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15時といえば

今回のはやりすぎたかも

あと長め

 さて、今の時間はというと…


 お昼を食べたのがお昼ごろ。

 食べ終わって30分くらいは食休みを。

 そしてそこから木を切る作業を2時間。

 つまり今は15時ごろ。

 15時と言えば…


 「よしじゃー、おやつにするか。」

 「えっ!おやつ!?いいわね!!」

 

 アイラから嬉しそうな声が飛び出てくる。

 そして今回の主役…というか、メインターゲットである魔王からもすぐに反応が飛んできた。


 「おや、つ…?おやつとはあの、おやつなのじゃっ!?」


 おやつという言葉に、魔王は目を輝かせてきた。

 

 「そのおやつだな。他に、どのおやつがあるかは知らないけど…」

 「おーっ、おーっ!、お、おやつなのじゃ!!あの、おやつなのじゃ!!ついに妾も、あのおやつを食べれるのじゃ!!」


 魔王が舞い上がっている。

 しかも、飛び跳ねながら…

 これは、かなり良い食いつきだ。

 それにちょっとニヤニヤしてしまう。

 だってこの後…


 ただ、ちょっと疑問なこともある。


 「なぁ…」

 「おや…んじゃ?」

 「聞きたいんだけどさ、この前、おやつ、食べたよな?」


 確か、フランクフルトだっただろうか。

 

 食べたい食べたいとごねて来て。

 食べさせないと働かないとか言って来て。

 そして食べさせたのに、結局何もしなかったあの日。

 

 かなりイラっと来たからちゃんと覚えてる。

 時間も昼過ぎを回っていたから、ちゃんとあれはおやつに入るはずだ。


 そのはずなのに、魔王はというと…


 「んじゃ?妾、食べてないのじゃ。おやつなど、生まれてから一回も、食べたことがないのじゃ。」

 「はっ…!?」

 「えっ…?おやつ、食べたことないの?」

 

 『いや、この前食べただろ。』そう言いたかったけど、アイラの方が早かった。

 

 「食べたことないのじゃ。」

 「そう、なんだ…」

 「そうなのじゃ。妾たちのとこには、そういうレデイなものがなかったのじゃ。」


 妾はたちのとこ…

 きっと、今はなき魔王軍の話だろう。

 それは分かる。

 ただそれよりも…

 

 「「レデイなもの…?」」


 何それ…

 

 「そう、レデイなものじゃ。でも、お主たち人間たちのとこで人気なものは、妾はたちの…


 待て待て待て。

 レデイなものって何?

 俺、始めてそんな使われ方聞いたんだけど…


 なのにあいつは当たり前に使ってる。

 でも普通、流行るとか、そういう言い方しない?

 

 隣のアイラを見てみる。

 するとアイラもこっちを見てきていて、すぐに目が合った。

 そして合うと、アイラはすぐに頭を横に振ってきた。

 苦笑いというか、微妙な表情もセットで…


 魔王が何言ってるか、アイラも知らない分からないという意味だろう。

 というか、その意味しかないだろう。


 (だよな…)


 俺も半端な頷きを、きっとアイラと同じような表情とセットで返した。


 ただ俺たちのそんなやり取りには気づいていないのか、それとも自分の世界に入ってしまっているのか、魔王の楽し気な声は続く。


 「…とこにはなかったのじゃ。だけどじゃ、たま~に話に出てたのじゃ。レデイなものが!!それをきくとじゃ、もうもうもうっ、食べてみたくてしかたなかったのじゃ!!!」

 「そう、か…」

 「そうなのじゃ!!」


 ハスハスと、魔王の鼻息は荒かった。


 「えっとさ…、レデイなものって、何…?」

 「のじゃっ!?そんなのも知らないのじゃ!?」

 「えっと、うん。」


 だって、どうやら俺の知ってるレディと違うみたいだし…

 

 「はぁ…、これじゃからお主はレディじゃないのじゃ。」

 「んっ!?」

 「はぁ~…」

 「あ゛ぁ!?」


 うざったく、また魔王がため息をついてきた。

 それに一瞬イラっとした。

 

