長かった…
「えー今から、家、やります。ぱぱっと家、やります。」
「おー。」
「おー、なのじゃ。」
俺の音頭に、二人のノリが良いのか悪いのか分からない、平坦な声が返ってきた。
「でじゃ、お主…」
「ん?なんだ?」
「家…は確か…」
そう言いながら魔王はしゃがみ込み、魔力を込める四角い枠へ指をさす。
「ここに、魔力を込めるんじゃったのじゃ?」
「そ。当たってるぞ。」
「むふーっ!!さすが妾なのじゃ!!賢い…!!やっぱり妾は賢いのじゃ!!」
また、自画自賛が始まった。
「ソダネー。」
でも、たった数分前に一度言ったことなんだけどな…
だから別に、覚えてたから何っていうか…
「そうなのじゃ!!むっふんっ!!」
俺の気持ちを魔王が察してくれることはなく、魔王は得意げに胸を張った。
「いつも通りね。」
「ははっ…。ほんとな。」
「でじゃ!」
エッヘンはもういいのか、魔王がこっちを見てきた。
「ん?どうした?」
「これ…、これは魔力を込めるとどうなるのじゃ?」
「あー…確か、そこに魔力を込めるとな、まずはこの白いシートと地面とがくっつくらしんだよ。」
「くっ、くっつくのじゃ!?地面とこの大きいのがっ…!?」
「そうなんだよ。」
「ぬはーっ!!」
魔王はすぐに目を大きく見開かせ、目の前に広がるシートを見渡す。
そして少し感嘆としながら…
「ぬへー、こんなに大きいのにじゃ…」
「まぁ、そうよね。確かにすごいわね、でも、もし家が出来た後で動いたりしたら大変だし。だから、当然ではあるわよね。」
「あー、だな。」
「動く…。あー、なる…、なーじゃ!」
「ん?何?」
魔が呼びかけてくる。
それにアイラが反応した。
「なんで動くと大変なのじゃ?なんでなんじゃ?」
「ん-、そうねー…、例えばよ?もし家が勝手に動くとするじゃない?」
「するのじゃ!」
「そしたら大変じゃない?」
「なんでじゃ?」
「えっ…?ん-、なんで…。なんでって…、だって家が動くと大変じゃない…」
「ぬ…。それはもう分かったのじゃ!!妾はその理由をきいてるのじゃ!!」
「…ッ!!うっさいわね!!なんで…。なんで…」
アイラは考え始める。
眉間にしわを寄せて真剣に…
ほんと、大変そうだった。
でもまぁ、今回はアイラが相手してくれるみたいだし、俺はのんびりと様子を見てたら…
何故か今このタイミングで、アイラと目が合った。
「うわぁ…。嫌な予感…」
「フェデ、任せた!」
「やっぱり…」
「何?文句あるの?」
「そりゃー、あ…
「で、お主、なんでじゃ?」
逃れようと思ってたのに、それより早く魔王が尋ねてきた。
「はぁ…、しょうがないか…」
理由…
この開けた場所で家が動いて困る理由なー。
「ん-…、なんで…。例えばさ…」
「例えば…、おうなのじゃ!」
魔王が嬉しそうに目を見開かせ、興味を持った目で見てくる。
「この辺から移動して、向こうの方…」
俺は木が生い茂っている方向を指さす。
魔王もそれにつられて、俺が指さす方へ顔を向ける。
「…に木があるだろ?あの辺まで家が移動して、で、家が木とぶつかったら大変だと思わないか?」
「そうなのじゃ?」
「そ。だってさ、ぶつかった拍子…。ぶつかった時に家が壊れるかもしれないし…」
「そっ、それは大変なのじゃ…!!」
「だろ?だから、家が動いたりしたらダメだから、そうならないためにこれ(白いシート)…が地面とくっつくようにできてるんだよ。たぶんな…」
「おー、なる…、なるほどなのじゃ!!」
魔王が大きな声で返事を返してくる。
納得させられたみたいだ。
魔王はすぐに広がったシートへと視線を移し、「ぬへー…」と言葉をこぼし始めた。
「おつかれ。」
「ほんとな。というか、なんで投げてくんの!」
「いや、だってフェデいるし、ならもうフェデに投げたらいいやって思ってね。」
