むくれる
俺たちは今、シートの形をした茶色の魔道具を広げたところだった。
広さで言うとどれくらいだろうか。
奥行が15の、横幅が20メートルくらい…?
今はシートのすぐそばに立っているが、かなり広い。
上で、キャッチボールとかが余裕でできるくらい…
日本のもので言うならおそらくはだけど、テニスコートがこれくらいの大きさだったような気がする。
その大きなシートを、俺とアイラ、そしてゴブリンたちの力も借りて、地面へきれいに引くことができた。
始めは俺とアイラの二人だけでやっていたが、さすがにこれだけ大きいものを二人だけで広げるのは難しい。
どうしても、浮いたりよれたりしてしまう。
そこでだ、やることもなくただ暇そうにしていたゴブリンたちにも手伝ってもらって、ちょっとした苦労だけで今しがた広げ終えたというわけだ。
ほんと、ゴブリンたちがいてくれて助かった。
ゴブリンたち、がだ。
今いじけている、こいつらの主人とは違って…
シートからほんの少し離れた場所、そこで…
カッ、カッと…
少し甲高い、蹴られた石が何かに当たって跳ね返る音が聞こえてくる。
そこで魔王は独り、黙々と小さく石を蹴っていた。
むくれながら…
「アイツ、いつまで拗ねてる気なのかしら…」
隣のアイラがそうこぼす。
石を蹴り始めてから、かれこれ15分…
下手したら、もっと長くかもしれない。
「ははっ…、ほんとな。アイラがいじめるから…」
「いじめてないわよ!!ただちょっと…、ほんのちょっとだけ揶揄っただけじゃない…!!」
「でも人によっては、からかいがいじめに感じる人も…」
「うっさいわね!!アンタだって似たような…、ていうか、日頃の扱いだったら、アンタの方がひどいじゃない!!」
「知らないなー。俺は、今の話をしてるから…」
「うわ、何その言い方。うざっ!!」
うざいと言われてしまった…
「あー、痛い。心が痛い。アイラにいじめられて心が痛い。俺もあそのこのバカと一緒に、拗ねて石でも蹴ってこようかなー。」
「ほら今、アイツのことバカって言ったじゃない!!絶対に、私よりアンタの方がアイツの扱いひどいわよ!!」
「そんなことないんだけどなー。俺はただ、バカをバカ扱いしてるだけで…」
「それがひどいのよ!!」
「えっ!?」
「えっ…じゃないわよ!!あーもういいから、あの拗ねたの、いい加減どうにかしてきなさいよ!」
「どうにかなー。」
「ほら早く!!」
「はー。」
俺は今も石を蹴っている、少し離れた魔王の方へと渋々向かう。
あー…
「めんどくさ…」
「めんどくさい言わない!」
聞こえてしまっていたようだ。
「はいはい。」
「『はい』は一回!」
「は~い。」
「伸ばさない!」
「」
「返事!」
「はいよ。」
「『はい』に"よ"は、それはいいのか、別に…」
魔王へと向かう際中、アイラとそんなくだらないやり取りをしていた。
というか、アイラも後ろを付いてきた。
「いや、ついてくるんかい!!」
「いいでしょ!!別について来たって!」
「いいけど…。でもてっきり、俺一人で行けって意味かと思ったわ。」
俺はそう言う。
だけどアイラからの返事には、少しだけ変な間があった。
振り向く。
アイラは少し気まずそうに視線を彷徨わせていた。
「いやね、最初はそのつもりだったんだけど、押しつけるだけ押しつけて、でも自分は何もしないって…、なんか嫌だなーって思って、だからね…」
なんだろう。
この…
「アイラって、微妙に良い子だよな?」
「何よ、微妙にって!!それ、すごく癇に障るんですけど!!」
「あー、まぁ、気にすんな。」
「気にするわよ!!」
「はははっ…」
「何、笑ってんのよ!!」
「いや別に…?」
「別に…何よ!」
「気にすんなって…」
「気にすんなって…。もー、ほんとアンタってやつは…!!」
魔王の元までの短い時間に、俺たちはそんな会話をしていた。
少し歩いた。
俺たちのほんの数メートル先には、まだいじけて石を蹴っている魔王がいる。
「なー、いつまでいじけてるつもりなんだ?」
俺は魔王に向けてそう言ってみた。
だけど魔王は…
「フンッ!!」
顔を反対へと背け、また小さく石を蹴る。
まだまだ機嫌が悪いらしい。
でもその蹴った石…というか、振った足はというと…
スカッ…
コロコロ…
コツ…
