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隣にいるのに遠い君へ〜恋に素直になるまで〜

作者: 白花 舞雪

閲覧いただき、ありがとうございます。最後までお付き合いいただければ幸いです。

花咲明日菜はなさきあすなは、放課後の図書室で恋愛小説を読んでいた。

友人の勧めで手に取ったものの、その内容に心がざわつく。

主人公が婚約者に冷たくされ、最終的に婚約破棄を突きつけられる物語だ。


「私、みたい……」


明日菜は、小さく息をつく。

頭に浮かぶのは、桝崎斗真ますざきとうまの顔。

明日菜の婚約者であり、幼馴染でもある彼は、いつもからかうような言葉ばかり投げかけてくる。

明日菜がどんなに努力しても、その評価は冷たく、彼女は自信を持てなくなっていた。


「おい、明日菜。何読んでんねん?」


突然、声をかけられて顔を上げると、斗真が立っていた。

にやりと笑うその表情は、いつものお調子者の斗真そのものだ。


「ただの小説。別に面白いわけじゃないし……」


明日菜は慌てて本を閉じる。

斗真に見られるのが恥ずかしかったので、ついぶっきらぼうに返事をしてしまった。


「なんや、恋愛小説か?そんなん読んでたら、俺以外の男に目移りしてまうんちゃうか?」


斗真は、軽口を叩くが、その言葉には明日菜をからかう以上の何かが隠れているようには見えない。

明日菜は、ふっと目をそらして答える。


「……そんなこと、ないよ」


斗真は気づいていない。

明日菜が少しずつ、自信を失っていることに。


図書室を後にした明日菜は、教室に戻る途中で友人の金城由佳かねしろゆかに声をかけられた。

由佳は、明日菜と斗真の関係について知っている数少ない友人だ。


「明日菜、この前勧めた小説どうだった?……って、大丈夫?斗真くんと何かあったの?」


「別に、何もないよ。ただ……」


明日菜は言葉を濁す。

自分の胸の内をすべて話すわけにはいかない。でも、由佳には気づかれてしまっているようだった。


「ねえ、明日菜。何か思うことがあるなら、ちゃんと口にしたほうが良いよ。斗真くんって、いつもあんな感じだけど、もしかしてあれが愛情表現なのかもよ?」


「……そう思ってた。でも、最近はよくわからなくて……」


由佳は優しく微笑んで、明日菜の肩を叩いた。


「まあ、男の子って鈍感なところあるからね。でも、明日菜がそんなに悩んでるなら、一度ちゃんと話してみたら?婚約してるんだし、将来のこともあるでしょ?」


「うん……ありがとう、由佳。考えてみる」


明日菜はぎこちない笑顔で答えたが、その胸中は不安と迷いでいっぱいだった。


一方、斗真は男友達と一緒に校庭でサッカーをしていた。いつものように笑い合い、軽口を叩いている。


「なあ、斗真。お前、明日菜ちゃんのことどう思ってんだよ?最近、全然デレデレして惚気てこねえし。倦怠期か?」


友人の羽田翔太はねだしょうたがニヤニヤしながら聞いてくる。


「は?別にあいつには、特に言うこともないしなあ。倦怠期でもなんでもない。」


斗真は、あっけらかんと答える。だが、翔太はさらに突っ込んできた。


「明日菜ちゃんの一番好きなとこってどこ?お前、明日菜ちゃんの前では全然褒めてたりしないじゃん。」


「明日菜なぁ……まぁ、ええところもあるんちゃう?」


斗真は、軽く笑ってはぐらかした。

友人たちはそれ以上は聞かずにサッカーに戻ったが、斗真の心にはわずかな違和感が残っていた。

最近の明日菜の表情が、どこか寂しげに見えることが気にかかっていたのだ。


「……俺、なんかしたんか?」


斗真は小さく呟いたが、誰も答えることはなかった。


家に帰った明日菜は、部屋にこもり、由佳に勧められた恋愛小説をもう一度開いた。

婚約者に冷たくされ続けた主人公が、自分の幸せのために婚約破棄を申し出るシーンがあった。


「私も、こうなるのかな……」