 だけど落ち着け。

 相手は子供…

 相手は『レディ』って言葉の意味も理解できてない子供なんだ。

 落ち着け。

 落ち着くんだ、俺…


 「フー…」


 落ち着くために息を吐く。

 すると、すぐに落ち着いた。

 そんなとき、アイラの声が聞こえてきた。


 「ねぇアンタ、レディの意味、ちゃんと分かってるの?」


 魔王に向けてだろう。

 ただこのやりとり、前にもしたような気が…


 「のじゃ?そんなの、ちゃんとわかっておるのじゃ!」

 「ならどういう意味?」

 「それはなのじゃ…」


 えっと、どうだったっけ…

 確か…


 俺は思い出す。

 そしたら思い出した。

 頭の痛かった映像を…


 「レディとはレディなのじゃ!!」

 「ん…?ん!?え、どういう意味!?」

 「だからじゃ!レディとはレディのことなのじゃ!!」

 「ん?ん!?」


 どうやらアイラは理解できなかったみたいだ。

 奇遇だな、俺もだよ。

 前も今も…


 「えっ…、えっと…」


 アイラからは、もう少し粘る雰囲気が感じ取れた。


 「アイラ、諦めろ。」

 「え、あっ、そう、よね…。そうわよね。」

 「そ。」

 

 「おい、お主!!諦めろはなんじゃ!!諦めろとは!!それではまるで…

 「あーそれよりも、今はおやつだろ?」

 「あっ、そうなのじゃ!!今はおやつ、おやつなのじゃ!!」

 

 「単純で助かる…」


 俺は小さく呟いた。


 「ん?何か言ったのじゃ?」

 「いや、別に何も…」

 「そうなのじゃ…。まぁいいのじゃ。今はそんなことよりもおやつ、おやつなのじゃ!!」

 

 魔王は舞い上がっている。

 でも先に、ちょっとした準備的なことをしないといけない。 

 

 「一号~。」


 俺は手招きしながら、一号を呼ぶ。

 すると不思議そうな顔をしながらも、一号はすぐにやってきてくれた。


 「ぐぎゃ?」

 

 いきなり呼ばれた一号は、コテッと首を横に倒し…

 そして俺のこの行動が理解できなかった二人は、一斉に疑問を投げかけてきた。


 「ん?おやつじゃないの?」

 「そうじゃそうじゃ。おやつじゃないのじゃ?!!」


 「おやつも食べるけど…。まぁ、ちょっと待てって…」


 「え、えぇ…」

 「しょうがないのじゃ!!だから早くするのじゃ!!」


 「お、おう…」


 めっちゃ、上から目線だった。

 まぁいいか。

 だってこの後…


 想像すると、笑みが外にこぼれてしまいそうだった。

 

 我慢しながらも、俺はアイテムボックスを開く。

 そしてその中に腕を突っ込み、いつもの…

 そう、フランクフルトを取り出した。


 「それは!フランバーグ!!!」

 「ん?フランバーグ…?」

 「そう、フランバーグなのじゃ!!ハッ…、お主、そんなことも知らないのじゃ?」


 魔王は鼻で笑い、ニヤッとしながらアイラを見る。


 「知らないわよ!そんなものっっ!!」

 「ハッ…、これだから、お主はレディじゃないのじゃ。」

 「なっ…!!」


 長くなりそうだった。

 だから先に、用事を済ませようと思う。


 「何よ、バカっ!!!」

 「ぬぁっー!!バカって言ったのじゃ!!妾のこと、バカって言ったのじゃ!!!」


 横でこんな騒がしいやり取りが繰り広げられているが、俺は我関せずで、すぐそこにいる一号を手招きする。


 「一号〜。」

 「ぐ、ぐぎゃ…。ぐぎゃぐきゃ…」


 アホ二人のやり取りに、どうやら1号は困惑しているみたいだった。


 「いいから。」

 「ぐ、ぎゃ…」


 一号がそばまでやってきた。

 そんな一号に、俺はフランクフルトを差し出した。


 「食いたいか?」

 「ぐぎゃっ!?ぐぎゃぐぎゃ…?」


 『えっ、いいんですか?』だな…


 「いいぞ。」

 「ぐ…」


 一号は嬉しそうに目を輝かせた。

 