「ひど…」
「何?文句あるわけ?」
アイラが凄んでくる。
「そりゃー、あるに…
「でじゃ、お主!!」
「またか…」
なんで、反論しようとした時に限って声をかけてくるのだろう、この小さいの…
「ふふ…。頑張ってね。」
「ほんとな…。で、なんだ?」
「これ…」
魔王はシートを指さしながら…
「これに魔力を入れた後、その後はどうなるのじゃ?」
続きか…
くっついた後だから、確か…
「この四角形の上にゲージ的なものが出てくるらしい…ぞ?」
「げーじてき…?なのじゃ?」
「あーすまん。ゲージ、だな。」
「ゲージ…。のじゃ?」
「そ、ゲージ。でも、なんて説明したらいいかなー…」
ゲージって、基本ゲームとかで出てくるものの話だもんな…
当然魔王が分かるはずもなく、首をほぼ直角に曲げている。
「ん-…」
俺は少し助け船が欲しくてアイラを見てみる。
そしたらすぐにアイラと目が合った、が…
「ゲージ?私も初めて聞いたわ。何なの?ゲージって…」
「ですよねー。そりゃそう…。なんて言うかな~。こう、魔力を送り込むだろ?」
「う、うん…」
「お、おう…なのじゃ?」
「そしたら、今送り込んでる魔力量があと完成までにどれくらいいるかっていう…、目安でいいのかな?その目安を目で見て分かるようにしたグラフみたいなやつが出てくると思うんだけど…」
一応は、頑張って言葉にはした。
けど、これで伝わったかどうかを確認するため、俺は二人の様子を見る、と…
アイラは…
「ん-、なんとなく分かる気はするけど…」
うん…
魔王は…
「のじゃ?」
頭を大きく横へと傾け、どこか遠くを見ていた…
つまりは、目で見て分かるくらい、魔王の頭に?(ハテナ)が浮かんでるのが伝わってきた。
「だよな…。俺もちゃんと説明できてた自信ないし…。やるか。その方が早いし…」
「そうね。どうせどっちにしてもやるんだもん!なら、やった方が早いもんね。」
「だな。」
俺はしゃがみ、魔力を供給するための四角い囲いへと手を置こうとする…と、急に魔王が大声を上げてきた。
「待っ…!!勇者、待つのじゃーーっ!!」
「ん?」
「どうかしたの?」
「それ!!妾がやりたいのじゃ!!妾がやってみたいのじゃーーっ!!」
「あー…」
いつも通りの駄々だった。
「これ、コツとかいるの?」
アイラが尋ねてくる。
「いや、ただ魔力を送るだけだったはず、だけど…」
「送るだけ、か…。ならやらしてあげたら?やらさないとうるさそうだし、それにあとこれ、結構魔力いるんでしょ?」
「えっ?あー…」
最近は全くといってその影も形もなかったが、さすがは一流の魔法使い。
そう、確かにこの家の魔道具には、聞く話ではかなりの魔力がいるらしい。
で、別に魔法使いでも何でもない俺の魔力量はそこまで多くない。
なら一線でばかすかと魔法を使っていたアイラ…や、その敵で同じように魔法を放っていた魔王の方がおそらくは魔力が多く、それんら二人にさせる方が確かに良い。
「だな。確かにその方が…」
「これ、魔力がいるのじゃ?すっごく魔力がいるのじゃ?」
「ええ。たぶんそう…
「ならじゃ、妾に任せるのじゃ!!妾に任せるのが一番いいのじゃ!!」
魔王は胸を張って、小さな拳で自分の胸を叩く。
そしてさらに自信満々といった感じで…
「なんたって妾は魔王なのじゃ!!すんごい魔王なのじゃ!!誰よりも…、おなご!!お主のようなしょっぼい魔法使いよりも妾はすごいのじゃ、すごかったのじゃ!!だからじゃっ、妾に任せるのじゃっ!!任せたらいいのじゃ!!むふーっ!!」
魔王は胸を張ったまま腰に手を当て、エッヘンてな感じの自信満々なポーズで、アイラに向かってそう言い放つ。
するとやっぱり、言われたアイラの顔が一瞬で恐ろしいモノへと変容していった。
まずい…!!