石の上を足が軽くこするだけに終わって、石は足の振りほど前には進まなかった。
「下手っぴ…」
「ぬわっ!?何が、誰が下手っぴじゃ!!妾はうまいのじゃ!!すごくうまいのじゃ!!」
「でも今…な?」
「そうね。」
「ぐぬぬぬ…!!違うのじゃ!今のは違うのじゃ!!」
何が違うというのだろうか…
「いやでも…」
「うっさいんじゃ!!見ておるのじゃ!!今から妾の…。妾の…」
恒例のように、魔王からは言葉が出ない。
アイラが…
「何?」
「妾、の…」
聞いたものの魔王からはまともな言葉が返って来ない。
やっぱり、いつも通り言葉が出てこない、みたいだ。
だから俺もなんとなく聞いてみる。
「なんだ?」
「…、と、とにかくじゃ!!妾が今からすごく蹴るのじゃ!!すっごく蹴るのじゃ!!だからお主らは、そこで黙って見ておるのじゃ!!」
「すごく蹴る、とは…」
「さー?私に…
「うっさいんじゃーー!!黙っておるのじゃ!!しゃべるなじゃーー!!」
「アイラのせいで怒られただろ。」
「えっ!?私?でも先に言ったのはフェデじゃない!!」
「んー?そんなのは憶えてないなー。」
「はー?ほんとアンタってい…
「ぬぬぬ…。うっさいんじゃーーーっ!!言ったのじゃ!!妾、言ったのじゃ!!しゃべるなって!!だからじゃ、お主らは黙っておるのじゃ!!」
「はー。」
「分かったわよ。」
「ふー、分かったならいいのじゃ!!黙るのじゃ!!」
魔王は満足そうな表情を見せた後、また俺たちとは反対側を向く。
その方角に石を蹴るつもりなんだろう。
俺とアイラも少し移動し、魔王の横顔が見える位置についた。
今いるのは麓。
この付近と俺たちがシートを引いたあたりには、森や木がない。
そういう場所を見つけて選んだから。
ただ、ここから少し進んだ場所…
魔王が見つめる10数メートル先には、永遠と続きそうな深い深い森がある。
その森の方を、魔王が真剣な表情で見つめる。
集中…している、のかもしれない。
俺とアイラは、魔王に言われた通り何も言わない。
魔王も集中しているのか、何も言わない。
だから当然、この場がシ~ンとした空気が支配される。
「ぬぬぬ…!!」
突然、魔王の口からそんな音が漏れ出た。
何に対する声かは分からないが、とりあえずは、集中していないみたいだ。
でも俺たちは、そんな魔王を黙って見守り続ける。
何か言ったら、また長くてめんどくさそうだし…
シ~ン…
やっぱり、この音が支配する。
だから魔王から…
「やり…づらい、のじゃ…」
らしい。
でもそれ、お前が言い出したことだからな。
だからそんな魔王の呟きに、俺たちは何も言わなかった。
「ぐぬぬぬ…!!ぬーっ!!あ~もう、うっさいのじゃ!!シーン、シーンでうっさいのじゃ!!!」
何故かキレだした。
というか…
「シーンでうっさいって何だ?」
「ふふ、ほんとね。意味不明よね。」
マジで訳が分からなかった。
そして俺たちがそう交わした瞬間、バッと魔王は振り向いて来て、ニタァとした嫌な笑顔で俺たちを見てきた。
「あー!!今しゃべったのじゃ!!お主らしゃべったのじゃ!!妾がしゃべるなって言ったのにしゃべったのじゃ!!むふーっ!!お主らバカなのじゃ?言葉も分からないバカなのじゃ?」
「なっ…!?何こいつ、すごいむかつくんだけど…!!!」
魔王の煽りの言葉で、アイラがイライラし始める。
怖い顔で睨みつけて、また今にも言い合いを始めそうな勢いだった。
でもこの時の俺は、イライラよりも驚きの衝撃の方が勝っていた。
「こいつに、人を煽れるほどの知能があったとは…!!」
そう俺がこぼした瞬間、アイラがバッと振り向いてくる。
驚いて、すごく大きな瞳だ。
「いやっ、さすがにそれはバカにしすぎでしょ!!」
「いや…な、バカにしたつもりはなくてさ…。ただ本気で驚いただけというか…」
「えっ!?そっちの方がひどくない?バカにしたとかじゃないなら…」
「…、確かに…。確かにそうだな…」
「鬼よね、アンタ…」
その通りだった。
でも、驚いてしまったんだから仕方ない、よな。
「なー、なーじゃ!!」
その当のおバカが話しかけてきた。
「なんだ?」
「ちのう…とはなんじゃ?どういう意味なんじゃ?」
「あー、賢さって意味だけど…」
「かしこさ…?ぬ?つまりは何なんじゃ?」
これで分からない、だと…!?