明日菜は、ポツリと呟いた。

自分は婚約者としての価値がないのではないか。

そう思うと、胸が痛くなった。


「自分の道を探してみよう……」


明日菜はふと決心した。

斗真に依存しない、新しい自分の生き方を見つけようと。

翌日から、明日菜は就職の道を探し始めることにした。


翌日、明日菜は、放課後に近くのカフェに立ち寄っていた。

早速、スマートフォンで求人情報を検索しながら、就職について真剣に考えていたのだ。

今までは、大学進学しか検討していなかったが、一刻も早く自立したい気持ちが芽生えていた。

高校を卒業するまでには、自立する道を見つけたい。

斗真との婚約を考え直すためにも、まずは自分が変わらなければならないと思ったからだ。


「いらっしゃいませ、ご注文はお決まりですか?」


カフェの店員が声をかけてきた。明日菜は笑顔で答えた。


「アイスコーヒーをお願いします。」


少し冷たい飲み物が、悩む心を落ち着かせてくれる気がした。

しばらくして、友人の由佳がカフェに現れた。偶然通りかかったらしく、席に着くなり心配そうな顔をして聞いてきた。


「明日菜、大丈夫?なんか元気ないよね。」


「うん、大丈夫。ちょっと考え事してただけ。」


明日菜は無理に笑顔を作ったが、由佳には見透かされているようだった。


「もしかして、斗真くんのこと?」


明日菜は黙ったまま、カップに視線を落とした。

それが答えであることを、由佳は理解した。


「そっか……でも、明日菜が自立しようとするのはいいことだと思うよ。でもね、それで斗真くんがどう思うかはわからないよ?」


「……どういうこと?」


由佳は明日菜に向かって身を乗り出し、真剣な表情で続けた。


「明日菜が自立しようとすることは素晴らしいと思う。でも、斗真くんもそれに戸惑うんじゃないかな。彼にとっては、急な変化かもしれないだろうし……」


「そう……かもしれないね。でも、私だってこのままじゃダメだと思うの。」


明日菜は、自分の中で確信を持つように言葉を吐き出した。それでも、心の奥には斗真への未練が少し残っていることに気づかざるを得なかった。


その頃、斗真はいつものように男友達とサッカーをしていた。だが、今日はどこか元気がないように見えた。


「おい、斗真。どうしたんだよ?なんか悩んでないか?」


翔太が心配そうに声をかけた。

斗真は少し苦笑いを浮かべたが、すぐに顔を曇らせた。


「いや、別に悩んでるわけちゃうけど……最近、明日菜の様子がおかしいんや。なんか、俺から離れていってる感じがしてな。」


「そりゃあ、お前がいつも素っ気ないからじゃないか?すぐ軽口でかわすし、本音で語り合おうとしないお前の悪い癖が出てるんじゃね?」


「……そうなんか?」


斗真は、頭をかきながら困惑した表情を浮かべた。

いつも通りに接しているつもりだったが、明日菜にはそれが伝わっていないのかもしれない。


「お前、本当にそれで大丈夫なのか?あんな可愛い子、他の男に取られたらどうすんだよ?」


翔太の言葉に、斗真は一瞬だけ真剣な顔になった。

そして、少し笑みを浮かべて答えた。


「アイツを俺から取ろうなんてする奴は早々おらへんって。」


斗真は、軽く笑ってはぐらかしたが、その胸中は穏やかではなかった。

実は、斗真自身も明日菜が他の男といる姿を想像するだけで不安になるのだ。


翌日も明日菜は由佳と一緒に駅前のカフェでお茶をしていた。

明日菜の心情を察した由佳が気分転換にと連日付き合ってくれているのだ。

由佳が友達から電話があったと席を外し、明日菜が一人でアイスティーを飲んで待っていると、明日菜のクラスメイトである滝川修司たきがわしゅうじが声をかけてきた。

彼は明るくて社交的な男子生徒で、周囲からも好感を持たれているタイプだ。


「やあ、明日菜。久しぶりに会ったけど、元気そうだね。」


「滝川くん、こんにちは。元気……だと思う。」