「どーどー。アイラ、どーどー…」
「どーどーって何!?私別に、馬じゃないんだけどっ!!」
「いや、まぁ、落ち着けって…」
「落ち着いてるわよ!!」
アイラがそう強く言い放ってくる。
「いや、それで落ち着いてる…は無理が…
「私が落ち着いてるっていったら落ち着いてるのよ!!」
すさまじい勢いだった…
「なー、なーじゃ…」
急に袖が引っ張られる。
引っ張てきたのはもちろん魔王だ。
「お主…。なんでおなご、あんな怒ってるのじゃ?なんでなんじゃ?」
「はっ…?お前まじかっ!?」
「なっ…!!」
魔王の言葉に、驚きしか出てこなかった。
「まじ…?何がまじなのじゃ?」
頭が、痛かった…
脳から言葉が出てこない俺。
するとアイラから荒々しい声が聞こえてくる。
「あっ、アンタが、余計な一言を一々言ってくるからでしょ!!」
「余計…?妾、そんなことは言ってないのじゃ!!本当なことしか言ってないのじゃ!!」
「なっ…!!むきーーっ!!何こいつ…!!めちゃくちゃむかつくんだけど…!!」
「むかついてたらいいのじゃ!!妾、本当のことしか言ってないのじゃ!!そうなのじゃ!!」
「あーもう怒った…!!ほんと…
マズい…
いや、もうすでにマズいけど…
「アイラ落ち着けって…」
「こんな言われて落ち着く…?無理。ぜーったい無理!!落ち着ついてなんかいられないわよ!!」
目が怒りで迸っている。
「いやさ、子供言うことなんだから…。だからさ、多めに見てやれよ…」
「子供…。子供…」
「そ、子供。子供だよ。」
「子供…。そっか。そうだったわよね。ふー。」
一応は理性が戻ってきてくれたのか、落ち着くためにアイラが胸へと溜まっていた空気を入れ替えていく。
そこへ…
「なー、なーじゃ…。なーじゃ、お主…」
下から声が聞こえてきた。
「もしかしてじゃ、もしかしてその子供というのは、この…
なんというか、もう一波乱来そうな予感が俺の頭の中をよぎる。
具体的に言うと、魔王の言葉の後にアイラが「アンタのことでしょ!」的なことを言う未来が…
そしてそのアイラの言葉にに対して、魔王が無駄にヒートアップしていく未来が…
そしてそしてさらに、また二人が口論を始めて行く未来が…
「なー、モーア。」
「なんじゃ!!今妾がっ…
魔王が何か言いかけようとしてくるが、俺は気にせず言葉を進めていく。
「あれ、やるんだろ?」
俺は、今もゴブリンたちが退屈そうに広げているシートを指さす。
魔王も俺の誘導に釣られて、指さした方へと視線を向けた。
「そうじゃ、が…」
「ならさ、先に魔力の準備してろよ。」
いるかは知らないけど…
「なんでじゃ!!そんなことをせずとも、妾は余裕で…
「でもさ、もし失敗すると…ダサいぞ?」
「ださい…?」
魔王が目をぱちぱちとし始める。
「そ。ダサい。あの魔王が…。あのすごいれ、レディ…?である魔王が、こんなの失敗するとか、めちゃくちゃダサいぞ?」
「ダサい…。レディ…。でもじゃ!この妾がっ…
「いやさ、調子の悪い日だってあるかもしれないだろ?」
「そんなもの、妾には…!!…
「いや、あるんだよ。誰にでも、調子が悪い日が…。だからさ、そこで…」
俺は魔力を込める四角い枠を指さす。
「…そこに座って、少しの間、息整えてろよ。」
「ぬぅぅ…!!そんなものしなくても、妾は…
まだか…
しぶとい…
マジでしぶとい…!!
「いやそれにさ、あのレディ(?)である魔王がさ、座って息を整えてる姿、想像してみろよ?」
「なんでじゃ!!」
「いいからさ…。目をつぶってみ?」
「なっ…
「いいから…」
「ぬぅ…!!」
魔王が渋々と目をつむった。
「で、思わないか?」
「何をじゃ!」
「あのレディな魔王がレディっぽくしてる姿…。それが絵になると…」
「絵になる…」
「そ。絵になる…」
目をつむったまま、俺に続けてそう呟く魔王…