えっ!?
他に言いようある!?
なくね?
「…、賢いし…
指標と、俺は言いたかった。
でも俺の言葉は、魔王に最後まで聞かれることはなく…
「賢い…。それはつまり、妾が賢いという意味なのじゃ?そうなのじゃ?」
魔王が目をキラキラと輝かせながら言ってくる。
「え、いや、そんなことはない…
「そうなのじゃ?そうなんじゃっ!?まぁでも、それも当然なのじゃ!!妾は賢いのじゃ!!知能なのじゃ!!ぬふふーんっ!!」
魔王は俺たちから離れ、手を上に大きく広げながらクルクルと回り出した。
まるで、喜びの舞いだ。
「な…
「ぬはーーっ!!妾は賢い!!知能なのじゃ!!」
「お…
「妾はレディ!!知能なレディじゃーー!!」
もう、俺の言葉を聞く気配…聞こうという意思は微塵もなさそうだ。
……
「こいつ…、ほんと人の話を聞かない、よな…」
「ほんとね。でどうするの?訂正しとかないとこいつ、ずっと間違ったまま使うわよ?」
「確かに…。それは確かに…。うわ、なんか、めっちゃ頭の痛い会話になりそうなんだけど…!!というか、なってるんだけど!」
「アンタのせいだからね?ちゃんと訂正しときなさいよ?」
「訂正…」
アイラからそう言われてしまう。
だけど目の前の小さな少女はずーっと、一人気持ち悪い舞をしている。
「妾は知能!!知能、なのじゃ!!」
「やばいな。すごく頭悪そう、だわ。」
「でもアンタのせいよ。あれ、ちゃんと直しといてよね!!」
俺は魔王を見る。
大はしゃぎな魔王を見る。
「でも俺、悪く…
「やってよね?」
「なくない…
「やってよね?」
「頑張り…ます…」
最後まで言わしてもくれなかった。
「頼んだわよ。マジで頼んだわよ。」
「善処します。」
魔王を見る。
レディの意味もちゃんと覚えていない魔王を見る。
人の話を聞かない魔王を見る。
「はぁ。いや、無理だろ…」
「本音出てるけど。」
「出るだろ、そりゃ…」
「ふふっ、頑張ってね?」
「ひどいなー。」
アイラにそう言われた後、俺は諦めの表情で魔王を見た。
そしたらすぐ、魔王もはしゃぐのを止めてこっちを見てきた。
「そういえばじゃ、そう言えばなんじゃ。」
「何?」
「次はなんだ?」
「妾思ったのじゃ!!知能な妾は思ったのじゃ!!」
この使い方、やっぱり頭が悪い…
「アンタのせいだからね。だから…」
「…。はい。」
直せよって意味だろう。
分かってますよ。
「はぁ…。でなんだよ…」
「それはなのじゃ、さっきの、すごく気持ちが良かったのじゃ!!すごいすごい気持ち良かったのじゃ!!」
「さっきの…?気持ちが…?ん?」
よく分からなかった。
アイラの方を見る。
「さっきのってなんだ?」
「さー、私にも分かんない…、わ。」