修司は笑顔で明日菜に近づき、彼女の隣に座った。


「最近、よく見かけるけど、就職活動してるって本当?」


「うん、少しずつ探しているところ。自立したいと思って。」


「素晴らしいね!僕も今、進路に悩んでるから、何かあったら相談に乗ってよ。」


明日菜は少し戸惑ったが、修司の好意的な態度に安心した。

その様子を、偶然近くを通りかかった斗真がカフェの窓越しで2人が横並びで座って談笑したいるのを見ていた。


「……なんや、あの二人。」


斗真は、胸の奥に広がる違和感を感じた。

明日菜が他の男と親しげに話しているのを見たことがほとんどなかったからだ。

斗真は、居ても立っても居られず、カフェに足早に入ると、その場に駆け寄り、修司と明日菜の目の前の席にどかっと座った。


「おい、明日菜。こんなところで何してんねん?」


斗真の突然の登場に、明日菜は驚きの表情を浮かべた。


「斗真?別に、ただお茶してただけだけど……」


「そうなんか。でも、俺という婚約者がいながら、あんまり他の男と仲良くすんのはどうかと思うけどな。」


斗真の言葉に、修司は少し笑って言い返した。


「おいおい、斗真。そんなこと言ったら、明日菜が困るだろ?」


斗真は言葉に詰まり、明日菜の顔をちらりと見る。

明日菜は、複雑な表情を浮かべていた。


「私……斗真にとって、何なの?婚約者だなんて、形だけでしょう?」


その言葉に、斗真は硬直した。

思ってもみなかった明日菜の問いに、返す言葉が見つからなかったのだ。


明日菜はその場を離れ、斗真の視線から逃げるように駅へと向かった。

修司が追いかけてくるのを感じたが、立ち止まらずに歩き続けた。


「もういい。私は、自分のために生きよう。」


明日菜は涙をこらえながら、小さく呟いた。

彼女の心には、斗真とのこれまでのすれ違いが重くのしかかっていた。



翌朝、斗真はいつものように学校に向かっていたが、足取りは重かった。

頭の中には、昨日の明日菜の言葉がずっと響いている。


「私……斗真にとって、何なの?婚約者だなんで、形だけでしょう?」


それは、斗真にとって衝撃的な一言だった。

明日菜に自分の気持ちが伝わってないなんて、考えたこともなかった。

軽口を言っていても分かり合えていると思い込んでいた。

斗真は、自分の態度が彼女を傷つけていたことに気づいていなかったのだ。


「くそっ……なんでこんなことになってんねん!」


斗真は悔しさで拳を握りしめた。

幼い頃から一緒に育った幼馴染で、婚約者として特別な存在のはずなのに、どうしてこうもすれ違ってしまうのか。

自分の不器用さを呪いたくなる思いだった。


その頃、明日菜は早めに学校に着いて、教室の窓から空を見上げていた。

青空が広がっているのに、彼女の心はどこか曇っていた。


「私、このままでいいのかな……」


明日菜は、自分の気持ちに問いかけた。

恋愛小説の主人公のように、自分も新しい道を見つけるべきなのか。

それとも、斗真との関係をもう一度やり直すべきなのか。


「就職活動、頑張らなきゃ……」


明日菜は自分に言い聞かせるように呟いた。

斗真に依存せず、自分の力で立つために。

彼女は、友人の由佳と一緒に放課後の就職相談会に参加することを決めた。

由佳は戸惑いながらも、就職相談会に付き合ってくれることになった。


昼休み、斗真は明日菜を探して校内を歩いていた。

ようやく見つけた明日菜は、教室の片隅で何かを書いているようだった。

斗真は意を決して近づいた。


「おい、明日菜。ちょっと話せへんか?」


明日菜は顔を上げ、斗真を見たが、その表情は冷たく、斗真を拒絶しているようだった。


「何?今、忙しいんだけど。」


「……いや、昨日のことなんやけどな。由佳ちゃんからもあの後話聞いてん。その、誤解して悪かった!それに、そうじゃなくても、俺、ちょっと言い過ぎたかもしれん。悪かった!」