そんな魔王は数拍した後に目を開き、キラキラとした目を向けてきた。
「なる…!!すごくなる!!かっこいいのじゃっ!!」
「だろ?そうだろ?だから少し…。いやしばらくの間、大人…間違えた。かっこよく、そこで座って息整えてろよ。」
「分かった…!!うん、分かったのじゃっ!!」
ルンルンと魔王は俺から離れていき、シートの上へと座る。
そしてピーン!!っと、背筋を伸ばす。
だけど分かりやすく、魔王の身体はルンルンに横へ揺れていた…
「はー、長かった…」
「ふふ…。ほんとね。長かったわね。」
「他人事だなー。で、どうですか?アイラ様。落ち着きましたか?」
「何その言い方!むかつんくだけど…!!」
「あら、短気ですこと…!!」
「はっ?うざ…!!」
アイラは顔をしかめて、鬱陶しそうに見つめてくる。
「アイラさん、うざ…なんてはしたない言葉、使ってはいけませんことよ?」
「いや誰っ!!ていうかアンタさっきから、誰目線で話してるのよ!!わけわかんないんだけど…!!」
誰って…
「メイドさんに…、なんちゃってお嬢様。あとは、お母様かな?」
「いや多い!ていうか、コロコロ変わり過ぎでしょ!!」
「そんなことないんだからね!!」
「誰!次は誰!!」
「えっ?アイ…
「コロスゾ…!!」
早かった…
そして、声がおぞましかった…
「ははっ…。冗談…。ほんと冗談だって…」
「冗談ってねー。はー。」
アイラは大きく息を吐きだした。
まぁでも、魔王でのイライラは…
「落ち着きはしたみだいだな。」
「そうね。落ち着いたわね。今は別のことでイライラしてるけど…!!」
「別のこと…。はて、何の…イテッ…!!痛い痛い…!!」
またアイラが頬をつねってきた。
「あのアイラさん、痛いんですけど…」
「知ってるわよ。知っててやってるっていうか…。そうなるようにやってるんだから。」
「そうなるって…。ひどい…!!暴力…痛っ!!」
強くつねってきた。
「何かな?何を言おうとしたのかな?このおバカなお口は。」
アイラが笑顔で聞いてくる。
でもこれ、内心は絶対に笑顔じゃないやつ…
「な、何って…。暴力おん…痛い!痛いって…!!」
「誰が暴力女よ!!だ れ が!!」
「貴方様です。」
「言うな!!というか私、別に暴力とかふるわないんだけど…!!」
「アイラさん見て。今あなたの右手見て!!今何をしてるか見て!!」
今まさに見て欲しかった…
「なー…
「見たわよ?で何?」
白々しいというか、自分が今まさにしてることを意にも留めてなかった。
「いや、貴方様の右手…!その手が今何してるか見て!!ちゃんと見て!!」
「見たわよ?で、アンタの頬をつねってるわね。で何?」
「で何って…。いや、さっき自分が言った言葉思い出して…。暴力しないとか言ってた自分の言葉思い出して…!!」
「なー…
「思い出したわよ。だから何?」
「はっ…!?」
思い出したのに…!?
「暴力しないって…。でもこれ、どう考えても暴り…
「暴力じゃないわ、よっ!!」
語尾をと同時につねってきた。
「痛っ…!!ッ~!!これ、どっからどう見ても…」
「なーじ…
「暴力じゃないの。これはね、おしおきっていうの。分かる?」
「いや、結果的にはいっ…
「ちがいますぅ。暴力じゃありませ~ん。」
「いや、いっ…痛ッ…!!」
またつねってきた。
「お主ら、なー…
「これ以上言ったら、またつねるからね?」
「またって言うか…。今まさにつねられて…ッ!!」
つねるではなく、今度は掴んでた指で頬をグイっと上げてきた。
「ま た よ、また。余計なこと言ったらまたするわよって意味よ。」
「横…
「分かった?」
目…
というか、顔が獰猛だった。
「…はい。」
「よろしい。」
そう言葉にした後、アイラはよくやく頬から指を話してくれた。
「っ~。」
俺は頬をさする。
意味、あるかな?