「…、だよな。なー、さっきのってなんのことだ?」
『さっきの』が何を示しているのか分からな過ぎて、魔王に尋ねてみた。
すると、魔王はすぐに嫌そうな表情をしてきてから…
「ぬぅ…。なんで一度で分からないのじゃ!!さっきと言ったらさっきのなのじゃ!!当然なのじゃ!!なんで分かんないのじゃ!!お主ら、頭は大丈夫なのじゃ??」
「はぁ!?」
「はっ!?」
すごくイラっと来た。
すぐにアイラが…
「アンタの言葉、具体的な言葉が抜けすぎて、『さっき』がいつの時のこと指してるのか訳わかんないのよ!!」
「それ!ほんとそれ!」
「ぬぅ…、なんでじゃ!!」
「分かんないからよ!!」
「ぬわっ…!!ぐぬぬ…」
魔王がアイラの方を睨む。
でもすぐ、睨むのを止めた。
「ぬふー、しょうがないのじゃ。妾が知能過ぎるのいけないんじゃ!だから教えてやるのじゃ!!さっきのって言うのはじゃ…。言うのはじゃ…」
魔王からはまたまた、言葉が出てこなかった。
「出てこないなら、また後でもいいぞ?」
少ししたら、この会話自体忘れてそうだし。
「大丈夫じゃ!もう出る、もう出そうなのじゃ!だから待つのじゃ!」
「何が大…
「いいから待つのじゃ!」
「」
どうしたものかとアイラの方も見てみる。
目が合うとすぐ、苦笑いを返された。
これ、待った方がいいのだろうか…
待った方がいいのだろうか…!!
「そうじゃ!そうなのじゃ!!」
珍しく思いついたみたいだ。
「あ、あれなのじゃ!『さっきの』とはじゃ、妾がしゃべるなと言ったのにお主らはしゃべったのじゃ?」
「ん?あぁ、うん…」
「そうね。」
石を蹴るときに、俺たちに静かにしろと言ったときのことだろう…
「それでじゃ、その後でお主らへ妾が言ったやつ、あれが、妾にはすごく気持ちよかったのじゃ!!」
嬉しそうに魔王が言ってくる。
でも…
「あのあと、こいつ…なんて言ったっけ?」
「んー、何だっけ?私も覚えてない、わ。」
「だよなー。んー…」
「お主ら、頭大丈夫…。そうじゃ!!そうなのじゃ!!今の言葉なのじゃ!!」
「今の、言葉…?」
「頭大丈夫、なのじゃ!!」
「「???」」
アイラが…いや俺たちは、頭に?(はてな)を浮かべる。
「なんでじゃ!!なんで分かんないのじゃ!!」
「いや、分かんないわよ!!」
「なんでじゃ!!」
伝わらないことに、魔王が苛立ちを覚えていた。
でもこいつ、ほんとに何が言いたいんだ?
頭大丈夫…
今の言葉…
つまり、『頭大丈夫』は今俺たちをバカにしてるわけじゃなくて、『さっき』を指しているのがっていう意味か?
で、気持ち、良い…?
気持ち良い?
何が?
いや、『頭大丈夫』…がだよな。
ん???
