ぞうもつ)をさらし、たどり着けないとわかっていても、俺は行くしかなかった。階段を昇り、魔王のもとへ。


 でも、顔を上げて知った、魔王は軽蔑(けいべつ)も、虫けらの様に見るでも無く、可哀そうでもない。


 魔王は、俺達を見てなかった。だから俺は憤怒し、悲しみ、そうして何を思ったのだろう。俺は俺を見ろと、言い続けていた様に思うが、もうわかんねぇ……。


 俺が欲したものは何だったか? そして俺の、今、望むのは何だ? わかんねぇが、今は俺を魔王は見る。


 一刻、二刻経った頃、フィーナが来て、玉座の横にもたれかける様に座る。


「よしのさんここへ、来てください」


 そう言って自分の隣の床を叩きながら、俺を呼ぶ。しぶしぶ行ってやってやる俺、そんな俺にフィーナは呪文を唱える。


 俺はそれを受け入れ、座り丸くなっていた。そうすると俺は懐かしい姿のへと変貌をとげた。


 そんな俺にフィーナは黙って、弁当箱を差した。


 弁当は塩味のおにぎりに、甘い卵焼き。


 ……食事シーンについて話せない。


 これは俺のものだから。


「今度は、手伝ってくださいね。後、人間である内にお弁当箱は、ご自分で洗ってください。それにしてもよしのさんは人間の時でも、よしのさんって感じですよね……」


 俺が食べ終わったのを確認したら、そう言って帰っていった。


 しばらくして、ヤーグがやって来て玉座に座る。


「久しぶりだな、その姿は……」


「ああぁ、そうだな」


「そのままの姿で、いたいか?」


「いや、ここに居るには鳥の方が、周りがうるさくないだろうから鳥でいい」


「そうか……」


「そろそろ行かぬと洗えぬぞ」


「そうだな、ご馳走さん」


 鳥はいい何処でも行ける。 だから青い鳥の俺はここに居る。


 終わり

見ていただきありがとうございます。


またどこかで~。


最後に【 異世界に住む、女の子を僕は好きになりました】も、よろしくお願いします。

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