あればいいな…
とりあえずさすり続ける。
そんな中、アイラがさらに言葉をかけてくる。
「これに懲りて、少しは余計なことを言わないようにしなさいよね。」
「懲りてというか、懲らされたというか…」
「おーっと、その口はまだいうのね。いい度胸だわ。じゃー二回戦、行って…
「お主らーーーーっ!!!!!」
急に魔王が怒鳴り声を上げてきた。
「えっ、何?」
「どうした?」
「何とかどうしたじゃないのじゃ!!お主ら、妾を無視すんなじゃ!!すんなじゃーー!!」
「無視…?」
「えっと…、何のこと…?」
「さー…」
俺たちには皆目見当がつかなかった。
「妾がずっと話しかけてたのじゃ!!なのにじゃ、お主らはずーっと、妾のことを無視してじゃ!!…するのじゃ…。いい加減にするのじゃーーー!!」
話しかけて…
「あーいや、すまん。聞こえてなかったわ。」
「そ。ほんと、聞こえてなかっただけなの。無視しようとかそんなんじゃなくてね…」
俺たちは弁明する。
でも魔王はそんなので納得できなかったみたいで…
「聞こえてなかった…。妾は何度も話しかけたのじゃ…。それなのにじゃ、お主らは…
「まぁまぁ。で、何の用だったんだ?」
「何の…。そうじゃ!!お主、妾をどれだけ待たせる気なのじゃ!!」
「待たせる…?」
「そうじゃ!!お主が絵になるとか言って、妾はずっと待っていたのじゃ!!なのにじゃ…。なのじゃ!!」
絵になる…
絵に…
「あー!!」
思い出した。
確か、魔王を黙らすためにそんなこと言ったけ。
忘れてたわ。
「あーっとはなんじゃ!!あーとはっ!!」
「いや、すごく良かったぞ。かっこよかったぞ。絵になってたぞ。」
「そ、そうなのじゃ!?」
チョロい魔王は、急に目をキラキラとさせ始めた。
「そ。ほんとほんと。」
「ほん…。ぬふーっ!!まぁ、当然なのじゃ!!妾は魔王!だから、当然なのじゃ!!」
いつものように魔王は胸を張って、えっへんをした。
「ねぇ。」
アイラからだ。
「ん?」
「アンタ、魔王が座ってたとこ、本当に見てたの?」
魔王に聞こえないよう、アイラは小さくそう尋ねてきた。
それに対する俺の反応はというと…
笑顔で…
「ん?」
これだった。
「ひどっ…!!」
「ん?何のことだ?」
「いや…」
そこでアイラも言葉を止めた。
というか、そもそもどうして魔王の絵になる姿を見れなかったかと言うと、どう考えてもアイラのせいなんだよな。
まぁ、見る気があったかどうかは別として…
「でじゃお主!!」
「どうした?」
「そろそろ家をしたいのじゃ!!早くしたいのじゃ!!」
「あー、だな。するか。」
「おう、なのじゃ!」
ということで、俺たちは三人揃って魔道具の前に立つ。
もう少し具体的に言うと、魔王が先頭で魔道具の前にしゃがみ込み、俺とアイラがその横で様子を覗き見るといった形だ。
「よし、いくのじゃ…。いくのじゃ…!!」
そう言う魔王の様子を、俺たちは黙って見守る。
それに魔王が気づいているのかは分からないが、魔王は魔力を込める枠の上に手を置き、魔力を籠め始めた。
魔王本来の魔力が関係してか、紫色に輝く右手。
その右手からまるで水の流れのよう、魔王から魔道具へと魔力が流れていく。
「おぉ…。お〜なのじゃ!!魔力がめっちゃ吸われるのじゃ!!」
魔王の発言通り、魔王から流れていく魔力に止まる様子は見られない。
そして魔王が魔力を籠め始めると同時に、魔王が置いた手のすぐ上にゲージが現れ、どんどんとMaxへと近づいく。
さっきの話通りだ。
でもそれよりも俺たちの目を奪っているのは、シートの上に描かれた魔法陣だった。
元々シートの上には家の見取り図を示したものが描かれていたが、魔王が魔力を籠め始めると、ゲージが現れると同時に魔法陣も姿を現した。
魔王の紫色の魔力とは違う、黄色く光る模様。
その模様はすごく…
「すごい!!なんかすごいのじゃ!!」
ということが言いたいのではなく…
「きれいね…」
「だな…」
アイラがこぼしたこの言葉を、俺も思った。
チラッとゲージを見てみると、もう少しで半分といった感じだった。
そして半分へと差し掛かろうとした瞬間、異変が起こる。
「おぉ~~!!」
「わ~。」
「すげ…」
魔法陣はシートに溶け込むように消え、そう思ったら新しく家の見取り図の線が光り出した。
そしてすぐ線上をなぞるかのよう灰色の土…コンクリートのようなものが現れ、それが上へとせり上がていく。
横壁のような形をなぞっていき、何か所か四角い枠を残して横壁の形になった…と思ったら、空いた枠にガラスの窓が現れてくる。
もにゅもちゅとそれはきれいな窓に形どっていき、それに目を取られている間で、気づくと二階部分もおおよその形が完成してしまっていた。
あとほんのもう少し…、
そのタイミングで…
「おなご!!妾ももっと見たい!変わって欲しいのじゃ!!」
「え…、あっ、うん…」
そんな会話も聞こえてきたが、ほんの些細なことだろう。
俺に関係ないみたいだし…
ということで最後…
二階の上の屋根が完成してようやく、俺たちの家が完成した。
先の展開、一応考えてはいたのですが、
申し訳ないてすが、ここで終了とさせていただきます
見続けてくれた皆さん、ここまでありがとうございました
また少ししたら何かしら投稿していくつもりなので、その際には応援してくれると幸いです