分からん。
なんか頭痛くなってきた…
「分からんないからよ!!」
「なんでじゃ!!」
考えてる俺のそばで、二人は言い合っている。
はぁ…
『さっき』っていつだっけ…
確か、石を蹴るって話の時、か…
石を蹴る、時…
何故かこの時、笑顔の魔王の顔が、俺の頭に浮かんできた。
ニタァとこっちをバカにしてくるかのような、うざいったい笑顔の…
「あー、そういうこと…」
「ん?どうかしたの?」
アイラが尋ねてくる。
「いや、ようやくこいつが言いたかったことが分かったんだよ。」
「えっ!?分かったの!?あれで!?」
「まぁ、うん、あれで…。たぶんだけどさ…」
「すごっ…」
「ははっ…。だろ?」
「そういうのはいいから、早く進めて?」
「あっ、はい。こいつさ、さっき俺たちを煽れたのが楽しかったんだよ。」
「うわっ…!!」
俺の言葉を聞いた瞬間、魔王の顔をアイラはしかめた顔で見る。
そしてこの瞬間、タイミングよく魔王から…
「お主ら、二人だけでしゃべるなじゃ!!まだ妾の話が終わってなかったのじゃ!!先に、妾の話からなのじゃ!!」
「お前の話、ちゃんとしてたって…」
「そうなのじゃ?」
「そうよ!」
「な。で、あれだろ?お前、さっき俺たちを煽れたのが楽しかったんだろ?」
言ってて気分が悪かった…
「ぬ…!!あおれた…!あおれたとはどういう意味なのじゃ!!」
「あー、煽る、かな。」
「そうなのじゃ?あおる、あおるとはどういう意味なのじゃ?」
何ていうのかなー。
「挑発…で通じるか?」
「ちょうはつ…なのじゃ?」
「だよな。通じないよな。通じるわけないよな。俺がバカだったわ。」
「そんなの妾は知ってるのじゃ!!」
「はっ?」
「それよりもじゃ、あおるとは何なのじゃ!!知能な妾にも分かるよう、早く教えるのじゃ!!」
も~、なんだろうな、こいつ…
「はぁ…」
言葉で教えるのって、こんなにも難しいものだったのか…
「魔王のば〜か。」
「ぬぁっ!?また言ったのじゃ!!妾のこと、また…
「これが煽るだよ。」
「バカ、と…。のじゃ?」
魔王の反論する勢いは止まり、首を傾けてくる。
「どういうことなのじゃ?」
「からかう、は分かるよな?」
「わ、分かるのじゃ…」
ほんとか…?
「まぁいいや。煽るっていうのはな、からかったりして、相手が怒ったりするのを見て楽しむことだよ。」
「からかったり…、怒るの、楽しむ…。楽しむ…!!なるほどなのじゃっ!!楽しむ。だからさっき、妾は気持ちよかったのじゃ!!そうなのじゃ!!なるほどなのじゃ!!」
魔王が一人、嬉しそうに舞い上がり始めた。
「からかう、からかうなのじゃ!!からかう…は気持ちよいのじゃ!!」
でもなんだろう。
この不穏が感じ取れるような喜び方…に言い文句…
すごく、嫌な感じだ。
すごくすごく嫌な感じだ。
ようやく、どこぞのバカの言葉を解読できたのに…
やっとのこと言葉の説明ができたのに…
なのに、全くといって達成感が感じれない。
元々バカみたいな…ほんとくだらない難問だったが、解けたはずなのに嫌な胸騒ぎしかしてこない…
もうなんか、魔王の中の『賢い=知能』なんてどうでもよくなってしまいそうなほど…
「ねぇ、フェデ…」
「ん?」
「私、嫌な予感がするんだけど…」
「ワー、奇遇だな。それ、俺もだよ…」
「そっか…」
「そ…」
悲しい会話だった。
「でじゃ!!」
まだ、あるのか…
「次は何よ…」
「…」
俺もアイラももううんざり気味だ。
でもその一方で、魔王の目はキラキラとしている。
「からかう…とは何なのじゃ?」
ガタッ…
「もう知るかーーーーーーーっ!!!」
この時の俺は、そう叫ばずにいられなかった…
そして横にいたアイラは…
「私、もう疲れた…」
という、言葉をこぼしていた。
ほんの…
ほんのちょとだけ延長戦を。
「嫌じゃ!!妾知りたいのじゃ!!また、気持ちよくなりたいのじゃ!!」
「嫌よ!!少しは自分で勉強したりしなさいよ!!」
まさにその通りだった…
だけど…
「嫌じゃ!!めんどくさいのじゃ!!だから早く、早く妾に教えるのじゃ~~。」
「嫌!!!」
「嫌じゃ!!早く~。早くなのじゃ~~!!!」
アイラの反撃もむなしく、俺たちは結局『からかう』の意味を教えることになりましたとさ。
「でじゃ、そのからかうとはどうやる…」
これならもう、むくれてた方が良かった…