斗真が謝るのは珍しいことだったが、明日菜はあまり反応を示さなかった。


「別に、気にしてないから。それより、私、これから就職相談会の申し込みに行くの。由佳と一緒に。」


「就職相談会?お前、進学するんちゃうんか?」


斗真は驚いた様子で明日菜を見た。

彼女が自分の進路を決め始めていることに、まったく気づいていなかったのだ。


「そう思ってたけど、考え直したの。自分で生きていく道を探したいから。」


明日菜の強い意志を感じる言葉に、斗真は胸が痛くなった。

今まで、自分が彼女の気持ちを理解していなかったことが痛感される。


「お前……俺との婚約、どうするつもりなんや?」


斗真は不安げに尋ねた。

その問いに、明日菜は一瞬だけ目を伏せたが、すぐに顔を上げた。


「成婚するとは限らないでしょ?お互い無理に関係を続けなくてもいいと思うの。」


斗真はその言葉に、息を呑んだ。

明日菜がこんなにも冷静に、自分たちの関係を見直そうとしていることに、衝撃を受けていた。


「お前……ほんまにそれでええんか?」


斗真の声は震えていたが、明日菜は静かに頷いた。


「ええ、いいわ。私、自分の道を見つけたいから。」


その日の放課後、斗真は気持ちを切り替えた。明日菜が自立しようとしていることは理解できたが、その過程で、斗真と明日菜の関係が終わってしまうのは絶対に嫌だった。

斗真は、自分の本当の気持ちを伝えることを決意した。


翌朝、明日菜はいつも通り学校に行く準備をしていた。

制服に袖を通し、鏡の前で軽く髪を整えたところで、母親の声がリビングから聞こえてきた。


「明日菜、斗真くんが迎えにきてるわよ!」


「えっ?」


予想外の知らせに、明日菜は一瞬固まった。

斗真が家まで迎えに来るなんて、今までなかったことだ。

急いで玄関に向かうと、斗真が玄関先で少し照れたように立っていた。


「おはよう、明日菜。一緒に学校行かへん?」


斗真は、手に小さな花束を持っていた。

ピンクのカーネーションが可愛らしくラッピングされている。


「それ、何……?」


明日菜は戸惑いながら斗真の手元を見た。

斗真は少し顔を赤くしながら、花束を差し出した。


「これ、お前に渡したかったんや。最近、なんか元気なさそうやったからな。少しでも元気出してほしい思て。」


その言葉に、明日菜は驚きと嬉しさが入り混じった表情を浮かべた。

斗真がこんなふうに気遣いを見せるのは、彼にしては珍しいことだった。


「斗真……ありがとう。でも、こんなことしてくれるの、初めてじゃない?」


「せやな。今まで俺、素直になれんかったからな。でも、これからはちゃんとお前に向き合いたいんや」


斗真は、真剣な目で明日菜を見つめた。

その瞳には、今までの曖昧な態度とは違う、真っ直ぐな思いが感じられた。


「……わかった。じゃあ、一緒に学校行こう。」


明日菜は、花束を大切に胸に抱きしめながら微笑んだ。

その姿に、斗真も自然と笑みを浮かべた。


「よかった。絶対にお前のこと大事にするからな。他の男になんて、絶対渡さへん。」


斗真は、そう宣言すると、こそばゆい感じがしたのか、照れ隠しに軽く笑いながら、明日菜の手をぎゅっと握った。

2人は手を繋いで歩き出し、その温かさに少しずつ心の距離が縮まっていくのを感じた。


週末の朝、斗真は早起きしていた。

窓の外から差し込む陽光が、彼の背中を温かく包んでいる。

これから明日菜とデートをする約束をしており、そのために身支度を整えていた。

斗真にとって、こんなに緊張するのは久しぶりだった。

花束を渡した日、デートに誘った斗真。

明日菜の気持ちをなんとか繋ぎ止めたかった。


「よっしゃ、今日は絶対にちゃんと俺の想い、伝えるぞ!」


斗真は鏡に向かって自分に言い聞かせた。