 「ただしっ!!」

 「ぐぎゃ?」


 一号は顔をしかめてきた。

 俺はそんな一号に小声で、とあるお願い言う。

 そしてそれを聞き終わった一号の反応は、一瞬だけ悩まし気な表情をしたが、すぐ…

 

 「ぐぎゃ。」


 『分かりました。』と、返事をしてきた。

 よし。


 「じゃー食え。」

 「ぐぎゃー!!」


 一号は嬉しそうにフランクフルトへ飛びついた。

 「ぐぎゃぐぎゃ…」と言いながら、一号はむさぼる。


 「フェデ〜…。あっ!!」

 「ん?のじゃっ!!!」


 どうやらこっちに気づいてしまったらしい。


 「なに、先に食べてのよっ!!」

 「そうじゃそうじゃ!!そんなやつよりもじゃ、先に妾におやつを食わせるのじゃ!!!」

 「ぐぎゃ?」


 一号は慌ただしくフランクフルトを飲み込んだ。


 「ははっ…。まぁ、下準備も終わったし、おやつにするか…」

 

 「下準備?」

 「何なのじゃ、それっ!」

 

 「まぁ、後で分かるよ。」


 「え、えぇ、分かったわ。」

 「おうなのじゃ!」


 俺はまたアイテムボックスを開き、中を漁る。

 

 さて、何にしようかな〜。

 ん〜…

 今回はこれかな…?


 ということで、俺はとあるスイーツを二個取り出した。

 

 それは、きれいな小麦色。

 形は球…いや、まん丸のキャベツを小さくしたような、少しだけ球体を歪にしたのような形。

 ただそれは、上と下とで二つに分けられていて…

 その二つの生地の間には、これでもかっと言うほどの黄色いクリームが挟まれていた。

 

 そう、それは…


 「あっ!シュークリーム!!」

 

 アイラからは、子供みたいな可愛らしい声が飛んできた。

 そしてもう一方はというと…


 「シュー…、えー…」

 「シュークリームな。」

 「シュー、ム…なのじゃ?」

 

 こっちも、相変わらず子供みたいだった。

 違う意味で、だけど…


 「まぁ、頑張れ。」


 もう無理かもしれないけど…


 「じゃ―食べるか…」

 「うんっ!!」


 「なぁ…」

 「ん?」

 「それ、おいしいのじゃ?妾には、この前食べたパンのようにしか見えんで、あんまりおいしそうに見えんのじゃ…」


 この前食べた、スープににつける前提の、少し硬めのパンの話か…


 「じゃ―、食べなくてもいんじゃない?」

 「ぬわぁ!?あーいいのじゃ。妾食べないのじゃ!!」


 アイラの少しツンとした言葉に、魔王はむくれてしまった。

 でも後でどうせ…


 「じゃー、食べるか…」

 「そうね。」


 俺はアイラに手渡した。


 「わ~、おいしそ~。」


 アイラの目がキラキラと輝く。

 薄いピンク色の瞳、それが今、宝石のように輝いていた。


 そんな彼女は、口を小さく開ける。

 そして口を開けたまま、手に持ったシュークリームを自分から向かいに行った。


 「はむっ…。~~~~~っ!!!ん~、甘~いっ!!おいしい~っ!!!」


 幸せそうな声が聞こえてきた。

 俺もその声に続く。

 きれいな小麦色のシュークリームを口へと近づけていき頬張る。


 最初パリっと、噛むとサクサクとしたまるでクッキーのような触感。

 それが歯に伝わった後すぐ、優しい口触りのクリームが口の中に広がってきた。

 それは、歯から舌へと…

 そして舌へとクリームが訪れた瞬間、バニラの香りと甘ったるいほどの甘さが、ガツンと脳にまで襲ってきた。


 「甘い。おいしいっ!!!」


 俺は、すぐにもう一口いく。

 それはやっぱり甘くて…

 

 「おいしい…!!」

 「ね!!フェデ、これどこの!?」

 「これな、宿屋から北に少し行ったとこの露店にあったんだよ。」

 「そうなんだ!!今度、行ってみよっ!!」

 「あー、行ってみろ。他にも、なんか違う味あるみたいだったし…」

 「わー!!」


 アイラと会話に華を咲かせる。

 そんなとき、一人の子供がそわそわし始めた。


 「なぁ、お主ら…」


 魔王がちらちらと見てくる。

 

