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4 お兄様はなんだか不思議な方です

キャラ設定むずかしい。

お兄様は私を、執務室のとなりに用意されている

小さな専用サロンの扉へとうながした。

重厚な扉が開くと、そこには柔らかな光が差し込み、

温かみのある部屋が広がっていた。

テーブルの横には既にお茶とケーキと焼き菓子が用意されている。



「レナ、昨日アインに頼んで

特にお前の好きだったお菓子を用意してもらったんだ。

食べられそうか?」

「……ありがとう、お兄様。とってもおいしそう。でも…。」

「......大丈夫。無理に思い出そうとしなくてもいい。」



お兄様の言葉に胸が苦しくなる。

記憶が戻らない焦りと不安が、

私の中で少しずつ大きくなっていくのが分かる。

お兄様は一瞬寂しそうな顔をしたが、

すぐに優しい笑顔に戻り、私の手を軽く握った。

「焦らなくていい。

記憶が戻らなくても、

お前は今のお前だ。

それだけで俺にとっては十分なんだ」

お兄様の言葉は心の奥に響き、

私の不安を少しずつ和らげてくれる。

私はお兄様の言葉に甘えていいのだろうか、

と思いながら、お兄様を見つめる。




「でも……お兄様、

私はもっと自分のことを知りたいんです。

早く記憶を戻したいんです。」

お兄様は少し驚いたように目を見開いたが、

すぐに微笑みながら席に座った。

「昔のことか。そうだな……。

レナは、小さい頃からずっと俺の後をついて回ってたよ。

どこへ行くにも、俺を探してね。

それにレナは努力家でいつもまっすぐだったよ。」

懐かしむようにお兄様はいった。

「お兄様のことを私は大好きだったのね。」

と私が笑いながら言うと

「いや、どうなんだろうな。」

お兄様は微笑んだまま何も言わなかったが、

その目には少しだけ感情が揺れ動いているように見えた。

しかし、その瞬間、ノックの音が部屋に響いた。




「公爵様、お嬢様、失礼いたします」

執事のアインが静かに部屋に入ってきた。

兄は一瞬で表情を引き締めた。

「アイン、どうした?」

「公爵様、申し訳ございませんが、

急ぎの用件がございます。

執務室にお戻りいただけませんでしょうか」

兄は短く息を吐いて立ち上がる。

私の方に一度だけ視線を送ると、優しく微笑んだ。

「レナ、また夜に話そう。仕事を片付けてくる。」




私は軽くうなずいて、お兄様を見送った。

扉が閉まると、部屋は急に静かになり、

少し物寂しい気持ちが広がった。

お兄様が去ると、私は自室に戻るために

立ち上がった。

「アニー、さっきの話聞いてた? 

お兄様ってやっぱり優しい方ね?

お兄様に会えばなにか記憶を取り戻せそうな気がしてきたわ!」

私が嬉しそうに言うと、

アニーは少し驚いたように目を見開き、それから微笑んで答えた。

「確かに、お嬢様には公爵様はとても優しく接しておられますね。でも……」

「でも?」

「公爵様は他の方々には、

普段はとても厳格で厳しい方なのです。

特に仕事場では、眉一つ動かさず、

部下たちからも恐れられています。

公爵様は王宮で騎士団の指導もなさっていますが、

冷血教官と呼ばれていると聞いたこともあります。」

アニーの言葉に驚きを隠せなかった。

あの優しい兄が、他の人たちにはそんなに

冷たい態度を取っているなんて、信じられなかった。

「そうなんだ……。

私にはそんな態度見せないのに?」

アニーは少し困ったような顔をしたが、微笑みながら頷いた。

「そうかもしれませんね。

レナ様は、公爵様にとって特別な存在なのだと思います」

その言葉に、心の中で温かい何かが広がるのを感じた。

あの銀髪の優しい男の人にとって、

私は大切な存在なんだと思うと、自然と微笑んでしまった。




自室に戻り、少しだけ気持ちが軽くなったところで、

椅子に腰掛けて一息つく。

お兄様が他人に対して冷徹で怖がられているという事実は、

まだうまく実感できなかったが、

それでもまたお兄様の新たな一面が知れた、と思うと何故だか少し嬉しくなった。



部屋の中でしばらくの間ぼんやりとしていると、

また扉がノックされた。

入ってきたのは、再び執事のアインだった。

「お嬢様、失礼いたします。

お手紙が届いております」

アインは丁寧に私の前に封筒を差し出す。

美しい筆跡で宛名が書かれており、見ると、

見知らぬ女の子の名前がそこに記されていた。

「友達からの手紙?」

「はい、お嬢様の体調を心配する内容です。

ご友人の皆様もお嬢様のことを大変案じておられます」

手紙を開くと、友人たちが私の健康を気遣い、

元気になったらまた一緒に過ごしたいと書かれていた。

記憶は失っているが、その温かい言葉が心にしみ、私はほっと息をついた。

「そうか……心配してくれてるんだね」

アインは頷き、続けて言った。



「もしお嬢様がよろしければ、

ごく親しいご友人をお招きして、

お茶会を開いてみてはいかがでしょうか。

記憶を取り戻す助けになるかもしれません」

「お茶会……」

思いがけない提案だった。記憶を失ってから、

人と会うことに少し不安を感じていたけれど、

アインの言葉には一理ある。

昔の友人たちと再び触れ合うことで、

何かを思い出すかもしれない。

「……それ、いいかもしれない」

私は頷き、アインに笑みを返した。

「お茶会、開いてみようかな。

記憶を取り戻すためにも、

やってみる価値はあるよね」

アインは微笑み、深々と頭を下げた。

「かしこまりました。

それでは準備を進めさせていただきます」



アインが部屋を出ていった後、

私は友人たちと過ごした思い出が蘇ることを期待しながら、

会える日を楽しみに思い描いた。





校正してますがなんだかまだ文章書き慣れていない感じとキザな雰囲気がちょっとなあ

と自分で感じますw

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