彼の胸には、明日菜に伝えたい言葉が溢れていた。

今まで素直に言えなかった「好きだ」という気持ちを、今日ははっきりと伝えるつもりだった。


待ち合わせ場所の公園に着いた斗真は、少し早めに到着していた。

明日菜が来るのを待ちながら、彼は少しそわそわしていた。

しばらくして、明日菜が公園の入口から姿を見せた。


「斗真、おはよう。」


明日菜は、少し照れたように微笑みかけた。

その笑顔を見た斗真の胸が、温かい何かで満たされる。


「おはよう、明日菜。今日は楽しもうな!」


斗真は、明日菜の手を自然に取った。

明日菜は一瞬驚いたが、すぐにその手を握り返した。

なんだかこういう恋人らしいことをしたのは、いつぶりだろう、と内心明日菜は思った。

2人は手を繋いだまま、街を歩き出した。


カフェで一休みした後、2人は川沿いのベンチに腰掛けた。

明日菜は、斗真が買ってくれたホットチョコレートを飲みながら、斗真の顔を見つめた。


「ねえ、斗真。」


「ん?どうした?」


明日菜は、少し悩むように言葉を探していたが、やがて決心したように口を開いた。


「私、最近ずっと考えてたの。私たち、このまま婚約を続けるのが本当にいいのかって。」


その言葉に、斗真は驚いた表情をした後、息を呑んだ。そして、すぐに真剣な顔に変わり、明日菜をじっと見つめた。


「それ、俺も考えとった。」


「え?」


明日菜は、斗真の言葉に戸惑った。

彼も同じことを考えていたとは思わなかったのだ。


「俺、ずっとお前に素直になれんかった。お前のことが好きやのに、からかったり、素っ気ない態度ばっかり取って……ほんまに馬鹿やったと思う。」


斗真は、握った手に力を込めて続けた。


「俺は、お前と一緒にいたい。婚約とか関係なく、お前と一緒に未来を歩きたいんや。」


明日菜は、その言葉を聞いて涙がこぼれそうになった。

今まで感じていた不安や、すれ違いの原因が一気に解消されたように思えた。


「斗真……私も、ずっとあなたの気持ちがわからなくて、不安だった。でも、今ははっきりわかる。私も、斗真と一緒にいたい。」


明日菜は涙を拭いながら、斗真に微笑んだ。

斗真は明日菜の涙を指で拭うと、頬に優しく口付けをした。


それからしばらく、2人は言葉もなく手を繋いで歩いた。

公園の花壇には、色とりどりの花が咲き誇っている。

斗真は、明日菜を振り向き、真剣な顔で言った。


「明日菜、もう一度ちゃんと言わせてくれ。俺、お前のことが好きや。ずっと一緒にいたいんや。」


明日菜は、頷きながら斗真の目を見つめ返した。


「私も……斗真のことが好き。これからも、ずっと一緒にいてほしい。」


2人は、笑顔で見つめ合った。

その瞬間、すべての誤解が解け、2人の心が一つになったと2人は互いに感じた。


それから数日後、明日菜は斗真と一緒に、斗真の部屋で、進路の相談をしていた。

2人は、それぞれの道を尊重しながら、一緒に歩む未来を描いている。

明日菜は斗真と仲直りをして改めて進路を考えた。

少しでも早く手に職をつけたいという思いから、大学進学でも就職でもなく、専門学校で美容系の学校への進学を検討することにしたのだ。


「専門学校のこと、ちゃんと応援するからな。でも、無理はせんといてや。」


斗真は、優しい表情で明日菜に言った。

明日菜は笑顔で頷いた。


「ありがとう、斗真。私も、あなたの夢を応援するから。」


2人は、お互いの手をしっかりと握りしめた。その手の温かさが、2人の未来の明るさを象徴しているようだった。


よろしければご評価、ご感想いただけると励みになります。最後までお付き合いくださり、ありがとうございます。

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