 「ん?」

 「何?」

 「それ、そんなにおいしいのじゃ…?」


 目がシュークリームに行ったり、どこかよそへ離れたりしてる。


 「おいしいわよ。でもアンタ、食べないとか言ってなかった?」

 「だな。」

 「確かに言った、言ったのじゃ。でもじゃ、そんなの知らんのじゃ!!もうどうでもいいのじゃ!!だから!!食べたいのじゃ!!妾、それ、食べたいのじゃ!!」


 やっぱり、いつものように我が儘が始めったらしい。


 「はぁ…。だって…。どうするの?」

 「ん-、食べたいのか?」

 「食べたい!!食べたいのじゃ!!」


 ゴワンゴワンと、魔王が首を縦に振ってくる。


 「そうか~…」

 「そうじゃ!そうなのじゃ!!だから早くくれ、くれなのじゃ!!」


 まるでここに置けと指図するよう、魔王は自分の目の前に手を差し出してきた。


 ふむ…

 

 「よしじゃー、一号。」

 「ぐぎゃ。」

 「のじゃ?」


 一号は、魔王の後ろへと回る。

 そしてそのまま魔王の脇に手を入れて、魔王を羽交い締めにした。


 「のじゃーっ!!なんじゃ!お主、何をするのじゃーっ!!」

 「ぐぎゃぐぎゃ。」


 『ごめんなさい。許してください。』、だな。


 「ぬわぁーーっ、お主、何を言っておるのじゃ!!あーっ!!勇者!!これは、どうゆうことなのじゃ!!!」

 

 魔王が怒鳴りつけてきた。


 「いやさ、昼飯の時、人の服破いて、しかもそれ、俺のせいにしようとしただろ?だから、少しお灸でも据えようと思ってな。」

 「おきゅ…?どういう意味なのじゃ!!!もっと、ちゃんとした言葉でいうのじゃ!!!」

 「あー、すまん。そうだよな。えっと…、お仕置きえでもしようと思ったんだよ。」

 「なんでじゃ!!」

 「なんでって…」

 「だからあれは、妾悪くないのじゃ!!あれは、全部、全部お主が悪いのじゃ!!お主がもっと妾のために動けば、女子おなごの服が破れることもなかったのじゃ!!だから、だから全部お主が悪かったのじゃ!!!なのにじゃ、なんでこんなことするのじゃ!!ひどいのじゃ!!ほんとひどいのじゃ!!」


 ほんとこいつは…


 「それにじゃ!!一号!!なんで、お主はあやつの言うことを聞くのじゃ!!お主は、妾の部下なのじゃ!!なのに…」

 「ぐぎゃ…」


 矛先が変わったみたいだ。


 「それはな…」


 俺はアイテムボックスを開く。

 そしてそこから、フランクフルトを取り出した。


 「んじゃ?フランバーグ…?それがなんなのじゃ!!」

 「いや、フランク…。いやいいか。さっきさ、俺がこれを一号にあげてたのは見たよな?」

 「お、おう…。見たのじゃ…」

 「あれな、俺が合図したら、お前を後ろから押さえると交換であげたんだよ。」

 「のじゃっ…!?」


 びっくりして魔王が目を見開かせた。


 「い、一号…。そうなのじゃ!?」


 魔王は鋭い声と視線を一号へと向ける。

 すると一号はすぐに目を背けた。


 「ぬぬぬ…。お、お主!!」

 

 恨めしそうな声をこぼす。

 ただ一号は何も返事をしなかった。

 そんな中、アイラから少し戸惑いの声が聞こえてきた。


 「この子って…」

 「ん?」

 「魔王のスキルで使役されてるのよね?」

 「あぁ、そうだな。」

 「なのに、フランクフルト一本で魔王を売ったのね。」

 「た、確かに…」


 そうだ。

 言われてみれば確かにそうだ。

 

