31 いろんな思惑が行き交う日でしたわ(複数視点)
やがて、お茶会はお開きとなり、皆が帰る準備を始めたが、ミーナ様だけが「私はお兄様を待つわ」と言い、サロンで私と2人きりになることになった。
ミーナ様は静かに微笑み、私に向かって言った。
「本当にレナちゃんと話せて嬉しかったわ。このまま友達になってもらえるかしら?」
「もちろん」
と私は笑顔で応じた。
勝手に敵対心を抱いていたことを恥ずかしく思うほどにミーナは面白くていいひとだった。
今日仲良くなれてよかったと
心から思った。
すると、ミーナ様は少しいたずらっ子のような顔をして、私に近づいてきた。
「レナちゃん、私とヴィンセント様が話してたのを気にしてたわよね?」
ドキッとしたが、私は正直に答えた。
「妹としては……気になりましたわ」
ミーナ様はふふっと笑い、
周りに誰もいないことを確認すると、
私の耳元で囁いた。
「私はねラファエルが好きだったの。
だからあなたを応援しているわ。
ちゃんと気持ちを伝えてね。」
私は驚いてミーナ様の顔を見つめたが、その時、大階段からお兄様とラファエル様が降りてきた。
「おーミーナ。すまないな、待たせて」
とラファエル様が声をかける。
「もう遅いですわ、お兄様」
とミーナ様が答えた。
私は2人を見て驚いていたが、
お兄様が私に気づいて尋ねてきた。
「どうした、レナ?」
私は慌てて平静を装い、答えた。
「なんでもございませんわ。」
その後、ローゼウス兄妹をお見送りし、お茶会は無事に終了した。
お兄様が少し疲れた様子でいたので、私は気になって尋ねた。
「お兄様、ラファエル様と何かありました?」
お兄様は口に手を当て
少し顔を逸らしながら答えた。
「い、いや……なんでもない。」
「そうですの……?」
と私は首をかしげたが、
特に喧嘩をしたような雰囲気でもなかった。
お茶会でのことをお兄様に少し話しながら、
お兄様は執務室に、私は自室に戻った。
「ニーナ様がラファエル様を……
私だけじゃないのかあ」
と、ソファに腰掛けてため息をついた。
「私は……私は頑張らないと。」
そう思い立ち、アニーを呼び、今日のお茶会で得た告白のアイディアの相談を始めた。
ーーーーー
ローゼウス兄妹馬車の中。
「おまえはどうなんだ最近、
王子とは」
とお兄様がぶっきらぼうにたずねてくる。
「どうともないですわ。」
と私は適当に相槌する。
お兄様にあけすけと関係を話すほど、私はまだ自分の気持ちに整理をつけられていない。
「どうともないことは……
まあ聞いてもしょうがないか。」
お兄様は諦めたようだった。
少しの沈黙のあと
「何かあれば……俺が助けに行くから」
私はその不器用な優しさにおもわずふふッと笑ってしまう。
「なんだ、笑うことはないだろ。」
とお兄様は少し拗ねる。
「いえいえ、頼りにしてますわ。」
と私は本心をいう。
「ちゃんと食べてるのか?痩せたんじゃないか?」
「そんなことありませんわ。
王宮のご飯はすばらしいものばかりですから。」
「そうか……」
「お兄様はどうなのですか?
この前も女性と歩いているのを見かけましたよ?」
「いやあれは……ただついてきただけだ」
というので面白くて笑ってしまった。
「本当だ。」
と、心外だというふうにお兄様はいう。
「まあ、お兄様、意外と奥手ですもんね。」
「余計なお世話だ。」
と照れてる顔を隠す。
レナちゃんのおかげで、久々に兄妹2人きりの時間ができた。レナちゃんに感謝しないとーーー
と微笑むミーナであった。
ーーーー
ラファエルがミーナを連れてきた。
この機会に俺に謝りたいと言ってきたので
レナのお茶会の間、
ラファエルと話すことにした。
談話室に入ってくるなり、ラファエルは深く頭下げて謝罪してきた。
「……レナちゃんが目が覚めて本当に良かった。
僕が舞踏会でレナちゃんに無理をさせたから……そう思うと生きた心地がしなかった。本当に申し訳ない。」
「頭を上げてくれ。」
「エドワードから聞いた時は本当に頭にきたが、お前がレナを陥れようとしたわけではないことはわかってる。それにレナによると、あの時倒れたのは体力的に疲れたわけではなく、精神的なものだったらしい。まだよくわかってないが。だからもういい。それに、お前もたくさん医者を連れてきてくれただろう?気持ちは受け取った。」
そういったが、
「いや……本当にすまなかった。」
とラファエルは頭を上げなかった。
俺は本当にもう怒っていなかった。
レナが目を覚ました。
それだけで十分だった。
「バシッ」
その辺にあった本でラファエルの頭を軽く叩いた。
ラファエルは驚いて顔を上げる。
「これでいい。これでなかったことにしてやる。だけどレナをたぶらかすのはやめろよ。」
ラファエルは少し泣きそうになりながら
「ありがとう」
と囁いて、頭を上げた。
2人で談話室のソファに座りながら、
とりあえず他愛のないことを話した。
だがやはりラファエルに
気になっていたことをきいた。
「お前、どこで気づいた?」
「え?」
ラファエルは揶揄うように聞き返してくる。
「わかってるだろ。」
「そうだね……まあ結構前から?」
と真顔で答えた。
「結構前?」
「うん、3年くらい前からそうじゃないかなーって」
「……」
「男の勘ってやつだよね。」
とラファエルはウィンクした。
俺が黙っていると
「そ、そんな怒らなくても。
ヴィンセントから聞いてきたんじゃないか。」
と少し慌てる、
「いや、怒ってるとかではない。
戸惑っているだけだ。」
というと
「そもそもヴィンセントはわかりやすいんだよ。」
とため息をつかれる。
ため息をつきたいのはこっちのほうだ。
「それはエドワードにも言われた。」
「ほら?ね?」
というラファエル。
今度こそ深いため息をついた。
「まあもういい……」
「本題は……」
「本題は??」
少し呼吸を整えて一息でいう。
「気持ちを…伝えようと思う。」
ラファエルは驚いてこちらをみる。
「お前は、なんか気を遣ってくれたらしいし、
これくらいは伝えてもいいと思ってな。」
と顔をそらすと
ラファエルが椅子から立ち上がって
俺を抱きしめようとした。
「やめろ。」
「えーーーー!!
感動を分かち合おうよ。」
と文句を言いながら再び座ると
ラファエルはちょっと真面目な顔になり
微笑みながら
「頑張れよ。」
と言った。
「ああ。」
と言って、少し2人で顔を見合わせて笑った。
そのあとは王宮での仕事の話や
次の宰相や大臣の人選や
領地経営について
いつも通りの話題を
レナのお茶会が終わったという
報告を受けるまで
のんびりと話した。
ブクマが増えておりました(( °ω° ))⭐︎
本当にありがとうございます!!
今回も読んでくださりありがとうございました!
次から公爵領移動になります!!
果たして2人の告白作戦はどうなるのか?
見守っていてください〜