 「あれじゃね?まだスキルが未熟で、そこまでの拘束力はないとか…」

 「あー、なるほどね。」


 アイラは納得したようだった。

 そしてアイラに聞かれた時、とあることがもう一つ頭に浮かんでしまった。

 それは…


 魔王って、一号からフランクフルト一本分の忠誠心も勝ち取って…

 止めとこ。

 これだけは止めとこ。

 これはさすがに可哀そ過ぎる。


 「ぬわぁーーっ、離すのじゃ!!早く離すのじゃーーっ!!」


 魔王を見てみる。

 すると、必死に抜け出そうと暴れていた。

 でも抜け出せはしなさそうだ。


 ということで…

 俺は魔王の目の前までシュークリームを近づける。


 「おいしそうだろ?」

 

 魔王は暴れるのを止めて、コクンッコクンッと首を縦に振る。


 「食べたいか?」


 コクコク…


 「ふ~ん…」


 顔が勝手ににやけてしまう。

 すると横から…


 「アンタ、ほんと性格悪いわね。」

 「そうか?」

 「そうよ。今、すんごい顔してるわよ?」

 「へー…」


 どんな顔だろうか…

 ただ、あんまし興味ない。

 それに、今はそれよりも…

 

 俺はシュークリームをゆっくりと魔王の口元へ近づける。

 すると、魔王も首だけをシュークリームへと顔を近づけようとしてくる。

 

 15センチ…

 10センチ…


 シュークリームと魔王との距離が近づいていく。


 あと5センチ…

 3センチ…

 あとほんのもう少し…

 そこで俺は、近づけるのを止めた。

 

 魔王も限界まで顔を近づけてるみたいだ。

 顔だけをグッグッと伸ばそうとする。

 だけど、シュークリームまでのほんの少しの距離を埋められない。


 「どうだ?おいしそうだろ?」

 

 コクコク…

 魔王が目を輝かせる。

 そしてクンクンとし出して…

 

 「ふわ~、すごい、いいにおいがするのじゃ!!!」

 「そうか、そうだろ?食べたいだろ?」

 「食べたい!食べたいのじゃ!!」

 「ふ~ん…」


 俺はまた、ゆっくりと、シュークリームを魔王の口へと近づける。

 魔王は口を大きく開ける。

 そして噛みつこうとしてきたその瞬間…

 また、近づけるのを止める。


 「あ゛っ、あ゛っ…」


 魔王が喉が閉まりきった、声になってない声を漏らす。

 だけど、魔王の元にはシュークリームは届くことはない。

 だからその小さい距離を埋めるためか、ベーと、舌を伸ばしだした。


 魔王が必死に舌を伸ばしてる。

 べー、べーと頑張って。


 そんな魔王の顔の前で、俺はシュークリームをぐるぐると円を描くように回す。

 すると、魔王の目…

 次第に顔までが、シュークリームと同じように動きだした。


 おもろ…


 「ば、あ゛やく…」


 焦れてきたらしい。

 しょうがない…


 「あ〜ん…」

 「あ゛〜…」


 魔王の口元へ、シュークリームを近づけていく。

 そしてあとほんの少し、もう少しのとこで…

 ひょいっ…

 俺はシュークリームを自分の口に入れた。


 「のじゃ~~~~~~~~っっっ!!」

 「性格わるっ…」


 横から何か聞こえたが気にしない。

 俺は口の中にあるシュークリームを楽しむ。

 

 「ん~っ!!おいし…」

 「妾の…、妾のが~~っ!!!!お主、何をするのじゃ~~っ!!」

 「おいし…」

 「ぬぬぬ…」

 

 魔王は恨めしい視線を向けてくる。

 だけどすぐ、アイラの手元へと視線を変えた。

 きっと、もう一つのシュークリームを探して…

 でももうそこにも、魔王の欲しかったものはなかった。


 「ぬぅ~…、妾の、妾のシュ…、シュ…」

 「シュークリーム。」

 「シュークームがーーっ!!」

 「おしい!」

 「いや、おしいって!!」


 こうして、ちょっとしたお仕置きは終わりを迎えた。


 結局、魔王にシュークリームをあげたかどうかだって?

 それはな…


 ははっ…

 あげるわけ。




 ここからは、この後のちょっとした出来事を。


 少し前におやつを食べ終え、今は魔王も羽交い締めから開放されている。

 そんな魔王は不思議そうな顔で…


 「でじゃ…、おやつ…、おやつはまだ食べないのじゃ?」

 「えっ…!?」

 「んっ!?」


 こんなやり取りがあった。


 やっぱりこいつ…

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